ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

アルネール君の家出(1)

2011年06月08日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

2009年の12月に施設に移ったアルネール君(仮名)、その後2010年11月に施設から出て路上に戻って来てしまっていました。そして今、また施設に帰る準備をしています。今だから書ける施設から出てきたときのこと、振り返ってみたいと思います。
(参考;アルネール君が施設に移った時の記事「路上生活にさようなら」)


【路上に戻り、路上教育に参加するアルネール 写真右】

2010年10月27日(水)
マニラで、アイキャンに参加する子どもたちが集まる泊りがけのイベントがありました。パヤタスの子ども、ジェネラルサントスの子ども、ピキットの子ども、そして路上の子ども、フィリピン各地の子どもたちが一同に会するイベントです。路上の子どもの代表として参加するために、アルネールは施設のあるブラカンから2時間かけてマニラにやってきました。マニラに戻るのは施設に移ってから初めてのこと。施設では、元気に学校に通っていたものの、お姉さんや友達と会えないことの寂しさや恋しさが積もっていました。会場へ向かう途中、以前住んでいた辺りを車で通ったことが、今まで耐えていた気持ちを一気に噴出させてしまったのです。アルネール「あ、ここって僕がいたとこの辺りだよね。あ、あの人、知ってる人だよ。」


【アルネールも参加したイベントの様子】

イベント中も上の空で、みんなから離れたところに座り、つっぷしたままです。
スタッフ「アルネール、他の子どもたちはちゃんと参加してるでしょ。どうしちゃったの?」
アルネール「帰りたいよ。お姉ちゃんに会いたいんだ。」
スタッフ「分ったわ。明日お姉ちゃんに会えるようにするから、今はちゃんと参加しましょうよ。」

2010年10月28日(木)
イベント2日目、アルネールは宿泊施設から逃げ出しました。朝起きるいなくなっていました。イベントに参加している子どもたちも含めみんなで周りを探し回りましたが、見つかりません。

きっと彼は、元いた路上に戻っているに違いない。元いた場所に探しに行きました。
その場所に行くと、彼は以前路上にいたころにしていたように、もう雑巾を片手に持ち靴磨きの仕事をしています。アルネールを見つけたことで、とりあえず一安心です。しかし、彼は「施設には、もう戻らない。絶対に戻らない」ととても強い口調で言います。
スタッフ「分った。それは、あなたが決めること。私たちは、無理強いはしないわ。でもアルネール、お姉さんに会いたいと言っていたでしょ。見つかったの?」

お姉さんは、アルネールがいる路上の近くに住んでいましたが、立ち退きにより引越しをしていました。(関連記事;「頻繁な立ち退き」この時の立ち退きにより、お姉さんも移住しました。)

アルネールにお姉さんを探し出し必ず会わせると約束し、イベント会場になんとか帰しました。

スタッフは、アルネールが一緒にお姉さんを探しに行くと、本当にそのお姉さんの場所から離れなくなるだろうと考え、イベント会場にお姉さんを連れてくることにしました。アルネールのお姉さんに会いたい気持ちは分ります。しかし、何とか施設に戻さなければなりません。今施設から出るとまた学校も中退することになってしまいます。

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