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専門店アパレルの矛盾Ⅱ

2008年08月20日 | アパレル放談
8月15日の繊研新聞の記事のように、厳しい専門店取引の状況からすれば、直営化の比重を高める経営も否定するものではないが、一時的、緊急避難的に直営化の比率を高めることには疑問を感じる。
生産者の利潤と販売者としての利潤を一気に享受できることは否定しない。
しかしながら、専門店アパレルの直営化によって、失うものが大きいのではないかと危惧する。
私は、前々から「卸売りアパレルは、狩猟民族(狩人)」に似ているのではないかと思っている。
狩人は、獲物を獲り尽くせば、次の猟場に移動すれば良く、今日の収獲が悪くても、翌日に大量の獲物に遭遇することも出来る。
それには巧みな技が必要だが多少の危険を冒して、素早く、強引に、貪欲に動けば、獲物は獲得出来る。
少し強引な例えかもしれないが、アパレルと共通すると思っている。
反対に「小売は農耕民族(百姓)」と共通するものがある。
決められた土地を耕し、種をまき、毎日せっせと草取りや水撒きや肥料を与えて、時間をかけて収獲をする。
折角育てたにも拘らず、ちょっとの隙に害虫や鳥で台無しになってしまう。
それだけに、精魂込めて地道に育てた収穫の喜びは大きいものだ。
小売とお百姓と共通するものを感じる。

この例えからすれば、卸系のアパレルが直営店を持つことは、「半漁(猟)・半農」と言うことになろう。
狩人と百姓を同時にこなすことが求められる。
小売出身のSPAのトップとアパレル出身のSPAのトップを比べてみると、この違いがはっきりと解る。
又、成功しているSPAは殆どが小売系のSPAであることも興味深い。
(大手百貨店アパレルのSPAを成功とみるか否かは、別の機会に論じたい)

卸系のアパレルの直営化を強化するのであれば、社内に農耕民族的(百姓)な風土(社風)をどの様に育むかが重要では無いか。
但し、アパレルとしての狩猟民族(狩人)の特性を失わ無いことが大前提である。

卸系の専門店アパレルの物造りがアウトソーシング化の傾向が強くなっている。
展示会を拝見すると、現場から遠ざかっている私の目でも「○○テキスタイル問屋の製品だな?」「○○専門商社の製品だな?」「○○OEMメーカーの製品だな?」と解ってしまうものが展示されている。
困ったことに、そのことが仕入れする専門店のバイヤーも解ってしまっていることだ。





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