(「河北新報」令和4年7月15日(金)付け記事より引用)
新型コロナウイルスの感染拡大が、特別支援学校などで学ぶ障害者の就労先選びに影を落としている。職場実習が中止になったり、企業が実施受け入れを見送ったりしているためだ。適性の見極めや事前の職場環境などの把握が必要となるだけに、学校側は実習先の開拓に力を注いでいる。(生活文化部・柏葉竜)
軽度の知的障害者が通う宮城県立支援学校岩沼高等学園(岩沼市)は2020年、1、2年生の春の職場実習を中止した。県内で緊急事態宣言が発令されたことなどを踏まえた対応だった。就労先を絞り込む時期の3年生は実施した。
チャンスが減る
学校では例年、各学年で春と秋に職場実習を行う。3年間で計6回予定していた実習のうち、今春の卒業生と現在の3年生はそれぞれ1回機会を失う結果となった。
障害のある生徒にとって、具体的な業務内容や職場の雰囲気をつかむ実習の意味は大きい。仕事への適性を判断したり、1回目で課題が見つかれば訓練を受けて次回までに改善したりといった対応をしてきた。
「希望していた食品スーパーでの実習が中止となり、職場で学ぶことができなかった」と今春卒業した高木希輝(きら)さん(19)=岩沼市=。高橋右都(ゆうと)さん(18)=仙台市太白区=も「一度訪れたクリーニング会社でもう一度実習をしたかった」と振り返る。
2人は岩沼市内の食品製造会社で複数回の実習を受けて4月に入社し、現在は商品を梱包(こんぽう)する仕事に励んでいる。
掘り起こし強化
今春卒業した38人のうち、一般企業の障害者枠で就職したのは33人。残る5人は就労移行支援事業所に通うなどしている。コロナ前はほぼ全員が一般企業に就職しており、同校進路指導主事の庄司竹弥教諭(57)は「実習が減った影響もあった」と残念がる。
20年秋の職場実習では、予定していた企業の約3分の1がコロナを理由に受け入れを見送った。企業向けの学校見学会も同年は中止し、昨年は参加企業数を絞って開催した。
見学会は今年も縮小を余儀なくされ、一部企業には実習の受け入れに慎重な姿勢が残る。見学会や実習は就職先確保につながるだけに、同校は関係機関から情報を得たりして、協力企業の掘り起こしに努める。庄司教諭は「生徒の希望がかなえられるようしっかり対応したい」と力を込める。
状況は東北の他県でも同じだ。青森第一高等養護学校(青森市)でも昨年度、コロナの影響で企業見学の一部が中止になった。担当者は「今年も可能な限り感染に十分気を付けて活動させたい」と語った。
新型コロナウイルスの感染拡大が、特別支援学校などで学ぶ障害者の就労先選びに影を落としている。職場実習が中止になったり、企業が実施受け入れを見送ったりしているためだ。適性の見極めや事前の職場環境などの把握が必要となるだけに、学校側は実習先の開拓に力を注いでいる。(生活文化部・柏葉竜)
軽度の知的障害者が通う宮城県立支援学校岩沼高等学園(岩沼市)は2020年、1、2年生の春の職場実習を中止した。県内で緊急事態宣言が発令されたことなどを踏まえた対応だった。就労先を絞り込む時期の3年生は実施した。
チャンスが減る
学校では例年、各学年で春と秋に職場実習を行う。3年間で計6回予定していた実習のうち、今春の卒業生と現在の3年生はそれぞれ1回機会を失う結果となった。
障害のある生徒にとって、具体的な業務内容や職場の雰囲気をつかむ実習の意味は大きい。仕事への適性を判断したり、1回目で課題が見つかれば訓練を受けて次回までに改善したりといった対応をしてきた。
「希望していた食品スーパーでの実習が中止となり、職場で学ぶことができなかった」と今春卒業した高木希輝(きら)さん(19)=岩沼市=。高橋右都(ゆうと)さん(18)=仙台市太白区=も「一度訪れたクリーニング会社でもう一度実習をしたかった」と振り返る。
2人は岩沼市内の食品製造会社で複数回の実習を受けて4月に入社し、現在は商品を梱包(こんぽう)する仕事に励んでいる。
掘り起こし強化
今春卒業した38人のうち、一般企業の障害者枠で就職したのは33人。残る5人は就労移行支援事業所に通うなどしている。コロナ前はほぼ全員が一般企業に就職しており、同校進路指導主事の庄司竹弥教諭(57)は「実習が減った影響もあった」と残念がる。
20年秋の職場実習では、予定していた企業の約3分の1がコロナを理由に受け入れを見送った。企業向けの学校見学会も同年は中止し、昨年は参加企業数を絞って開催した。
見学会は今年も縮小を余儀なくされ、一部企業には実習の受け入れに慎重な姿勢が残る。見学会や実習は就職先確保につながるだけに、同校は関係機関から情報を得たりして、協力企業の掘り起こしに努める。庄司教諭は「生徒の希望がかなえられるようしっかり対応したい」と力を込める。
状況は東北の他県でも同じだ。青森第一高等養護学校(青森市)でも昨年度、コロナの影響で企業見学の一部が中止になった。担当者は「今年も可能な限り感染に十分気を付けて活動させたい」と語った。