6月4日と5日の土日、急に思い立って尾瀬に行ってきました。燧ケ岳は登らず、まったりテント泊して湿原を楽しむプランです。
豪絶地帯の尾瀬も今年は雪が少なめで、花の開花が例年に比べてとても早いようです。水芭蕉もいつもなら6月初めくらいに一番の見ごろらしいのですが、事前のリサーチによると今年は尾瀬ヶ原ではほぼ終わり、標高の高いアヤメ平などに残る程度ということでした。まあ、名物の大群落は見られなくても、湿原の癒し効果は昨年の鬼怒沼で経験済み。日本の代表的な自然美を楽しむなら、必ずしも水芭蕉がなくても大丈夫でしょう。
金曜日の夜にバスタ新宿を出発する関越バスの「尾瀬号」に乗り、まずは戸倉を目指します。戸倉からは朝4時半頃に出るシャトルバスで、尾瀬の入口である鳩待峠を目指します。
耳栓がポイントですね、夜行バスでは。結構眠ったと思います。注意としては、尾瀬号のパンフレットによると先に戸倉に着いてその後にもう一つの尾瀬の入口である大清水に行くように書いてあるのですが、実際には逆です。戸倉が後。これは、シャトルバスがどうせ4時半にならないと来ないので、早く着いても意味ないから。大清水からは林道を延々と歩いていくことになるので、夜明け前に着いても誰も文句を言わないんですね。むしろ時間を有効に使えるわけで。
そんな訳で鳩待峠に5時15分頃には到着です。尾瀬号も満員だったし、シャトルバスも満員。乗り切れない人はマイクロバスに乗せられていました。このマイクロバス、実は人数が集まったらバスと同じ料金で走ってくれる乗り合いタクシー。便利ですね。帰りにはこの乗り合いタクシーを使いました。
おにぎりなどの簡単な朝食を取って早速出発。尾瀬ヶ原に直接向かう人が多いと思いますが、私はアヤメ平を目指しました。今年は前述のように尾瀬ヶ原では水芭蕉もリュウキンカも見頃を過ぎているという情報を得ていたので、標高が高めのアヤメ平方面に残っているものを見ようという算段。加えて、尾瀬ヶ原を囲む小高い山に登ることになるので(標高差400メートルくらい)、景色も期待できるという腹です。
早速ブナの美しい森。尾瀬は実は湿原だけではなくて森も美しいですね。
尾瀬らしい木道の整備された道。朝の空気と木の香りがうれしい。
久しぶりのテント泊装備で重く感じますが、コースタイムより速いペースで横田代の湿原に到着。
そして、ここからは多くの登山者に抜かされるのも気にせず湿原の景色を楽しみます。早朝なので開いてない花もありますが、やはり湿原の楽園感はハンパない。
まずは水芭蕉。尾瀬ヶ原ほどの群生ではありませんが、ある程度楽しむことができます。
今年の尾瀬はタテヤマリンドウの当たり年。早朝はまだ花を開いていないものが多いですが、水色の小さい花が群しているのはとても可愛い。
ピンクの代表はヒメシャクナゲ。
アルプスの稜線では夏の代表的な花、チングルマが咲き始めていました。
そして湿原と言えばモウセンゴケ。鬼怒沼でも見ました。
そしてワタスゲ。この辺りは標高のせいか、まだ穂が真っ白にはなっていなかったですが、それでも木道と一緒に写真に収めるとなかなかいい。ワタスゲのメルヘン感は反則的に強力な癒しパワーがあると思う。
一歩引いて湿原を眺めると、とても気持ちがいい。青い空と緑の湿原、そして小さい花々と白い木道。
振り返ると至仏山。
これは平ヶ岳方面。ワタスゲの群生がよくわかると思います。
この通り。
そして、暫く歩くとアヤメ平に着きます。一時は人間が踏み荒して荒廃してしまった湿原ですが、東京電力などの地道な努力で回復してきています。東電のイメージはどうしてもよくないですが、尾瀬に限ってはその功績を認めるべきでしょう。
タテヤマリンドウが開いてきた。
ショウジョウバカマ。流石に花勢は終盤であまり見ませんでしたが、これは形のいい株。
イワカガミもちらほら。
ヒメシャクナゲもやはりピンクで可愛い。
尾瀬の主峰、燧ケ岳が正面に見えます。
