付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「妖魔戦線」 菊地秀行

2023-11-17 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「--死に方にもいろいろある。醜い死、苦痛にまみれた死……だが、人間は人間の死に方をするべきだ」
 インドから三星老人の護衛に呼ばれた念法使い、黒の右近は雇い主のやり方には納得していない。

 大蔵省主計課の官僚、工藤明彦は同僚らに祝われながら、婚約者の水街理恵と結婚指輪受け取りの待ち合わせに向かうのだが、一目会うなり彼女がもうこの世のものでないことを知った。おぞましい妖魔ゾワンが彼女の生皮を被ってなりすましていたのだ。
 ゾワンは工藤をも喰らおうと襲い掛かるが、平凡な公務員・工藤明彦こそ、念法を駆使する武の達人であった。工藤は婚約者の仇討ちのため、すべてを投げ捨てて幾多の妖魔との戦いに、恐怖と汚怪渦巻く修羅の世界に身を投じた。目指すは伊豆半島、淫藤流黒魔術の拠点、淫藤龍雲の邸宅である……。

 死の商人と防衛庁が黒魔術とエレクトロニクスの力で呼び出した、通常兵器や武術では刃が立たない異界の魔物たちに、念法で立ち向かう青年の物語。あの手この手で襲いかかる妖魔を念のこもった木刀で倒しながら旅をするという、山田風太郎の忍法帖などのパターンを踏襲してます。立ちはだかるのは街の暴力団、ゾワン、ヤキ、ケノンの3体の悪魔、防衛庁科学班の生み出した超人部隊シークレット・コマンド……。
 ソノラマ文庫を中心にジュブナイル分野で、ちょっとエッチでグロテスクなところもあるSFアクションやファンタジーを書いてきた著者が、アダルト向けに展開し始めた時期の初期代表作です。このシリーズと魔界都市シリーズ、妖獣都市シリーズの3本柱でしたが、『魔界都市新宿』の十六夜京也が使っていた念法の使い手を主人公とした、タガの外れた嗜虐的なエロ・グロ・バイオレンス満載のシリーズとなりました。

妖魔戦線】【妖魔シリーズ】【菊地秀行】【鹿間そよ子】【カッパノベルス】【光文社文庫】【伝奇バイオレンス】【怪道】【黒犬道】【人間爆弾】【ビッグバード】【超自然兵器】
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ガールズ&パンツァー最終... | トップ | 「妖魔軍団」 菊地秀行 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ホラー・伝奇・妖怪小説」カテゴリの最新記事