いせ九条の会

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軍事志向者の特性/山崎孝

2008-03-22 | ご投稿
【死者推計10万人超 イラク戦争開戦5年】(2008年3月20日付中日新聞)

【ワシントン=立尾良二】イラク戦争は20日、開戦から5年を迎える。ブッシュ米大統領は19日午前(日本時間同日夜)、国防総省で演説し「イラクで戦う意味があるか、勝てるかと議論するのは分かるが、答えは明白だ。サダム・フセイン(元イラク大統領)の放逐は正しい決定だった。米国はこの戦いに勝てるし、勝たねばならない」と強調した。 

イラク戦争の米兵死者数は3990人、戦費は4400億ドル(約44兆円)を超えた。ブッシュ大統領は「敵に勝つには必要な代償だ」とした上で、「イラクが混乱すれば、国際テロ組織アルカイダが勢いづき、暴力やテロがイラクから拡散し、世界経済に重大な被害をもたらす」と指摘し、駐留米軍の維持を正当化した。

また、アルカイダがイラクの石油資源を奪えば「米国やほかの自由主義国を攻撃するため、大量破壊兵器の入手を図るだろう。イランも同様に再び核兵器を開発するだろう」と危機感をあおり、イラク戦争への支持をあらためて求めた。

AP通信によると、米兵以外の兵士の死者数は英国175人、イタリア33人、ウクライナ18人など。イラク側の死者数は兵士が最大で6375人、市民が同じく8万9710人と推計されている。(以上)

★イラク戦争の米兵死者数は3990人、戦費は4400億ドル超(約44兆円超)を、ブッシュ大統領は「敵に勝つには必要な代償だ」と考えています。この必要な代償の中には、世界保健機関(WHO)は3月9日が発表した推計で15万1000人のイラク人の死亡者は、ブッシュ大統領の念頭にはありません。

自らが掲げた「大義」を達成するためには、他国民や自国民の犠牲を厭わないとするのが、軍事で物事を解決しようとする人たちの特性です。

日本の軍事志向者の中には、戦死者を「神」として扱い戦死者を美化する神話を作る。アジアに対する加害行為の従軍慰安婦問題には日本軍の関与はなかった、南京事件は虐殺ではなかった、朝鮮人などの強制労働問題に日本政府の責任はない。沖縄戦での住民の「集団自決死」には日本軍の責任はないとする考えを広めようとしています。そして大東亜戦争は日本の自存自衛の行為であったと正当化しています。

これらを主張する精神構造は、ブッシュ大統領の「敵に勝つには必要な代償だ」、他国の主権を蹂躙した「駐留米軍の維持を正当化」する精神構造とさほど変わりません。共通するのは事実を正視しない、人間の尊厳を第一として考えない特性です。