平ヶ岳方面を振り返っても、池塘と一緒だと雰囲気が違う。
日光白根山も南方向に見えます。
ここから富士見峠方面に向かう途中に南方向の見晴らしがよいところがあるのですが、この山の風景が素晴らしい。原生林の緑が本当に綺麗。北関東の山々、尾瀬や谷川連峰、奥日光は本当に素晴らしいと思う。
見晴らしのいい木道を進みます。
富士見峠前の池塘。癒しの空間。
そしてタテヤマリンドウがたくさん。
ここからは樹林帯を尾瀬ヶ原方面に下ります。長沢新道という道です。途中、木道はあったりなかったり。意外と急な坂もあります。距離は短いけれど普通に登山道っぽい道でした。
ミツバオーレンが多かった。
広葉樹の森が美しい。巨樹もあります。
そして、やっと尾瀬ヶ原に下りてきました。すると、至仏山が左手に見えます。
水芭蕉と共に尾瀬に咲き乱れるリュウキンカ。残念ながら花勢は明らかに終盤で、形のいいものはあまり残っていませんでした。
そして、ここでもタテヤマリンドウが目立ちます。
これはなんだろう。白い花は多くてGoogle先生にお聞きしてもなかなか分からず。
湿原は泥炭の土地なので痩せていて栄養が少ないため、大きな植物は育ちにくいのです。だから、過酷な環境で生きる高山植物のような可愛い花が多いとのこと。タテヤマリンドウも、湿原のものは尾瀬沼周辺の樹林帯で見られるものより色が薄かったりして、やはり一生懸命なのですな。
そんな花を愛でながら尾瀬ヶ原の木道を行く。よく晴れた週末なので観光客が大勢。
尾瀬ヶ原の中央部に位置する龍宮と呼ばれるところに来ました。龍宮小屋という山小屋があり、その向こうには燧ケ岳が見えています。
龍宮小屋を過ぎて沼尻川を越え、尾瀬ヶ原の東端にある見晴を目指します。見晴には山小屋が6件も密集している上にテント場もあります。私もそこにテントを張る予定。途中はやはりタテヤマリンドウが多く、湿原はうっすらと水色に染まっているように見えました。
その他の花もちらほら。これはオゼヌマタイゲキ。
オオバタチツボスミレですかね。スミレは見分けるのがたいへんですが。
見晴の山小屋群に近づいてきました。燧ケ岳も徐々に大きく見えてきます。
見晴のテント場は、燧小屋が管理しているので、まずは小屋にて受け付け。
10時頃にはテントを張り、余裕の一日です。キツい山登りをせずに湿原の景色と空気、香りを楽しむ週末。なかなか優雅です。
とは言っても折角の尾瀬なので、寝て過ごしてもしょうがない。ここは尾瀬沼に散歩に出かけることにします。
尾瀬沼までは樹林帯の道を2時間ほど。尾瀬ヶ原とは標高差が250メートルくらいあるので、ところどころ急な坂もありますが、全体としては誰でも歩くことのできるルートだと思います。
はじめは木道を行きます。
沢を何度か通過。涼しい。
小粒の白い花が多いです。ニリンソウとか。
ツボスミレはたくさん。
これは何だろう。
スダヤクシュは結構ありました。
リュウキンカも形のいいものを探す。
これは不明。Google先生も限界。
オオカメノキ。どこにでもあるような気がするけど、尾瀬関連のホームページでは樹林帯の代表的な花として紹介されていることが多いです。
下から見上げる構図が好き。
時には形のよい水芭蕉も残っています。
そして、道中にも幾つかの小さい湿原があり、木道とベンチが整備されています。相変わらずタテヤマリンドウが多くて全体的にうっすら水色。
そんな中、ミツガシワ。よく見ると複雑な形の花ですが、可憐なイメージ。
湿原は木道とワタスゲのコラボ写真を撮っておけば間違いない。
程よく汗もかいたところで、尾瀬沼に到着です。沼尻と呼ばれる、北西の端に当たるところ。
さて、尾瀬沼を一周しながら景色とお花を楽しみます。ヤマカタバミが咲いていました。今年は奥多摩から八ヶ岳からどこでも見かけます。この花。
尾瀬沼越しの燧ケ岳は絵になる。
途中に水芭蕉がかなり残っている一角もありました。
