だそうです。
■自殺者3万人台時代、そのわけは?
2009年1年間の日本の自殺者数は3万人台(32,845人、警察庁統計)になり、12年連続年間自殺者数3万人台が続いています。
わが国にこれだけ自殺者数が増えたのは、なぜでしょう?
自殺者数3万人台となった最初の年は1998年ですが、前年には山一証券や北海道拓殖銀行の破綻があり、バブル崩壊から始まった不況の絶望感が極まった年でもあります。同時にIT化導入やグローバル経済への移行等、社会の高度情報化、そして産業構造の大変革が本格的に始まった時期でもあり、それを受けて多くの企業で人事制度改変(年功序列制、終身雇用制の廃止、成果主義の導入、雇用の多様化等)が本格的に始まった時期でもありました。
こうしたなか企業では雇用調整が始まり、特にリストラの対象とされた50代を中心とする中高年層の男性にうつ病が増えました。また、この層を中心に自殺者数も増えていったのです。
■景気に希望が見えても自殺者数は変わらない
その後、1999年から2000年にかけてのITバブルや、2002年から6年近く続いたいざなぎ越え景気、その後の不動産ミニバブルなど、一時的ではありながらも景気回復による希望が感じられた時期もありました。
しかし、景気回復が期待されたその時期でも「3万人台」の自殺者数は変わることなく維持され続けました。うつ病を含む気分障害の患者数も増加し続け、働き盛りである30代、40代にも自殺が目立つようになりました。
30~40代の働き盛り世代では、雇用スタイルの多様化により、正規職員には管理業務、IT化、グローバル化に対応した技能と知識の超高度化が求められるようになり、業務量も精神的負担も増える傾向が強まりました。一方で、非正規職員や自由業者、自営業者には安定的、永続的な雇用や受注が見込まれずに、報酬額の減少も顕著になり、貧困に直面する人も増えてきました。
このように、就業スタイルに関わらず精神的に追い込まれるケースは増大し、この流れは抜本的な対策を打たない限り、続くであろうと予測されます。
■複数の理由が絡み合って自殺は起こる
自殺の理由はさまざまですが、警察庁の統計では例年「健康問題」が最も多く、「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」「男女問題」「学校問題」「その他」、と続いています。
しかし、自殺に至るほどの精神的ストレスを抱えている人の場合、単独原因のみで自殺にまで追い込まれるケースはむしろ少なく、複数の要因が複雑に絡み合って自殺へと向かっていくものと考えられます。典型的なのは次のようなケースです。
《勤務問題》
リストラにあった人が失職する
↓
《経済・生活問題》
収入が低下する
ローンや学費が支払えない
家の売却、子どもの転校、退学
↓
《家庭問題》
家庭内の雰囲気が極度に暗くなる
和やかな会話が減少する
このように、複数の要因が絡み合うことで希望を失い、自分自身への無価値感が強くなっていくのです。
■治療だけでは自殺予防にはならない
自殺者数減少の取り組みに当たっては、複数の問題を同時に解決していくことが大事になると思われます。
しかし、自殺を考えるほど追い込まれている場合、うつ病症状の悪化によって思考力、決断力、集中力が低下しているため、自己だけの力で問題解決に向かえるような余裕はないはずです。
そこで自殺を防ぐためにも、諸分野の専門家へと早めにつないでいく支援が必要になってきます。医療機関でうつ病の治療を受けたとしても、職業、金銭、家庭等、他分野の問題が未解決のまま残っている状態では、たとえ回復しても再発してしまいます。
治療を行いつつも、たとえば職業に関しては、キャリアカウンセリングを利用しながら就職支援、生活支援情報が入手でき、金銭問題、家庭問題に関しては、弁護士やファイナンシャルプランナー、家庭問題相談機関等の専門家に相談がいつでも利用できるような状況にあることが大事です。
■総合的な支援を考える専門職が必要
ただし、自殺を考えるほどの状態では、情報を集めること、ましてや相談の予約電話を入れることすら負担になっているでしょう。そこで、これからは精神的に追い込まれた人が自立して生活していくための支援を考える、ソーシャルワークの強化が必要になっていくと思います。
現在でも地域の精神保健福祉センターでの相談援助、病院での個別相談援助等が利用できますが、できれば介護分野におけるケアマネジャーのように、心の危機に陥った人、その家庭を定期訪問し、総合的な支援を考えていく専門職が必要になるのではないでしょうか。
現在では、東京都が推進している「ゲートキーパー」が各分野につなぐ総合窓口に近いものであるため、私はこの役割に注目しています。しかし、現段階では養成講座の研修対象者が限定されていること。また、ゲートキーパーはあくまで「門番」としての役割であり、各専門家(専門機関)にはつないでも、総合的な支援を計画、実行するような密着型の支援が期待できるわけではありません。
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ゲートキーパーとは?
Gatekeeper=「門番」
「自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることが期待される人」
自殺予防について理解し、身の回りの人が悩みを抱えていたり、体調が悪い様子に気がついたら、話を聞き、適切な相談機関につなぐことができる人。(東京都福祉保健局ホームページより)
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厚生労働省は、うつ病や自殺での休業や失業などによる経済的な損失は、約2兆7000億円にのぼるとの推計を公表しました。自殺対策の遅れは、この国の成長も妨げるものとなります。自殺を防ぐには、社会福祉制度としての本格的な政策が必要です。誰もが安心して生きられる社会を実現するためにも、今後の展開に期待したいところです。
【ストレスガイド:大美賀直子】
何でも最近は「愚痴を聞くだけというビジネス」というのがあるそうです。
そんなのまでビジネス化するんだなあと。
聞く側も凄いストレスになるんじゃないですかね。
さて、そんな中自殺者の理由・・・っちゅうか、これだけじゃないでしょうけどね、これはこれでひとつの原因ではありますわ。
失職→収入減→家庭不和
泥沼にどんどんはまって行きますもんね。
この状況で鬱病になるのが多いんですよね。
「欝は立派な病気です。病院に行きましょう」
わかるんですけどね、病院行くとお金かかるんですよ。
ただでさえ収入減なのにそんな余分なお金なんぞないわい!
そう思っても不思議ではないですからね。
そうこうしているうちに欝は進行しますから、ドンドン気持ちの落ち込みが激しくなり、結果『自分なんて生きる価値のない存在』ってなる・・・みたいです。
自分もそこまで行きませんでしたけど、一歩手前まで行きましたもんね。
ただ、やはり自殺はよくないですよね。
死んだつもりで頑張れば・・・
そんな慰めは他人事だからいえる事。
生きている事が辛いから死ぬんだ・・・
でも生きるしかないんですよね。
ああ、世知辛い世の中です。