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『終わらない占領 』 2013年 法律文化社 その1

2014年02月28日 | 帝国・帝国主義・軍産官報複合

                                   ▲ 『終わらない占領 』 2013年 法律文化社 定価本体2400円

 

 

 『終わらない占領 』 2013年 法律文化社 

その1 アメリカの属国事例 オーストラリア

 

「第2章 属国問題」 ガバン・マコーミック を面白く、また頭をかかえながら読んだ。あるいは、悲しみながら、笑い転げた。とでも言おうか。

マコーミックは、まず、属国の定義に先立ち、政治学の分類の一般的な区別からはじめる。

孫崎享氏は、2012年の『戦後史の正体』では、日本をアメリカの「追従」路線ということばで表現しているが、

世界の諸国を独立(主権的、国民)国家、と従属(植民地または新植民地的)国家ではない、中間に位置する国家について

マコーミックによれば独立国家と従属国家の中間的区分としての「属国」が無視されてしまうという。

「属国の主権が問題になることはないが、国家としての独立や、民主的責任を持つと同時に、主体性を放棄、意図的に従属を選択する国家は、「依存的独立」または「従属的主権」といった矛盾語法でのみ表現し得る代物となる。」

彼はこのような言い方を避けるために、、植民地や被征服地域、または新植民地といった概念と区別して「属国」を次のように定義する。

「初めて国民国家の主権と独立の概念がでてきたウェストファリアの国家の定義を想定した上で、植民地でも傀儡国家でもないが、自国の利益よりも「他国の利益」を優先させる国家」 『終わらない占領 』 2013年 法律文化社(20頁)

属国は「帝国」がその領土の一部を占拠することを喜び、いかなる犠牲を払ってもその帝国の怒りを買わないようにする。

属国は「帝国を満足させる政策を追求し、「帝国」に見捨てられないよう、必要ないかなる対価も喜んで払う。(20頁)

こうした状態を、説明する社会学的用語はないが、

米国ブッシュ政権への態度をあげつらって

英国のトニー・ブレアを 「プードル」 症

オーストラリアジョン・ハワード首相は米国の 「保安官補」

日本の小泉首相を 「ポチ」 、ホワイトハウス内では「小泉下士官」と呼ぶ者がいた。(ブッシュがそう呼んだという)(21頁)

 

属国現象分析にとって、この三国は注目に値するので、

マコーミックは属国として、それぞれの国の態度、政策の中から 属国としての政策を次のように指摘している。

まず その1ではマコーミックが大学で教鞭をとっているオーストラリアの属国ぶりを紹介。

 

1 日本 (21ー27頁) 『終わらない占領 』その2 で紹介 近日中に UP

2 英国 プードル・パワー (28ー30頁) 『終わらない占領 』その2 で紹介 近日中に UP

 

 

3 オーストラリア 太平洋の保安官補 (30ー32頁) 

マコーミックはまずオーストラリアをこのようなことばではじめる。

「オーストラリアは歴史的に、何かしらの依存に慣れた国である。1941年までは、その「母国」の英国に、それ以降は米国に第一義的に依存してきた。」

ジョン・カーチン首相は1941年後半、対日戦争勃発に際して、以下のように述べた」

「英国との伝統的絆や身内のように親密な関係から離れる傷みを乗り越えて、オーストラリアは、米国に頼ることを、何ら躊躇するものではないことを明言します」

朝鮮戦争勃発の1950年6月、オーストラリアは、何より米国への忠誠を示し、米国から感謝されたいため、いち早くオーストラリア軍を派遣した。当時の外務大臣ジョン・バートンが後に書いているように、事実やオーストラリア国益さえもそっちのけで、「米国に続くこと」が指針であった。

半世紀後、オーストラリアは首相ジュリア・ギラードは、オーストラリアはイラク戦争で、米国の「仲間だった」と自慢した(2011年3月10日)。それがオーストラリア人にとってどれほど重要だったか。無所属の国会議員ボブ・カッターいわく

「もし米国が(戦争に)踏み切り、われわれに参加要請するのならば、・・・・・、われわれは、金魚の糞のようについて行かなければならないのか。まさに、それは全くその通りだ。」

オーストラリアは今日、カッターが言うように米国の戦争ならどんなに遠いところであろうと、法的根拠が脆弱であろうと、全面的に支持することで知られている。(31頁)

 

3人の元(オーストラリア)首相が、最近、オーストラリアは対米従属へと急速に滑り落ちていると鋭い警告を発した。

1975年から1978年にかけて保守政権の首相だったマルコム・フレーザーのことば

「われわれはこれまで以上にますます、米国の目標や目的に縛られているように思われる。・・・・・無条件支持は東アジアや東南アジアでわれわれの影響力を弱めている。そしてわれわれが独立し、自信に満ちた国として行動する足枷となっている。それによってわれわれの米国自身に対する影響力も限定されるであろう」

「オーストラリアは、中国を選択するか、米国を選択するかではなく、対米追従を断ち切る主体性を選択しなければならない。追従はオーストラリアの利益にならなかったし、これからもならないだろう。むしろわれわれの未来にとって危険なものである。」

「われわれの運命が米国の手に握られていることを大変心配している。」

 

1991年と1996年に首相だったポール・キーティングは、以下のように述べた。

 「我々の独立精神は衰弱してきた。それにつれ、我々は米国の外交政策を受け入れ、安易に流されている。・・・・・特に近年、我々が米国の外交政策を尊重するあまり、オーストラリアの外交政策の目的か、(米国のものか)見分けがつかなくなっている。」(32頁)

「米国の保安官役を果たした後、ジョン・ハワードは、イラクとアフガニスタンの戦争で、我々を米国の言いなりにさせた。」

 

うーむ! 米国の「ポチ」公たる 日本に よく類似した、国家があるのだな。

日本や、英国の事例も理解するために、もう一度復習してみる。

マコーミックの 「属国の定義」 

「初めて国民国家の主権と独立の概念がでてきたウェストファリアの国家の定義を想定した上で、植民地でも傀儡国家でもないが、自国の利益よりも「他国の利益」を優先させる国家」 『終わらない占領 』 2013年 法律文化社(20頁)

「属国は「帝国」がその領土の一部を占拠することを喜び、いかなる犠牲を払ってもその帝国の怒りを買わないようにする。

属国は「帝国を満足させる政策を追求し、「帝国」に見捨てられないよう、必要ないかなる対価も喜んで払う。(20頁)」

 

このマコーミックの「属国の定義」をもとに、最近の安倍政権の「集団的自衛権」「TPP] が読み解くと、明確に見えてくるものがあるようだ。

なお『終わらない占領 』 2013年 法律文化社 の執筆者・論文タイトル目次は2013年12月24日の私のブログに掲載 ここ ▼

http://blog.goo.ne.jp/jfk1122zzzya/e/442a39bb38039322f498d1e4705a98ff

 

この項続く

 

 

 

 

 

 



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