ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

こどものこえ ―南レイテ島地すべり被災地②

2008年03月28日 | 災害の影響を受けた子どもたち
まい@まにら。

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避難所での生活はあまりハッピーじゃないわ。だってお腹が空くんですもの。友だちもあまりいないわ。え?もちろんここは子どもの数は多いわ。ほかのバランガイの子も住んでるから。セントラル小学校もすごいたくさんいるわ。

でも、本当の友達じゃないの。わたしたちのこと、彼らは "Bakwit(ビサヤ語で避難民の意)" って呼ぶのよ。この前、学校のフェンスが壊れたの。そしたら "Bakwtiがやった!"っていうのよ。なんでそんなこというのかわたし分からないわ。寂しいわ。え?怒ってるわけじゃないけど、とにかく、寂しいのよ。だって、わたしたち壊してないもの。何も言い返さないわ。アヤハグ小学校の時は、みんな仲良かったわ。だってわたしたち "Bakwit"じゃなかったから。それに、あの頃はみんな山で育った子どもだし、そんなの当たり前だから馬鹿にされなかったわ。早く村に帰りたいわ。でも帰っちゃ駄目だって。お父さんは仕事があるから帰ってるわ。ほかの子どもも帰ってる子いるのにね。お父さんは夜はここに帰ってくるのよ。他の人の畑で仕事してるの。


【子ども達が描いた絵。左側が以前暮らしていた村、右側は避難所の生活】



新しい家?行ったことあるわ。でも、新しい家でも、あまり嬉しくないわ。わたしは村に帰りたいの。新しい家も、今と同じように道路が近いからうるさいと思うわ。静かなところがいいの。



そして、ここみたいに狭くないしね。新しい家に引っ越しても、畑がないから、お父さんは農家でいられるかどうか分からないって言ってたわ。もう家は決まってるのよ。くじ引きで決めたの。いつ引っ越すかって?分からないわ。


わたしの夢は看護師さんになることよ。え?看護師の仕事ってどんなのかって?そんなのよく分からないけど、きっとお医者さんを助ける仕事よ。一度病院にいったときに、看護師さんが白い服着てたの。先生から看護師さんの仕事の話を聞いたこともあるわ。患者さんのおうちを訪ねることもあるのよ。小学校を卒業したら、私立の高校に通いたいわ。なんで看護師かって?だって、白い服を着るからよ。白好きなのわたし。わたしは以前は健康だったわ。でもここに来てから、わたしもきょうだいも、肌にブツブツができるようになったの。なんでか分からないわ。かゆいし、すごい熱くなるのよ。お医者さんは水が原因かもしれないって言ってたわ。薬塗ってもよくならないの。村に帰ったら治ると思うわ。


一番嬉しかったことは、誕生日よ。いっぱい料理を準備するからよ。10月17日なの。去年はここでお誕生日やったけど、つまんなかったわ。鶏肉は食べられなかったの。今はお米がないこともあるんだから。鶏肉は高いのよ。でも、一番好きな食べ物よ。去年の誕生日は、救援物資の中にパスタとソースがあったから、それを食べたの。嬉しかったわ。今年の誕生日はスパゲティはできないわ。だって今はもう救援物資ないもん。寂しいわ。昔はいっぱいあったわ。缶詰とか色々よ。今は寂しいわ。

え?怒ってるかって?怒ってないけど、もうあまり人こなくなったわ。最後にたくさん人が来たのは2月17日の一周年祈念の時よ。だから、話するの楽しいわ。え?前にもインタビューされたかって?されてないわ。ギンサウゴンの子どもの方が犠牲者だからね。絵を描いたこと?一度だけあったわ。それも楽しかったわ。

一番辛かったことは、今回は成績優秀賞をもらえなかったことよ。1年生から5年生までいつもわたしはこの賞をもらってたのよ。え、なんで今年取れなかったかって?先生にはお気に入りの子がいるのよ。今回その賞をもらった子は、先生の娘よ。だからわたしは2番目だったのよ。ほんとに不公平よ。

アヤハグの小学校は今閉まってるって。いつ開くのかしら…。ここの学校は嫌だわ。昔は欠席することなんて絶対なかったのに、なんだか面倒な気がするわ。え?1分も歩かなくてもいいじゃんって?だって、今はすぐそこにあるけど、学校終わっても遊ぶところもないし、学校でもここの出身の子どもたちと仲良くできないんだもん。でも勉強は大好きよ。今は電気きたから、夜も本読んだり勉強できて嬉しいわ。

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新しい環境の中、子ども達は災害で失った仲間や「故郷」を想い続けながら、新たな差別や貧困と向き合っています。緊急支援活動が終わった後も、ローズちゃんのような災害に遭った子ども達が心の傷を乗り越え、再び夢に向かって生活していけるよう、応援していきたいと思います。

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