そして、ビジターセンターに到着。ここ、結構情報豊富で楽しいです。鳥の写真と鳴き声のコーナーとか、かなりはまります。ぜひ行ってみてください。
何だかんだでゆっくり散歩して、尾瀬沼を一周して沼尻に帰還。その後は樹林帯の道を戻ります。帰りは250メートル下るので楽チンでした。
夕食までは燧小屋のお風呂で汗を流したりして過ごしました。久しぶりのテント泊でフォークや箸の類を忘れてくるという失態を犯したものの、流石に尾瀬なのでお土産に地元の木で作ったフォークがあったので事なきをえました。
夕食中に飛んできた小鳥。尾瀬では鳥の声はいつでも聞こえているのですが、勉強不足でまったく種類はわからず。
翌日は三条の滝方面に行くことも考えられたけど、今回は徹底的に楽をするコンセプトを採用して尾瀬ヶ原の木道を早朝散歩することにしました。
ワタスゲのメルヘン感に包まれながら木道を東電小屋方面に向かいます。
この小さい花は湿原の水辺に結構咲いていたんだけど名前が特定できない。
咲きかけの小さい青いお花。エゾムラサキかなあ。
早朝は特に野鳥の声がよく聞こえてきました。なかなか写真に収められないけど。これは必死にズームで撮ったもの。後姿だけど。
橋を渡ると一瞬だけ新潟県に入る。ちなみに、尾瀬は群馬県、新潟県、福島県にまたがっています。日本有数の豪雪地帯ですから、冬の積雪が豊かな水をたたえて湿原を支えているんでしょう
橋を渡った先にはオゼヌマタイゲキのお花畑がありました。
早朝のお散歩は快適。ブナの林を抜けて東電小屋方面へ。
東電小屋の周囲には水芭蕉やリュウキンカの群生地があるのですが、残念ながら今年の花の時期は終わっていました。
でも、一部のリュウキンカと例の白い花はまだまだ綺麗。
オオバタチツボスミレは所々に咲いていて、大きいから目立ちます。濃い紫が独特の気品を備えています。
ヨッピ吊橋と名付けられた橋を渡ります。
池塘が幾つか目につくエリアに入りました。池塘とワタスゲのコラボは天国感が強い。
朝の湿原。
一回りしたら見晴のテント場に戻って撤収。軽く朝食を食べて山ノ鼻方面へ。尾瀬ヶ原を横断して帰ります。
夜は花を閉じてしまうタテヤマリンドウが、再び花を開いてきたので湿原がうっすらと水色に。
そしてやはりワタスゲが可愛い。
池塘もたくさんあります。しかし、若干干上がっているように見えるものもあり、やはり冬場に雪の少なかった今年は水不足なのでしょう。貴重な直物のためにも梅雨の時期に恵みの雨があることを祈ります。
ヒメシャクナゲも牛首分岐を過ぎた辺りからかなり見かけました。
高山の稜線で見る花々と似ているようで違う雰囲気の湿原の花々。いずれもとても可憐で儚げで、ちょっと個性的なものが多いです。やはり花が好きだから山歩きしているのだと実感。
時間的にはまだ午前9時頃だったのですが、この時期は花の宝庫である至仏山は閉山されているので登らず、早めに東京に戻ることにします。週末のうちに片づけておきたいこともあったので。
山ノ鼻から鳩待峠までは基本的に木道の続く1時間程度の道ですが、観光客が大挙してやってくるのですれ違うのが結構大変でした。私はテント泊装備背負っているので邪魔だったでしょうね。
途中、ミヤマエイレンソウやカラマツソウを見かけました。
森の景色も素敵です。
鳩待峠に到着。人数が集まると乗り合いバスが戸倉まで順次出てくれるので、効率的です。
戸倉からはバスで上越線の沼田駅に出て帰りました。
尾瀬や奥日光、谷川連峰などの北関東の山々は贔屓の山域です。雪深い地域なので自然環境の厳しさがハンパなく、ただでさえ森の木々や花々、そして鳥たちも特徴的で美しい。それに地理的に特殊な高層湿原や氷河が削った景観、火山の影響、蛇紋岩という特殊な岩でできた山々など、箱庭のように凝縮されていて素晴らしい。3,000メートル級の稜線とは違った楽しみ方ができますし、心理的にはより落ち着く環境だと思います。
