付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「いつわりの仮面~マーベラス・ツインズ契(3)」 古龍

2008-11-23 | 時代・歴史・武侠小説
 美少女美少年から渋いオヤジに醜悪な怪人や妖女まで次々に登場し、どいつもこいつもひと癖もふた癖もあって、剣や武術の腕もすごいけれどそれ以上に知略というか悪知恵の働くヤツばかり。悪党の英才教育を受けて育ち、あちらこちらで女を泣かせて回っている小魚児が、純真な良識人に見えるくらい。
 いや実際、なまじ純真だったり真面目な登場人物が出てくれば、暴れ牛の群の前に迷い出たウサギのごとく、あっという間に蹂躙されてしまいます。真面目で唯一生き残っているのは、ヒーローである花無缺くらい。でも、それも前回でとどめをさされかけているし……。
 そんな話で、武侠小説とかファンタジーとかライトノベルとか、そんなくくりと関係なく「面白い話」が読みたい人にお勧めのシリーズ。「契」からでも話は一応わかるけれど、哀れな美少女たちがいかに今の境遇に陥っているかを知るためには、最初から読んだ方が良いね。

 今回は人々の信頼厚く大人と讃えられつつ、実は権謀術策を駆使してライバルを謀殺していく江別鶴と江玉郎の親子が、それぞれ何度も窮地に陥りながらも狡猾に包囲網をくぐり抜け、世間知らずの少女を毒牙にかけていくという話。
 もちろん、3ヶ月後に殺し合って決着をつけるとの約束をかわした小魚児と花無缺の友情が本筋だし、大侠と讃えられる燕南天の活躍と真実とか、いろいろ見所はあるのだけれど、やはり目がいくのは聖人君子の皮をかぶった江親子の卑劣漢ぶり。
 しかし、慕容九妹を始めとして登場する美女美少女の不憫なことよ。

【いつわりの仮面】【マーベラス・ツインズ契】【古龍】【絶代雙驕】【乙女陵辱】
コメント
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