おぉ、、、懐かしい! あの桑の実がたわわにに熟れている。
民家の軒先から桑の枝が道に競り出してきていて、沢山の実を着けている。
しかし、子供の頃、私達がよくもいで食べた桑の実とは、ちょっと違う様な気が
する。
葉っぱが随分小振りで、実の色も鮮やかで、しかもびっしりと生っている。
多分、今風に観賞用に改良されたものだろうか。
子供の頃、桑の実が熟れる時期になると、学校から帰るとカバンを置くのもそこ
そこに、友達を誘って桑畑(背丈の倍以上もある)に入り、口の周りを紫色に染めな
がら競って食べたものである。
そんな時、誰となく何んとなく学校で習い覚えた、童謡『赤とんぼ』の歌を
山の畑のくわの実を 小籠につんだはまぼろしか~
と口ずさみながら・・・・・・
あの頃は、田舎ではほとんどの農家が養蚕(蚕を飼ってマユを生産し、絹糸を作る)を
やっていて、我が家でもこの時期は両親は、毎日桑の葉を刈り取っての、蚕さ
ん(蚕のことをそう呼んでいた)の飼育に、額に汗して働いていたものだ。
しかし、この『赤とんぼ』(三木露風作詞)の歌、歌詞を今改めてつぶさに聴いて見
ると、登場する固有名詞や季節感等に、少なからず違和感を覚える・・・・
夕焼小焼の、赤とんぼ
負われて見たのは、いつの日か
山の畑の、桑(くわ)の実を
小籠(こかご)に摘んだは、まぼろしか
十五で姐(ねえ)やは、嫁に行き
お里のたよりも、絶えはてた
夕焼小焼の、赤とんぼ
とまっているよ、竿(さお)の先
となっていおり、これは三木露風が、「姐(姉)」に背負われていた幼い頃の懐か
しい思い出を、成人した後に追憶として、“赤とんぼ“が飛ぶのを見ながら、優し
かった姐(姉)・桑の実摘み・赤とんぼ・遠い日の思い出の数々、を凝縮して詠ん
だものであろうと思われる。
~貴方にとって、今日も良い一日であります様に~
あの頑固者(1匹だけ)の出雲ナンキンが、やっと色変わりし始めました。