尾瀬には夏にもう一度くらいは行きたいです。他の花が咲く季節、そして至仏山の開いている季節に。
豪絶地帯の尾瀬も今年は雪が少なめで、花の開花が例年に比べてとても早いようです。水芭蕉もいつもなら6月初めくらいに一番の見ごろらしいのですが、事前のリサーチによると今年は尾瀬ヶ原ではほぼ終わり、標高の高いアヤメ平などに残る程度ということでした。まあ、名物の大群落は見られなくても、湿原の癒し効果は昨年の鬼怒沼で経験済み。日本の代表的な自然美を楽しむなら、必ずしも水芭蕉がなくても大丈夫でしょう。
金曜日の夜にバスタ新宿を出発する関越バスの「尾瀬号」に乗り、まずは戸倉を目指します。戸倉からは朝4時半頃に出るシャトルバスで、尾瀬の入口である鳩待峠を目指します。
耳栓がポイントですね、夜行バスでは。結構眠ったと思います。注意としては、尾瀬号のパンフレットによると先に戸倉に着いてその後にもう一つの尾瀬の入口である大清水に行くように書いてあるのですが、実際には逆です。戸倉が後。これは、シャトルバスがどうせ4時半にならないと来ないので、早く着いても意味ないから。大清水からは林道を延々と歩いていくことになるので、夜明け前に着いても誰も文句を言わないんですね。むしろ時間を有効に使えるわけで。
そんな訳で鳩待峠に5時15分頃には到着です。尾瀬号も満員だったし、シャトルバスも満員。乗り切れない人はマイクロバスに乗せられていました。このマイクロバス、実は人数が集まったらバスと同じ料金で走ってくれる乗り合いタクシー。便利ですね。帰りにはこの乗り合いタクシーを使いました。
おにぎりなどの簡単な朝食を取って早速出発。尾瀬ヶ原に直接向かう人が多いと思いますが、私はアヤメ平を目指しました。今年は前述のように尾瀬ヶ原では水芭蕉もリュウキンカも見頃を過ぎているという情報を得ていたので、標高が高めのアヤメ平方面に残っているものを見ようという算段。加えて、尾瀬ヶ原を囲む小高い山に登ることになるので(標高差400メートルくらい)、景色も期待できるという腹です。
早速ブナの美しい森。尾瀬は実は湿原だけではなくて森も美しいですね。
尾瀬らしい木道の整備された道。朝の空気と木の香りがうれしい。
久しぶりのテント泊装備で重く感じますが、コースタイムより速いペースで横田代の湿原に到着。
そして、ここからは多くの登山者に抜かされるのも気にせず湿原の景色を楽しみます。早朝なので開いてない花もありますが、やはり湿原の楽園感はハンパない。
まずは水芭蕉。尾瀬ヶ原ほどの群生ではありませんが、ある程度楽しむことができます。
今年の尾瀬はタテヤマリンドウの当たり年。早朝はまだ花を開いていないものが多いですが、水色の小さい花が群しているのはとても可愛い。
ピンクの代表はヒメシャクナゲ。
アルプスの稜線では夏の代表的な花、チングルマが咲き始めていました。
そして湿原と言えばモウセンゴケ。鬼怒沼でも見ました。
そしてワタスゲ。この辺りは標高のせいか、まだ穂が真っ白にはなっていなかったですが、それでも木道と一緒に写真に収めるとなかなかいい。ワタスゲのメルヘン感は反則的に強力な癒しパワーがあると思う。
一歩引いて湿原を眺めると、とても気持ちがいい。青い空と緑の湿原、そして小さい花々と白い木道。
振り返ると至仏山。
これは平ヶ岳方面。ワタスゲの群生がよくわかると思います。
この通り。
そして、暫く歩くとアヤメ平に着きます。一時は人間が踏み荒して荒廃してしまった湿原ですが、東京電力などの地道な努力で回復してきています。東電のイメージはどうしてもよくないですが、尾瀬に限ってはその功績を認めるべきでしょう。
タテヤマリンドウが開いてきた。
ショウジョウバカマ。流石に花勢は終盤であまり見ませんでしたが、これは形のいい株。
イワカガミもちらほら。
ヒメシャクナゲもやはりピンクで可愛い。
尾瀬の主峰、燧ケ岳が正面に見えます。
平ヶ岳方面を振り返っても、池塘と一緒だと雰囲気が違う。
