ジョージアとそこからの独立をのぞむアブハジア自治共和国は、1992年以降、激しい紛争状態にありました。両者の間にはエングリ川が流れています。この川は春の雪解けとともに、コーカサス山脈から肥沃な土を運んできて、中洲を形成します。中州はジョージアとアブハジア自治共和国が争う境界地点に位置します。
その中州に老人(イリアス・サルマン)がたどりつき、土地の所有を示すために白い布を掲げます。そこから老人の労働が始まります。木材を舟で運んできて、支柱を建て、小屋を作り始めます。
老人は次に、孫娘らしい少女(マリアム・ブトゥリシュビリ)を連れてきて、ふたりは板材で小屋の壁を打ち付け、屋根を葺きます。少女は手作り人形を抱えています。
老人は魚を捕まえるため、罠を川に仕掛け、ふたりはかかった魚を焼いて食べたり、干して保存食にしたり。
小屋が出来上がると、ふたりは周囲の土地を耕し、トウモロコシのタネを植えます。
両岸で兵士がにらみ合い、銃弾が飛び交う中、ふたりは助け合って苗を育てます。戦闘は悪化。ある日、傷を負った若いジョージア兵が中州に逃げこんできます。
深い森と大河の悠々とした流れ、ときおり聞こえる銃声、とうもろこしを黙々と育てる老人と孫娘―大自然のめぐりと人間の営みを対比した作品です。