49歳のときに心不全で、心臓移植をしなければ半年で死ぬと宣告された。
人工の心臓をもって生きるのは嫌だったから、移植を断った。
友人にカンナビスのピルを勧められて摂るようにしたら、1カ月以内にはそれまでできなかった階段の上り下りが自力で
https://twitter.com/kisekino_kusa/status/1115518044502016001
カンナビスが“奇跡の植物”と呼ばれていることを、ご存じだろうか。
カンナビス、
またの名をマリファナ。この偏見に満ちた植物が、
いまアメリカのウェルネス業界を席巻しつつある。
奇跡の植物を取り巻いて、いま何が起きているのか。
ニューヨーク在住のライター・佐久間裕美子が、
カンナビスカルチャーの先進地・ロサンジェルスに飛んだ。
(雑誌『WIRED』日本版VOL.32より転載)
いま、アメリカでマリファナ業界が沸きに沸いている。
そんなニュースが日本でも少しずつ報じられるようになっているが、その前線はカリフォルニアにある。
HIV患者や末期がんの患者たちの要請に応じるかたちで、1996年にアメリカでいちはやく大麻草の医療使用を認めたカリフォルニア州は、
2014年にコロラド州やオレゴン州が嗜好用の使用を合法化したのに追随するかたちで18年に完全合法化に踏み切った。
この植物の呼称について書いておきたい。
この植物を、正式な学術用語である「カンナビス」という言葉で呼ぶべきだ、というコンセンサスがある。
そもそも1930年代まで広く医薬品として使われていたハーブを「危険」と考えたアメリカ連邦政府が、仕事を求めて越境するメキシコ人たちが使っていた「マリファナ」という表現をあて、その認識を広めようとした。
その背景には、レイシズム(人種差別)があった。本稿でもカンナビスを使うことにする。
メディカルからウェルネスへ
アメリカ連邦政府による違法ドラッグ指定のおかげで、カンナビスの研究は長いことさまざまなハードルに妨げられてきた。
けれど緑内障、HIV、がんなどの患者たちや彼らを支援するアクティヴィスト、また一部の医療関係者の地道な努力のおかげで、
痛み止めや治療薬などの
副作用軽減をはじめ、医療面で多くの効能が徐々に明らかになった。
一方で、嗜好用での使用も合法化した州では、疾患を抱える人たちを対象とした医療使用だけでなく、
そのウェルネス効果が注目されるようになってきた。
特に、もともとウェルネスに対する関心の強いカリフォルニアでは、
カンナビス業界が「ウェルネスのためのカンナビス」を喧伝している。
カンナビスという植物は、さまざまな成分でできている。
いわゆる「ハイ」と呼ばれる高揚感のもとになるTHC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)を代表格に、
判明しているだけでも100種類以上の「カンナビノイド」がある。
なかでも医療効果、ウェルネス効果があるとされているのがCBDだ。
カフェやレストランではCBDを使ったコーヒーや料理が提供され、エステではマッサージやバス・トリートメントに使うメニューが登場するなど、猫も杓子もCBD状態だ。
まずは医師に訊いてみようと、グリーン・ブリッジ・メディカルを訪ねた。
「ぼくは49歳のときに心不全で、心臓移植をしなければ半年で死ぬと宣告された。
人工の心臓をもって生きるのは嫌だったから、移植を断った。
友人にカンナビスのピルを勧められて摂るようにしたら、1カ月以内にはそれまでできなかった階段の上り下りが自力でできるようになった。
それをきっかけに興味がなかったカンナビスの文献を読みあさって勉強した。
結果、医療面での効果を信じるようになり、
12年前にこのクリニックを開業した」
こう言うのは内科の医師、アラン・フランケル博士。
医療使用の合法化から20年以上がたったいまでも、治療にカンナビスを取り入れる医師は数えるほどしかいない。
いま、フランケル博士のクリニックを訪れる人々の多くは、通常の治療がうまくいかずに藁にもすがる思いでやってくる人が多いという。
「がん、糖尿病、MS(多発性硬化症)から神経痛までいろいろな疾患を抱えた人がやってくる。」
カンナビス治療のひとつの問題は、臨床研究の結果がまだ少ないこと。
フランケル博士は、やってくる患者の同意を得て、治療の結果をデータとして積み上げる作業もしている。
フランケル博士のような医師を発見するのは、簡単ではなかった。
いま、「カンナビスのゴールドラッシュが起きている」と言われるカリフォルニアには、無数のディスペンサリーが存在する。
良心的なディスペンサリーはどれだけあるのだろうか。フランケル博士からは、「a few(いくつか)」という答えが返ってきた。
カンナビスの効能は、研究が進むにつれて次々と新しい事実が判明する。
「睡眠を助けるのはCBD-N、骨成長を助けたり、アルツハイマーを防止するのはTHC-V。
日々、新たな事実が明らかになるのでついていくのも大変ですが、わたしたちが理解することで患者やユーザーを助けることができます」
処方箋薬から解放せよ
奇跡の植物と言われる
カンナビスもヘンプも、
使う人間次第なのだ。
今回の取材でわかったことは、人間の身体を整えたり、疾患を防止するハーブとして注目されるカンナビス、そしてヘンプの効能をきちんと広めるために活動する会社や人々がいるということだ。
一方で、単に金儲けのために参入した会社やブランドも山とある。
ウェルネスを手に入れることは簡単ではない。奇跡の植物と言われるカンナビスもヘンプも、使う人間次第なのだ。
https://wired.jp/special/2019/cannabis-for-wellbeing