エピソード2 修行
Tちゃん達の団体はそれなりに地方興行に行ったりもしていました。
当然の事ながら弱小団体なので、リングの設営とか雑用は自分たちで行います。
Tちゃんは運転が好きなので、リングトラックでリングを会場まで運ぶ役目です。
そんなある日の事。
TちゃんやFくんの地元である福岡で興行を行う事になりました。
TちゃんとFくんは宣伝活動の為、一足先に東京を出発します。
海老名で休憩をした後、唐突にTちゃんがFくんに向かって言い出します
「よし、修行すっかぁ」
「は??」
「修行だよ、修行。精神を鍛える事もプロレスラーとして大切な事だからな」
「はあ・・・」
F君の顔が段々厳しいものになっていきます。そりゃあそーだ。
「よし・・・これから次のパーキングまで正座な」
「何ですか、それ」
「バカヤロウ。いいか、正座というのは日本古来からの正式な作法だぞ。精神を鍛錬するなら、やはり日本古来の武士道から始まるだろ。武士道といえば正座だろ。精神を鍛える為には、とりあえず正座だ」
何言ってるんだろう、このタコ助は・・・
「意味ないじゃないですか」
「いいか!正座をして足の痺れに打ち勝ってこそ、本当に強い心が生まれるんだよ。俺はお前に強くなってもらいたい。だから、心を鬼にしてだなぁ」
「いやですぅ」
「・・・そうか。いやなのか。・・・まあな、お前みたいな軟弱野郎には出来ない修行だもんな。まあ、いいよ。俺はお前を買いかぶっていたんだよ。そうかぁ、残念だなぁ。きっと××さんがこの話聞いたら竹刀でお前ボコボコにされるだろうなぁ」
物凄い挑発をしかけるTちゃん。
「わかりましたよ。次のPAまででいいんですよね」
「おう、次のPAまででいいよ」
助手席で正座を始めるF君。
しかし、10分もしないうちに足がしびれ出す。当然です。
プロレスラーであるF君は体重90kg
すると、Tちゃん。ガンガン車線変更をし出します。
体を揺さぶられるたびにF君の足が響きます。
「ちょっ、ちょっと待ってください。車線変更は勘弁してもらえませんか」
「何言ってるんだ。次のサービスエリアまで早く着いて修行から開放してあげたい俺の気持ちがわかんないのか」
「足がしびれて・・キツイです」
「気合だ、今こそ気合を入れるんだ、呪文を唱えるんだぁ」
「なんていえばいいんですか」
「バカヤロウ。そんなこたあ自分で考えろぉぉ」
質問するほうもバカです。ある意味バカ兄弟です。
さて・・・海老名を出発して・・・次のPAで開放されました。
「よくやった。お前は一つ階段を登ったぞ」
Tちゃんは"地元名物明石焼"を頬張りながらF君にねぎらいの言葉をかけました。
「さっさとトイレに行って来い。すぐ出発すっぞ」
F君は既に感覚のない足を引きずりながらトイレに向かって歩いていくのでした。
・・・実話です(笑)
Tちゃん達の団体はそれなりに地方興行に行ったりもしていました。
当然の事ながら弱小団体なので、リングの設営とか雑用は自分たちで行います。
Tちゃんは運転が好きなので、リングトラックでリングを会場まで運ぶ役目です。
そんなある日の事。
TちゃんやFくんの地元である福岡で興行を行う事になりました。
TちゃんとFくんは宣伝活動の為、一足先に東京を出発します。
海老名で休憩をした後、唐突にTちゃんがFくんに向かって言い出します
「よし、修行すっかぁ」
「は??」
「修行だよ、修行。精神を鍛える事もプロレスラーとして大切な事だからな」
「はあ・・・」
F君の顔が段々厳しいものになっていきます。そりゃあそーだ。
「よし・・・これから次のパーキングまで正座な」
「何ですか、それ」
「バカヤロウ。いいか、正座というのは日本古来からの正式な作法だぞ。精神を鍛錬するなら、やはり日本古来の武士道から始まるだろ。武士道といえば正座だろ。精神を鍛える為には、とりあえず正座だ」
何言ってるんだろう、このタコ助は・・・
「意味ないじゃないですか」
「いいか!正座をして足の痺れに打ち勝ってこそ、本当に強い心が生まれるんだよ。俺はお前に強くなってもらいたい。だから、心を鬼にしてだなぁ」
「いやですぅ」
「・・・そうか。いやなのか。・・・まあな、お前みたいな軟弱野郎には出来ない修行だもんな。まあ、いいよ。俺はお前を買いかぶっていたんだよ。そうかぁ、残念だなぁ。きっと××さんがこの話聞いたら竹刀でお前ボコボコにされるだろうなぁ」
物凄い挑発をしかけるTちゃん。
「わかりましたよ。次のPAまででいいんですよね」
「おう、次のPAまででいいよ」
助手席で正座を始めるF君。
しかし、10分もしないうちに足がしびれ出す。当然です。
プロレスラーであるF君は体重90kg
すると、Tちゃん。ガンガン車線変更をし出します。
体を揺さぶられるたびにF君の足が響きます。
「ちょっ、ちょっと待ってください。車線変更は勘弁してもらえませんか」
「何言ってるんだ。次のサービスエリアまで早く着いて修行から開放してあげたい俺の気持ちがわかんないのか」
「足がしびれて・・キツイです」
「気合だ、今こそ気合を入れるんだ、呪文を唱えるんだぁ」
「なんていえばいいんですか」
「バカヤロウ。そんなこたあ自分で考えろぉぉ」
質問するほうもバカです。ある意味バカ兄弟です。
さて・・・海老名を出発して・・・次のPAで開放されました。
「よくやった。お前は一つ階段を登ったぞ」
Tちゃんは"地元名物明石焼"を頬張りながらF君にねぎらいの言葉をかけました。
「さっさとトイレに行って来い。すぐ出発すっぞ」
F君は既に感覚のない足を引きずりながらトイレに向かって歩いていくのでした。
・・・実話です(笑)