日光白根山も南方向に見えます。
ここから富士見峠方面に向かう途中に南方向の見晴らしがよいところがあるのですが、この山の風景が素晴らしい。原生林の緑が本当に綺麗。北関東の山々、尾瀬や谷川連峰、奥日光は本当に素晴らしいと思う。
見晴らしのいい木道を進みます。
富士見峠前の池塘。癒しの空間。
そしてタテヤマリンドウがたくさん。
ここからは樹林帯を尾瀬ヶ原方面に下ります。長沢新道という道です。途中、木道はあったりなかったり。意外と急な坂もあります。距離は短いけれど普通に登山道っぽい道でした。
ミツバオーレンが多かった。
広葉樹の森が美しい。巨樹もあります。
そして、やっと尾瀬ヶ原に下りてきました。すると、至仏山が左手に見えます。
水芭蕉と共に尾瀬に咲き乱れるリュウキンカ。残念ながら花勢は明らかに終盤で、形のいいものはあまり残っていませんでした。
そして、ここでもタテヤマリンドウが目立ちます。
これはなんだろう。白い花は多くてGoogle先生にお聞きしてもなかなか分からず。
湿原は泥炭の土地なので痩せていて栄養が少ないため、大きな植物は育ちにくいのです。だから、過酷な環境で生きる高山植物のような可愛い花が多いとのこと。タテヤマリンドウも、湿原のものは尾瀬沼周辺の樹林帯で見られるものより色が薄かったりして、やはり一生懸命なのですな。
そんな花を愛でながら尾瀬ヶ原の木道を行く。よく晴れた週末なので観光客が大勢。
尾瀬ヶ原の中央部に位置する龍宮と呼ばれるところに来ました。龍宮小屋という山小屋があり、その向こうには燧ケ岳が見えています。
龍宮小屋を過ぎて沼尻川を越え、尾瀬ヶ原の東端にある見晴を目指します。見晴には山小屋が6件も密集している上にテント場もあります。私もそこにテントを張る予定。途中はやはりタテヤマリンドウが多く、湿原はうっすらと水色に染まっているように見えました。
その他の花もちらほら。これはオゼヌマタイゲキ。
オオバタチツボスミレですかね。スミレは見分けるのがたいへんですが。
見晴の山小屋群に近づいてきました。燧ケ岳も徐々に大きく見えてきます。
見晴のテント場は、燧小屋が管理しているので、まずは小屋にて受け付け。
10時頃にはテントを張り、余裕の一日です。キツい山登りをせずに湿原の景色と空気、香りを楽しむ週末。なかなか優雅です。
とは言っても折角の尾瀬なので、寝て過ごしてもしょうがない。ここは尾瀬沼に散歩に出かけることにします。
尾瀬沼までは樹林帯の道を2時間ほど。尾瀬ヶ原とは標高差が250メートルくらいあるので、ところどころ急な坂もありますが、全体としては誰でも歩くことのできるルートだと思います。
はじめは木道を行きます。
沢を何度か通過。涼しい。
小粒の白い花が多いです。ニリンソウとか。
ツボスミレはたくさん。
これは何だろう。
スダヤクシュは結構ありました。
リュウキンカも形のいいものを探す。
これは不明。Google先生も限界。
オオカメノキ。どこにでもあるような気がするけど、尾瀬関連のホームページでは樹林帯の代表的な花として紹介されていることが多いです。
下から見上げる構図が好き。
時には形のよい水芭蕉も残っています。
そして、道中にも幾つかの小さい湿原があり、木道とベンチが整備されています。相変わらずタテヤマリンドウが多くて全体的にうっすら水色。
そんな中、ミツガシワ。よく見ると複雑な形の花ですが、可憐なイメージ。
湿原は木道とワタスゲのコラボ写真を撮っておけば間違いない。
程よく汗もかいたところで、尾瀬沼に到着です。沼尻と呼ばれる、北西の端に当たるところ。
さて、尾瀬沼を一周しながら景色とお花を楽しみます。ヤマカタバミが咲いていました。今年は奥多摩から八ヶ岳からどこでも見かけます。この花。
尾瀬沼越しの燧ケ岳は絵になる。
途中に水芭蕉がかなり残っている一角もありました。
そして、ビジターセンターに到着。ここ、結構情報豊富で楽しいです。鳥の写真と鳴き声のコーナーとか、かなりはまります。ぜひ行ってみてください。
