いせ九条の会

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オバマ政権 米駐日大使にジョセフ・ナイ氏を起用/山崎孝

2009-01-09 | ご投稿
(2009年1月8日付朝日新聞より) 【ワシントン=加藤洋一】オバマ米次期政権は、次の駐日大使に元国防次官補で現在ハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏(71)を起用する方針を固めたことが7日、明らかになった。ホワイトハウス、国務、国防両省で東アジアを担当する高官の人選も終えており、政権のアジア政策チームの主な顔ぶれが出そろった。

 政権発足前に駐日大使の人選が行われるのは異例で、オバマ政権の対日関係重視の表れと見られる。関係者によると、起用方針はすでにナイ氏に伝えられており、同氏は受け入れる方向だという。大統領による指名と上院の同意をへて正式な任命となる。

 ナイ氏はクリントン政権で国防次官補をつとめ、96年の日米安保のいわゆる「再定義」を担当した。ブッシュ政権が誕生する直前の00年と今回の大統領選を前にした07年の2度にわたり、アーミテージ元国務副長官とともに対日同盟政策の包括的な戦略文書「アーミテージ・ナイ・リポート」をまとめるなど日米関係に深くかかわってきた。

 軍事力など「ハードパワー」に偏らず、価値観や文化など「ソフトパワー」も外交手段として活用すべきだとする「スマートパワー」論の提唱者としても知られる。

 一方、次期政権のアジア政策チームの主要メンバーとして、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長にジェフリー・ベーダー氏、国務省の東アジア・太平洋担当次官補にカート・キャンベル元国防次官補代理、国防総省のアジア・太平洋担当次官補にウォレス(チップ)・グレッグソン退役海兵隊中将がそれぞれ起用される見通しとなった。

 ベーダー氏は中国の専門家で、クリントン政権時代に東アジア・太平洋担当の国務次官補代理を務めた。選挙期間当初からのオバマ陣営の外交政策顧問で、アジア・グループの統括責任者だった。

 キャンベル氏は、ナイ氏のもとで国防次官補代理を務めた民主党きっての知日派。グレッグソン氏はキャンベル氏とともに、国防総省でアジア太平洋地域を担当。その後、沖縄で第3海兵遠征軍の司令官や4軍調整官を歴任した。

 オバマ政権では、この3人にナイ氏も加わって対日政策を立案、実施することになると見られ日本に厚い配慮をした布陣と言える。スマートパワー論を踏まえて、軍事偏重ではない幅広い同盟関係を築く方向に進みそうだ。

【コメント】朝日記事でナイ氏は、クリントン政権で国防次官補をつとめ、96年の日米安保のいわゆる「再定義」を担当したと書かれています。

ブログで既に紹介していますが、1996年4月17日、橋本首相とクリントン米大統領は「安保共同宣言」を発表し、安保の再定義を行います。それに基づいて、1997年9月23日、日米政府は有事を想定した防衛指針(新ガイドライン)決定します。「安保共同宣言」の特徴は、日米の従来の共同対処地域を極東地域から世界的な範囲に拡大させた。新ガイドラインは、アジア・太平洋地域の紛争処理において、自衛隊は米軍の行動に対して後方支援、武器と弾薬を除く補給、修理、物資輸送を行なうと決めました。

2000年10月に出た「アーミテージ報告」は、日米同盟協力の制約になっている集団的自衛権行使を日本が可能にすること、危機管理立法(有事法制)の制定などを求めました。

日本は既に国民を戦時体制に組み込む有事法制を制定し、イラクに航空自衛隊を派遣して米軍などを運んで、戦争する国で後方支援活動を行っています。「アーミテージ報告」で米国が求めた集団的自衛権行使を可能にする憲法の改定が企図されています。この流れを加速させるために、米駐日大使になったジョセフ・ナイ氏は、日本に対して憲法改定の圧力を強めることが予測されます。朝日新聞の予測のように《軍事偏重ではない幅広い同盟関係を築く方向に進みそうだ》とは楽観出来ません。

1月8日の「愛労連憲法ニュース」は《小坂憲次衆院議院運営委員長(自民党)は憲法審査会を始動させるために、今年1月からの通常国会で同審査会規程を制定すべきだと12月19日の議運理事会で提案しました。また、政府は、来年度予算の財務省原案に、「国民投票の準備に必要な経費」として2010年5月の国民投票法の施行に合わせ、市町村が投票人名簿の作成など新たなシステム開発をする費用に充てられる見込みの46億9千万円盛り込みました。このように、改憲勢力の執念はいささかも衰えていません。 私たちも、負けられません。憲法9条、25条、28条を活用し、憲法どおりの日本をつくっていくために、地道にかつメリハリを付けた憲法運動を進める1年としましょう。》と伝えています。