8.8 解散か拡大か:NATO事務総長、NATO影響力拡大の理由を語る
NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、
ソ連崩壊および冷戦終結後のNATOが、何を目的として従来の責任範囲を超える必要があったかを説明した。
ワルシャワ条約機構が解散しても、NATOが存続するために、それは必要だったという。
ストルテンベルグ事務総長はニュージランドで学生を前に講演し、その中で
「NATOは40年間、機構の領域を越えなかった。この間、我々が行ったのはたった一つ、ソ連の抑制、それだけである。
それは成功したと言える。冷戦は一つの発砲もなく終わり、平和が維持されたのだから」と語った。
ストルテンベルグ事務総長は、ベルリンの壁の崩壊、冷戦終結を経て、人々がNATOの必要性に疑問を持ち始めたと言う。
「NATOの対抗勢力であったワルシャワ条約機構は消滅し、ソ連が崩壊したのだから」。
ストルテンベルグ事務総長によると、当初の目的であったソ連の抑制は、ソ連崩壊とともに消滅し、
NATOは存在意義のために自身の国境線を越えることを決定したという。
「NATOも同じように消滅すべきかと問題提起された。廃止すべきか、
欧州と北米の領土を越えるべきか。私たちは後者を選んだ」とストルテンベルグ事務総長は語っている。
NATOは1949年に、欧州をソ連の影響から保護すべくアメリカで誕生した。1954年にソ連はNATO加盟を申請したが、拒否されている。
1955年、NATOに対抗する形で、ソ連、アルバニア、ブルガリア、ハンガリー、ドイツ民主共和国(東ドイツ)、ポーランド、ルーマニア、チェコスロバキアの間でワルシャワ条約機構が設立された。
ワルシャワ条約機構加盟国には、国際関係において武力による威嚇あるいはその行使を控え、加盟国が武力攻撃を受けた際は、その国に至急援助を行うことが課されていた。
1991年2月、ワルシャワ条約機構の軍事機構の廃止が決定した。
冷戦が終結しワルシャワ条約機構が解散するまで、NATO正規軍が軍事作戦に参加したことは一度もない。
しかし1991年以降、NATOは精力的に拡大を進めただけでなく
(1999年にハンガリー、ポーランド、チェコが加盟。
2004年にブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、エストニアが加盟。
2009年にアルバニアとクロアチア、2017年にモンテネグロが加盟)、
クウェートにおける対イラク紛争、旧ユーゴスラビア領内、アフガニスタン、イラク、スーダンにおける戦争に参加している。