冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

東京で美術館行かずにどうする

2012-11-10 19:35:22 | 息抜き
東京国立近代美術館にちょっと久しぶりに行ってきた。
私は、パリやロンドン、あるいはローマやフィレンツェに比べても、東京は美術館天国だと思ってます。
近代美術館は特にすばらしいものの1つですが、国立博物館は建物や庭も含めてやはり横綱。西洋美術館も近くにある。
現代美術館もレベル高い。
そして、やはり日本画の素晴らしさ。根津美術館、出光美術館、山種美術館の3つの中小規模の美術館は外せない。
他にも浮世絵の大田美術館とか、現代美術の原美術館。
などなど、言い出したらきりがない。

で、今回の近代美術館だが、開館60周年記念のベストセレクションということで、さすがに見ごたえがあった。
が、疲れた。少なくとも4,5時間はかかる。美術鑑賞が好きな人なら。
展覧会の名前も、「美術にぶるっ!」ということで、震えるような感動を得るような作品を展示しているという自負がうかがえる。
国宝はある程度年代が下らないと指定対象にならないので、近代美術館のものは重要文化財どまりなんだけど、そういう問題ではない。

私としては、これまで竹内栖鳳(斑猫が有名。絵が匂いたつ、まさに名画。)に比べて横山大観はあまりピンと来なかったんだけど、今回認識をあらためた。
墨の濃淡だけで表現された数十メートルと思われる大絵巻、「生々流転」にはあきれ返るほどぶるっときた。岩、松ノ木、水、霞、それらの表現の巧みさは脅威。そんなことより、国宝の伴大納言絵巻とか、ボストン美術館から今年来日していた絵巻物に負けない迫力だった。
日本画も洋画も挙げだすときりがないし、そもそも何度も見て既にひいきの作品も多い中で、今回驚いたのは下村観山の「木の間の秋」だろうか。琳派の装飾性に奥行きを持たせて絵画としての完成度を高めていて、すさまじく品があった。
あとは、上村松園の人気が高いようだけど、個人的には小林古径や小倉遊亀が好きだ。上品で優しい。
洋画では黒田清輝や岸田劉生、佐伯祐三から戦後の岡本太郎まで、どれを見ても思うのは、本場のヨーロッパの巨匠にもまったく引けを取らない表現力というか迫力。日本の洋画家の作品は恐ろしくレベルが高すぎる。

大都市、しかも東京レベルの洗練のある都市に住むことのできるありがたさは、こういう時に感じるね。
香港やシンガポールではこういうものは単純に存在しないし、アメリカでさえも例えば私が住んでいたフィラデルフィアでは限界があった。フィリーの美術館もよかったけど。でも規模がね。
そういう意味ではラッキーだと思う。東京に住んで。

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冷たい風のような火を燃やすものたち