付け焼き刃の覚え書き

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「不可逆怪異をあなたと」 古宮九時

2024-01-26 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 都市レベルでの人間消失が多発する日本。その中でも『床辻市に住むと、早死にする』と噂されるほど、この地方都市には数多の禁忌と怪異が蠢いている。ここ最近では、ある朝、大量の血だけを残して全校生徒が消失した『血汐事件』が記憶に新しい。その学校の生徒である青己蒼汰は、偶然にも遅刻したことで間一髪で難を逃れたが、代わりに「兄が大変なことに」というニセ電話で学校に呼び出された妹が犠牲になっている。
 血の海となった教室で、生首だけになってなお生きている妹の花乃を見つけた蒼汰は、彼女を持ち出して自宅に匿うと、隠された彼女の身体を探すべく怪異に満ちた街の夜へと足を踏み入れた。

 盗まれた妹の身体を取り戻すべく、借り受けた呪刀を携えて床辻市内の怪異を狩って回る少年の闘争録。どろろと百鬼丸と似てるかなぁと思ったこともあるけれど、こちらの怪異はやられても身体の部位は落としていかないのだ。情報も残さないハズレくじが多すぎ。むしろ、首だけの妹を自宅に匿いながら面倒を見るというあたりは、むしろ育成ゲーム「Tomak」。
 そして、そんな彼の前に現れるのは、敵か味方か、『迷い家』の主人と名乗る謎の少女、一妃。敵か味方か、人かあやかしか?という緊迫感のある関係の中、怪異殺しは続きます。
 それまで普通の高校生だった蒼汰に武器を供給するマスターとか、サポート側の設定も魅力的です。こういうキャラは好き。

【不可逆怪異をあなたと~床辻奇譚】【古宮九時】【二色こぺ】【電撃文庫】
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