何だかんだでゆっくり散歩して、尾瀬沼を一周して沼尻に帰還。その後は樹林帯の道を戻ります。帰りは250メートル下るので楽チンでした。
夕食までは燧小屋のお風呂で汗を流したりして過ごしました。久しぶりのテント泊でフォークや箸の類を忘れてくるという失態を犯したものの、流石に尾瀬なのでお土産に地元の木で作ったフォークがあったので事なきをえました。
夕食中に飛んできた小鳥。尾瀬では鳥の声はいつでも聞こえているのですが、勉強不足でまったく種類はわからず。
翌日は三条の滝方面に行くことも考えられたけど、今回は徹底的に楽をするコンセプトを採用して尾瀬ヶ原の木道を早朝散歩することにしました。
ワタスゲのメルヘン感に包まれながら木道を東電小屋方面に向かいます。
この小さい花は湿原の水辺に結構咲いていたんだけど名前が特定できない。
咲きかけの小さい青いお花。エゾムラサキかなあ。
早朝は特に野鳥の声がよく聞こえてきました。なかなか写真に収められないけど。これは必死にズームで撮ったもの。後姿だけど。
橋を渡ると一瞬だけ新潟県に入る。ちなみに、尾瀬は群馬県、新潟県、福島県にまたがっています。日本有数の豪雪地帯ですから、冬の積雪が豊かな水をたたえて湿原を支えているんでしょう
橋を渡った先にはオゼヌマタイゲキのお花畑がありました。
早朝のお散歩は快適。ブナの林を抜けて東電小屋方面へ。
東電小屋の周囲には水芭蕉やリュウキンカの群生地があるのですが、残念ながら今年の花の時期は終わっていました。
でも、一部のリュウキンカと例の白い花はまだまだ綺麗。
オオバタチツボスミレは所々に咲いていて、大きいから目立ちます。濃い紫が独特の気品を備えています。
ヨッピ吊橋と名付けられた橋を渡ります。
池塘が幾つか目につくエリアに入りました。池塘とワタスゲのコラボは天国感が強い。
朝の湿原。
一回りしたら見晴のテント場に戻って撤収。軽く朝食を食べて山ノ鼻方面へ。尾瀬ヶ原を横断して帰ります。
夜は花を閉じてしまうタテヤマリンドウが、再び花を開いてきたので湿原がうっすらと水色に。
そしてやはりワタスゲが可愛い。
池塘もたくさんあります。しかし、若干干上がっているように見えるものもあり、やはり冬場に雪の少なかった今年は水不足なのでしょう。貴重な直物のためにも梅雨の時期に恵みの雨があることを祈ります。
ヒメシャクナゲも牛首分岐を過ぎた辺りからかなり見かけました。
高山の稜線で見る花々と似ているようで違う雰囲気の湿原の花々。いずれもとても可憐で儚げで、ちょっと個性的なものが多いです。やはり花が好きだから山歩きしているのだと実感。
時間的にはまだ午前9時頃だったのですが、この時期は花の宝庫である至仏山は閉山されているので登らず、早めに東京に戻ることにします。週末のうちに片づけておきたいこともあったので。
山ノ鼻から鳩待峠までは基本的に木道の続く1時間程度の道ですが、観光客が大挙してやってくるのですれ違うのが結構大変でした。私はテント泊装備背負っているので邪魔だったでしょうね。
途中、ミヤマエイレンソウやカラマツソウを見かけました。
森の景色も素敵です。
鳩待峠に到着。人数が集まると乗り合いバスが戸倉まで順次出てくれるので、効率的です。
戸倉からはバスで上越線の沼田駅に出て帰りました。
尾瀬や奥日光、谷川連峰などの北関東の山々は贔屓の山域です。雪深い地域なので自然環境の厳しさがハンパなく、ただでさえ森の木々や花々、そして鳥たちも特徴的で美しい。それに地理的に特殊な高層湿原や氷河が削った景観、火山の影響、蛇紋岩という特殊な岩でできた山々など、箱庭のように凝縮されていて素晴らしい。3,000メートル級の稜線とは違った楽しみ方ができますし、心理的にはより落ち着く環境だと思います。
尾瀬には夏にもう一度くらいは行きたいです。他の花が咲く季節、そして至仏山の開いている季節に。