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愛馬についてのあれこれを記録する日記です

やってみたらええやん パラ馬術に挑んだ二人

2023-06-23 20:37:05 | ●馬読書感想文
今日は、たまに書いている競馬読書感想文シリーズです(笑)。
今回の課題図書は、「やってみたらええやん パラ馬術に挑んだ二人」(和田章郎著)。
2020東京パラリンピックのパラ馬術で、日本人で唯一の入賞を果たした宮路満英と、その妻の裕美子を主人公にしたノンフィクション作品です。
宮路満英は、JRAの調教助手時代に発症した脳内出血により、右半身の麻痺と言語障害、高次脳機能障害を負い、調教助手を廃業。パラ馬術の選手となった人物です。

私が不勉強なだけかもしれませんが、障害がありながらも輝く人に焦点を当てた作品の場合、本人だけに強い光が当てられることが多い印象なのですが、この本は妻である裕美子にも同分量で光が当てられている感じ。
まずそこが、すごく好感が高いなと思いました。
タイトルが「パラ馬術に挑んだ“二人”」なのも、そういうことなんですよね。

しかも「やってみたらええやん」の部分は、妻の裕美子ではなく、別の人間の言葉が発した言葉というのも、またいいです。
本の中では、宮路夫妻の言葉として、繰り返し「出会い(人)に恵まれた」という言葉が出てきますが、タイトルからもそれを感じることができます。

もちろん、そういう良い出会いを惹きつけるのには、宮路夫妻の人柄があります。
馬術競技のレベルが高いとはいえない日本で、パラリンピック入賞に至るまでのリハビリとトレーニングの過酷さは、相当なものがあったはずです。
その厳しいトレーニングを前向きに真剣に明るく取り組めるお2人だからこそ、周囲に人が集まるんでしょう。
そのことが、本の中で紹介される色々なエピソードから伺えます。

あと、これは本筋ではありませんが、宮路夫妻が、東京パラリンピックの次の目標として、世界馬術選手権への出場を目指していたことが描かれていたのも良かったです。
オリンピック、パラリンピックはどうしてもお祭り色が強いので、それが世界最高のスポーツの祭典と思われていることに対して、何らかの競技のファンなら違和感を抱いていると思いますが、著者はその違和感を少しでも解消したかったのかなぁと。
こういうところに、スポーツ文化に対する著者の「愛」が感じられるところも面白かったです。

ところで、我が家は結果的にはコロナ禍で叶わなかったのですが、東京パラリンピックのパラ馬術の観戦チケットを申し込んで、当選していました。
普段は、パラリンピックよりオリンピックの方に目がいってしまいますが、せっかくの自国開催なんだから、オリンピックだけではなく、パラリンピックも現地で見たいよね、ということで。
そういう軽い感じだったのですが、この本の次の一節を読んで、改めて、現地で見たかったなぁと思いました。

競技者本人と、サポートする様々な人々との関係性、絆といったものが、どのように育まれ、醸成され、構築されていくのか。また競技者とサポーターそれぞれが、実戦を通してともに成長していく過程を窺い知れる競技世界の奥深さ。

それがパラスポーツの魅力の一つだと著者は言います。
私の想像ですが、特に採点競技である馬術は、その魅力がより多く現れているのではないかと思います。
うーん、自分が実際に見て、どういう感想を持ったのか、確かめたかったです。
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