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愛馬についてのあれこれを記録する日記です

ザ・ロイヤルファミリー

2024-01-02 20:53:36 | ●馬読書感想文
遅ればせながら、「ザ・ロイヤルファミリー」(早見和真)を読みました。
基本、Kindleで読むので、単行本の値段を出すのはさすがにもったいなくて、文庫化されるのを待っていました。

作者が、この小説で馬事文化賞を受賞されたこともあり、グリーンチャンネルに出演されることが結構多かったので、馬主に焦点を当てた(物語の語り手は馬主の秘書ですが)小説だっていうことは、何となく知っていました。
その時の紹介でも言われていましたが、馬主が物語の中心になっているのって、確かに珍しいですよね。
シロウト考えでも、生産者や騎手の方が、馬主よりドラマ性がありますもん(笑)。

エンターテイメント小説なので、読んで面白かったかどうかが一番大切だと思うのですが、単純に面白かったです。
私が競馬になじみがあるのもありますが、サクサク読めました。

あ、でも、ロイヤルファミリーというタイトルから、超お金持ち一族(吉○家とか…)の馬主の物語かと思っていたのですが、そこは違っていました。
お金持ちはお金持ちなのですが、自身で会社を興した創業者とその家族の物語です。
「ロイヤル」はその馬主が使っている冠名なんですよね。
この小説は、「ロイヤル」の馬主と「ロイヤル」の冠名をつけられた馬の2代にわたる物語です。

競馬を知らなくても楽しめると思いますが、やっぱり知っている方が細かいところまで含めて面白いかもしれません。
日本で一番高額取引がされる「セレクタリアセール」とか、大牧場の「北陵ファーム」とか(笑)。
私は全く分かっていませんが、出てくる騎手にも「あ、これは…」というモデルがいるんだろうなぁ。

この小説はエンターテイメント小説なので、ネタバレや読み方の限定は避けないといけません。
なので、私の勝手な楽しみ方を感想として書いておきます。

いや~、「○○様」って、心の中で思うことあります?
でも、ロイヤルファミリーに仕えた秘書の目線から書かれたこの小説は、馬主家族のことは、絶対に「○○様」って心の中で呼んでいるんですよね。
自分以外には悟られることのない心の中なのに、ですよ!?
これには、作者のどういう意図があるんでしょうか。

ロイヤルというのは、馬主の苗字が「山王」なので「王」(royal)から取ったという設定なんですが、忠誠を表す英単語は「loyal」です。
そして、日本人にとって“r”と“l”の区別はつきにくく、どちらもカタカナに直すと「ロイヤル」になります。

「裏切らない」という言葉が、小説の所々に散りばめられていますし、多分、何か作者の仕掛けがあると思うんですが、一読しただけでは、自分なりの答えはまだ見つかっていません。
そういう謎解きも含めて、楽しめる小説だと思います。
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