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繊研新聞15日の記事から(専門店アパレルの矛盾)

2008年08月17日 | アパレル放談
お盆の15日の繊研新聞に興味ある記事が載っていた。
盆休暇でお読みになっていない方が多いのではないかと思うので、その記事の概略を紹介する。
記事の概略は、「関西の卸型中小ミセスメーカーが専門店卸不振で小売事業を拡大している。不振の専門店の譲り受けやFC化で直営化を強化している。卸売り業態と小売業態とをバランスを取った経営をしていく」と言った内容だった。
「各社は、人材、優秀な販売員の確保、育成に苦戦している」とのコメントも記されていた。

翌日16日の同紙には、KANFA(関西ファッション連合)のアパレル活性化プロジェクトの事業のセミナー開催の記事が掲載されていた。
セミナーの内容は「アパレルからSPAに切り替え成功したエコーインターの半田正社長の体験談を在阪のアパレルに紹介」のようであった。
専門店アパレルの現状は、専門店の低迷による、取引環境の悪化で厳しい状況であり、その打開策の一つとしての直営化は理解できる。
一方で、この二つの記事に、私はある種の「矛盾を感じざるを得ない。

そもそも卸型アパレルは、その商品力が専門店に支持されて、販売されて成り立って来た。
旧来は、各々のアパレルが、最も得意とする商品(アイテム)で専門店と相対してきた。
専門店もまた、そのアイテムを各々の専門店が気持ちを込めて、自らのコーディネートで販売して来た。
アパレルと専門店との「双方の熱意と真剣(真摯)な取引関係」で成り立って来た。
アパレルの「愚直なもの造りと専門店の入魂の販売」で成り立ってきたとも言える。
それが崩れだしてきたのは、昭和50年代頃だと考えられる。
DCブランドや大手アパレルのブランド化政策で、トータルブランド化が主流となり、その結果、商品造りへのこだわりが無くなり、「愚直なもの造りから、販売拠点の確保のためにのセールスプロモーションや販売支援」などにアパレル主眼がおかれた。
専門店も、「ディーラーヘルプ(取引条件)の良し悪しがアパレル(ブランド)の評価の基準」となった。
この事は、専門店の弱体化につながり今日に至ったとも言える。

ミセス系卸アパレルが、営業方針を小売事業の拡大を目指す事には、「事業の維持存続の為の手段」としては非難をするつもりは無いが、アパレルが卸事業も維持するのであれば、今一度、入魂・愚直な商品造りを目指すべきではないかと考える。

専門店のなかには、「入魂・愚直」なもの造りをしているメーカーを捜し求めており、私にもその問い合わが多くある。

セレクト系の専門店の中には一時期に海外商品(海外ブランドではなく)にそれを求めたが、個展の専門店では限界もあり、国内メーカー(ブランドではなく)を求めている事例が多い。

アパレルの生き残りのための小売事業強化だけでなく、専門店への「愚直・入魂」の商品開発(ブランド開発ではなく)も重要であろう。


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