池波正太郎原作の短編集「熊五郎の顔」を基に撮られた、映画「鬼平外伝 熊五郎の顔」
を観ました。
これまでにも池波小説をテレビドラマ化した、「剣客商売」などを見た事はありますが、かと
言って特別、池波ファンと言うことでもなく、ブロ匠の方が池波正太郎の大ファンと言う影響
もあって、最近、池波小説も少し読んで見ようかな~と、思っていた矢先にこのビデオを見
付け借りて来ました。
(あらすじ) 極悪盗賊「洲走りの熊五郎」を火付け盗賊改方は追い詰め、改方の手先として活躍していた岡っ引きの「政蔵」は、熊五郎の手にかかり命を落としてしまう。 その捕り物の混乱の中、火付け盗賊改方は熊五郎を捕り逃がしてしまうが、熊五郎は「俺が仲間を必ず取り返す」と、捨て台詞を残し闇の中に立ち去って行く。 それから四年後、今は亡き政蔵の妻「お延」は、小さな茶店を営みながら女手一つで息子を育てていた。 ある日、店先で急な病に倒れた旅商人の信太郎と名乗る男を助け介抱してやる。 やがて二人は魅かれ合い、行く行くは所帯を持つ約束を交わす仲となっていく。 そんな中で、信太郎は数日後には必ず帰ると言い残して、商いの旅に出て行く。 信太郎と親子三人の生活を夢見るお延に、その直後探索に来た火付け盗賊改方に「この手配書の盗賊が立ちまわるかもしれんから・・・」と手渡され、見ればそれは「この男・・・あの人(信太郎)ではないか!」と驚愕する。 盗賊仲間の奪還を公言して暗躍する熊五郎、襲撃に備える盗賊改方、一方信太郎の正体に怯え、憎しみに燃えるお延、やがて熊五郎の捕縛に向けて事態は急展開していくが・・・・・・・
正直言って、これまで池波小説をほとんど読んだことがなかった当方、映画と原作の違い
は多分にあるものの、この映画を観る限りにおいて、捕り方の夫を憎い盗賊に殺された女
が、子育てに希望を託して、苦労しながら必死に生き抜こうとする中で出会った男と、人生
の中で既に忘れかけていた愛と、将来への希望、そして亡き夫への想い、そして愛が一瞬
にして憎しみへと変わる事態など、健気に生きて行く女を中心として、人々の心の機微がき
め細かに描かれており、とり分けラストのストーリー展開は驚きであった。
これも池波小説の素晴らしさなのかもしれない。
主演の「寺島しのぶ」は、さすがに演技派女優、この時代に生きる「母、女、寡婦」としての
心模様を見事に演じ切っており、ベテラン俳優・平泉成が、火付け盗賊改方の上官役を渋
い演技で、また熊五郎を小澤征悦が何やら影の感じられる演技で支え、この映画を一層盛
り上げている。
私もこれを機会に、この映画の原作を手始めに、池波小説を本気で読んで見たくなりました。
~今日も良い一日を~
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます