シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

木村恵吾監督「牝犬」(1951年、100分)☆☆☆★

2020-07-11 11:46:19 | 日本・1950年~
 
戦前の日本映画に登場する女性は、概して、封建的家族制度のなかで控えめでおとなしく描かれていました。良妻賢母型の耐える女性です。戦後になって、この女性像を破壊したのが京マチ子です。

この作品のストーリーは、次のようです。謹厳実直な保険の経理部長・堀江亘(志村喬)は、部下の使い込みを調べるために浅草のレビューに出かけ、そこで踊り子エミー(京マチ子)にあいます。堀江はエミーの肉体に溺れ、会社のカネを横領し、家族から逃避、隠匿し、港町にキャバレーを開くまでになります。その店が雇ったトランペット吹の青年(根上淳)にエミーが心をよせると、堀江は嫉妬で逆上し、狂います。そして・・・。
京マチ子が体当たり演技です。男に何度、突き飛ばされても、突っかかり、ついには籠絡し、破滅させます。

戦前の女性像を完全に破壊した彼女の演技に、当時の観客はおどろいたことでしょう。
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根岸吉太郎監督「遠雷」(1981年、135分)☆☆☆★

2020-07-11 11:43:07 | 日本・1980年~
立松和平の同名の小説の映画化です。

舞台は宇都宮。都市化の流れに抗し、トマト栽培に賭ける青年の姿を描いた作品です。

僅かな土地にしがみつきトマト栽培をしている満男(永島敏行)は、母(七尾怜子)と祖母(原泉)の三人暮らし。父親は家を出て女と同棲、兄は百姓を嫌い東京でのサラリーマン生活。

満夫にお見合の話がきます。あや子(石田えり)という女性で、気に入ります。田舎の暮らしに次々と大小の事件がおこります。父親が選挙を手伝うも、違反行為をして警察沙汰になったり、子供の時からの友人だった広次(ジョニー大倉)が工業団地に住む人妻カエデ(横山リエ)と駆け落ちしたり、トマトが大量発生したアブラムシで全滅したり。

ラスト。満夫とあや子が腐ったトマトを処分し、燃しています。すると、土地を売ってくれないかと不動産屋がやってきて・・・。はるか遠くに雷鳴が・・・。
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