いせ九条の会

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国際社会から指弾されるべき事柄/山崎孝

2009-01-25 | ご投稿
【「砲撃は白リン弾使われた」国連、イスラエル軍を非難】(1月16日付朝日新聞夕刊)

【ニューヨーク=松下佳世】パレスチナ自治区ガザの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の現地本部がイスラエル軍によって砲撃されたことを受け、国連は15日、「非人道兵器」と非難されている「白リン弾」が使われたとの見方を改めて表明した。イスラエル側が砲撃の理由として主張している「国連敷地内からの攻撃」については全面的に否定した。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)のホームズ事務次長は会見で、現地本部に対する攻撃は2回あり、人体に触れると高温で燃え続ける「白リン弾」が使われたと強調。イスラエル軍に対しても再三注意を呼びかけていた中での本部への攻撃に「愕然(がくぜん)としている」と語った。

 テレビ電話でガザから会見したUNRWAのギング現地代表も砲弾について「見た目もにおいも、燃え方も白リン弾だった」と断言。「砲撃の最中にもイスラエル側と連絡を取り合っていたが、敷地内から攻撃を受けているとの指摘は一度もなかった」とイスラエル側の主張に反論した。

【ガザ市(パレスチナ自治区)=田井中雅人】イスラエル軍は住民を集めて砲撃を加え、民家を乗っ取って拠点にした――。パレスチナ自治区ガザを23日間、攻撃し続けたイスラエル軍の所業を、住民が詳細に証言した。「民間人の被害を避けようと細心の注意を払った」(オルメルト暫定首相)という説明とは正反対の実態で、「国際人道法違反だ」との批判が出ている。

 ガザ市南部ザイトゥン地区。壊れた家々のがれきが広がる一帯で21日、サモニ家の葬儀が営まれた。イスラエル軍の砲撃で、妻ハナンさん(35)と娘ホダさん(17)ら家族、親類29人を一度に失ったナエルさん(36)が、悲しみに身を震わせていた。

 地上侵攻が始まった3日夜。突然、一家の壁が破壊され、機関銃を携えたイスラエル兵が侵入してきた。「家から出ろ」と、120メートル先の親類宅に追い立てられた。

 周辺に暮らす親類約110人も同じ家に集められた。家が複数回の砲撃を受けたのは2日後で、計22人が死亡。近所への砲撃でも7人が死亡した。一帯の計21軒の親類宅が砲撃を受けたり、戦車やブルドーザーでなぎ倒されたりした。救急車は兵士らに妨害され現場に近づけなかった。

 「家畜のように閉じこめられ、殺された。許せない」とナエルさん。

 赤十字国際委員会は「衝撃的な事件だ。イスラエル軍は我々が救援に向かうことすら許さなかった。国際人道法違反だ」と激しく非難する声明を発表。AP通信などによると、国連人権理事会のパレスチナ地域特別報告者、リチャード・フォーク氏も軍の一連の攻撃について「戦争犯罪にあたるか独自に調査をするべきだ」と主張している。

 自宅を占拠された住民もいる。ガザ北部ジャバリヤ難民キャンプ東方、アタ・シアムさん(61)の4階建ての雑貨店兼自宅は今、ゴミの山が悪臭を放っている。

2月28日夜、暗視装置をつけ、顔を黒く塗ったイスラエル兵約60人と、首に小型カメラをつけた犬2匹が乗り込んできた。兵士らはシアムさんの頭部に機関銃を突きつけ、21人の家族全員を1階の一室に集めて外出を禁じた。

 兵士らは連日、店の菓子やジュースを勝手に取り、イスラエルから持ち込んだサンドイッチや果物を食べ散らかした。空腹の孫が「分けてほしい」と泣いても、「これは兵士の食べ物だ」と拒んだ。

 一家は毛布まで兵士らに取り上げられ、震えながら眠れぬ夜を過ごした。息子の妻(27)が産気づいた9日、一家はようやく着の身着のままで学校や親類宅に避難することができた。

 「停戦」後に自宅に戻ってみると、兵士らが食べ散らかしたゴミと汚物の山が室内に残されていた。4階のバルコニーには、射撃口にした穴がいくつも開いていた。店に隠しておいた財布からは現金1200ドル全額が抜き取られていた。

 「こんなことは長い人生で初めて。あいつらは戦闘ではなく、盗みにきたんだ」とシアムさん。子や孫は「怖いから家に帰りたくない」と訴え、20年の思い出の詰まった家を捨てる決心をした。今、アパートを探している。(以上)

【コメント】イスラエルの指導者が、ハマスのイスラエルへの攻撃をなくすという目的を果たすために武力を用いれば、無差別殺人が生まれます(承知の上と見られる)。その攻撃に動員された兵士たちは理性を失い非道を行ないます。

そしてこのような攻撃が生み出すことの結果は、1月25日の朝日新聞を読むと歴然とします。朝日新聞は《子供たちの心のケアにあたるNGO「カザ・コミュニティー・メンタルヘルス・プログラム」のラウヤ・ハマムさんも「理不尽な封鎖や暴力を受けて『だれも守ってくれない』との絶望感が子供たちに広がっている。10年後のガザには〈イスラム過激派〉ハマスの戦闘員がますます増えているでしょう」と話す。》

イスラエルのカザへの攻撃と同じような惨劇は米国の主導する「テロとの戦い」で生まれています。イラク戦争でその典型的なのは、米軍がスンニ派の拠点と言われるファルージャを攻撃、700名を殺害しました。その8割が女と子供であった「フアル-ジャの虐殺」があります。アフガニスタンでの「テロとの戦い」では子供や女性が多数犠牲になっています。

国際社会がテロリストを厳しく指弾するのは、テロリストは自らの目的のために手段を選ばす、無差別殺人を行なうことにあります。米国の主導する「テロとの戦い」の性格とテロリストの行為と、どこが違うのでしょうか。