語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


バリ島日記 Ⅸ 先住民族の美しい布

2010年02月21日 | 旅日記
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霊泉の地、カランガサンへの道中、

深い山のふところに、バリの先住民族が、

今も伝統の暮らしを続ける、テンガナン村がある。


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山に包まれるように在るその村は、

まっすぐのびるメインストリートから

規則正しく横道が何本も山に向かっていく。


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メイン道の中央には、祭事を行う場所や、

家畜たちの管理棟、子供の遊び場などの

公共の建物が、秩序正しく並び、

村人たちが、先祖代々の伝統を粛々と守ってきた

厳かな空気が流れている。


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この小さな村の女たちが織り続けてきた

美しい絣(かすり)の布は、

縦糸も横糸も、先染めをしてから織るという、

東アジアでは他に類のない織物なのだという。

世界的にみても、数カ所にしかない技法が、

バリ島の中の、小さな村に存在する. . . . .


グリンシンと呼ばれるこの縦横絣は、

信じられないほど難しい方法で作られる。

タテ、ヨコの糸に、先に模様を染めて

あとで織ってきっちり色をそろえるなんて、

超絶した技巧である。

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上の写真が、染める過程の糸。

白い糸をきつく巻いたところは染まらない。

色ごとに巻いたり、外したり、

この糸染めだけで10年かかったという作品も。


さらに織る時は、佳き日だけを選ぶのだという。

そうして気の遠くなるような歳月かけて、

一枚の布が完成する。

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魔除けとして、神に捧げる布として、

祭りの時だけ身につける聖なる布。

そして大切に受け継がれる家宝となっていく。






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