以前、ブロ友さんからお勧めのあった映画、『アメリカン・スナイパー』、
是非観たいと思いつつ、今日に至ってやっとレンタルして来ました。
この映画は、今やハリュウッド監督としても、「巨匠」と呼ぶに相応しい、
あの名優・クリント・イーストウッドの手によるもので、主演にブラッドリ
ー・クーパーを迎えて、制作された戦争ものと言うことでもあって、大変
楽しみにしていた作品です。
これは、米軍史上最強のスナイパー(伝説の狙撃手)と言われた、「クリ
ル・カイル」の自伝に基づいて、その半生が映画化されたもと言うことで
ある。
2003年に始まったイラク戦争、クリル・カイルは軍の特殊部隊ネイビ
ー・シールズの一員として厳しい訓練に耐え、あの「9・11同時多発テ
ロ」を契機に、最愛の妻と離れて、イラクの最前線戦場に派遣される。
クリルが狙撃手として最初に手にがけた標的は、皮肉にも反政府武装組
織の一員であり、武器の運び役の母子であった。
母親が我が子に対戦車手榴弾を手渡すのを瞬時に確認し、狙撃手とし
ての使命から・・・引き金を引く。(女子供は標的にしたくない・・・と思いつ
つも、彼は味方を守るために・・・止むなく決断)
彼の狙撃手としての、射撃の精度は超一流で、1km以上先の標的を確
実に射抜くほどの類稀ない腕を持ち、ただひたすら国を愛し、家族を愛
し、戦場(仲間達)を愛する男・クリルは、四たびのイラク戦争への派遣
の中で、160名の武装兵を射殺した(公証)、最強の『伝説の狙撃手』と
して、「英雄」と讃えられるが、いかに軍人の使命とは言え引き金に手を
掛ける度に、人の命が一瞬にして失われてゆく。(殺戮の日々)
掃討作戦を繰り返す中で、クリルは次第に戦争の狂気の中に飲み込ま
れて行く。・・・
戦場ではで敵、イラク・反政府武装勢力からは、『悪魔』と呼ばれ、その
首には実際に多額の懸賞金がかけられていたと言う。
戦闘において友を失明させた、敵のスナイパー・ムスタファ(元オリンピッ
ク射撃選手)を遂に追い詰め、1・9キロの距離から「友のために」と、思
いを込めて放った一発の銃弾で撃ち抜く、敵の狙撃手・ムスタファとの長
い戦いはついに幕を閉じた。
イラク派兵(殺し合いの狂気の戦場)で心に深い傷を負い除隊した弟、戦
場で日々斃れゆく同僚達のさまを、目の当たりにして、カイルの心は
序々に蝕まれ崩壊に向かってゆく。
一方、カイルが帰国する度に、変わり果てて行く夫・カイルの姿に、苦し
み、人間らしさを取り戻してほしいとの願いもむなしく、カイルの心は次
第に家族との溝が広がって行くのだった。
映画は、カイルの素顔は「命がけの壮絶な局面でも仲間を一心に守りた
い」「そして良き夫、良き父でありたい」と願うひとりの男なのだった。
映画は、そんな戦争の狂気に取り憑かれつつも、故国で待つ家族をこよ
なく愛する主人公の、光と影を子供時代も含めて回想しつつ、生々しく掘
り下げていく。
クリルは、4度目の派遣を最後に自ら除隊するのだが、イラク戦争で心
身を蝕まれ、また多くのそんな傷痍軍人達と触れ合う中で、戦争の後遺
症から徐々に立ち直って行くのだった。
しかし、同じ後遺症と向き合っている友の傷痍軍人に、ある日射撃場で
銃撃されて命を落とすのだった。
繰り返される愚かな戦争、「正義の戦争などあるはずもなく」、そこには
敵と味方に分かれて、ただただ殺し合う、狂気の殺戮(報復)の連鎖があ
るのみなのだが。・・・そこから得られるものは何ひとつない。
しかし一度、交戦の火蓋が切られると、いつも罪なき弱者(女子供)も容
赦なく犠牲にされる。
見せるのが映画であるから、娯楽作品である一方、戦争について改めて
考えさせられる映画でもあった。
時あたかも、安保関連法案裁決を巡って、国民の関心も高まって来てい
るところである。
今こそ、この映画『アメリカン・スナイパー』を観賞する価値があると思
うのだが。
(標的にされる、敵の弾薬運び役の母子)
~今日も良い一日であります様に~
アヴェマリィーア