橋下知事「伊丹廃止も」 関空活性化で検討指示 2008年8月1日
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080731/lcl0807311939003-n1.htm
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080731AT3S3101R31072008.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080801-OYT1T00065.htm?
航空各社が関西空港路線の減便を予定していることを受け、大阪府の橋下徹知事は31日、国や航空各社に同空港の活性化について要望するため上京し、大阪空港の廃止も視野に検討することを明らかにした。9月から国会議員や関係府県、地元自治体を巻き込んで議論を始める方針だが、強い反発が予想される。
橋下知事は関西空港の2期島整備の予算要望で国交省や財務省などに陳情した後、会見。「(神戸、大阪、関西の)3空港で併存するならば、どのように便を配分するのか。今のままではだめだということは明らかで、空港のあり方について抜本的な議論が必要だ」との認識を示した。
その上で「関西の活性化のためには、関空が盛り上がらないといけない」とし、「庁内では『触れないでほしい』という話もあったが、9月以降、伊丹(大阪)空港の廃止も視野に検討する」として、府庁内に指示を出したことを明らかにした。
ただ、空港の設置・廃止権限は国にあり、橋下知事は「国交省では、『大阪空港の廃止はとんでもない。3空港が基本だ』とくぎを刺された」と説明。さらに兵庫県の井戸敏三知事と電話で話し、「『3空港併存が前提。関空が中心というのなら議論のテーブルにつけない』といわれた」と話した。
橋下知事が大阪空港の廃止に言及したのは、関西空港が現状では生き残れないとの強い危機感が背景にあるとみられる。
橋下知事はこの日、関西国際空港全体構想促進協議会の副会長として、衆議院第一議員会館で開かれた「与党関西国際空港推進議員連盟総会」に、協議会会長の下妻博・関西経済連合会会長、平松邦夫大阪市長らとともに出席。
「関空が沈むと大阪のみならず、関西、日本が沈む」と支援を訴えた。また全日空では、山元峯生社長に「公共交通機関としてご配慮いただきたい」などと路線の維持を要望した。
「良識疑う」「もともと廃止対象」 伊丹廃止検討に賛否 2008年8月1日 産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080731/lcl0807312223007-n1.htm
「あまりに唐突だ」「知事は大阪空港が果たしてきた役割をご存じないのだろう」-。
大阪府の橋下徹知事から飛び出した大阪空港の廃止検討発言を受けて、地元自治体には31日、戸惑いと批判の声が広がった。前日の30日には「大阪国際空港周辺都市対策協議会」の平成20年度総会が兵庫県伊丹市内で開かれ、「国が直轄管理・運営する基幹空港としての機能維持」などの運動方針を採択したばかり。「空港存続の前提で話し合ったはずだ…」。
一方で「伊丹存続はそもそもルール違反だった」と発言を歓迎する自治体も。橋下改革は、隣県まで含めた新たな火種を抱えたようだ。
同協議会には、伊丹市や大阪府豊中市など周辺11自治体が参加。空港の活性化策や騒音軽減などを国に求めてきた。30日に採択した20年度の運動方針では、「基幹空港としての機能維持」「空港と地域の調和につながる『まちづくり』」などを採択していた。
同協議会会長で伊丹市の藤原保幸市長は「今後とも国が直轄で管理・運営するべきとの考えに変わりはない」とコメント。西宮市の担当者も「総会は、空港の存続を前提に話し合っていただけに驚いた」と当惑し、「廃止になれば、空港によって生活している人への影響も大きい。そうした配慮が橋下知事にあったのか疑問だ」と話した。
また、豊中市の浅利敬一郎市長は「唐突な話で驚いている。豊中市としては空港を活かしたまちづくりを進めており、知事の発言は理解できない」。大阪府市長会長でもある池田市の倉田薫市長は「特に現段階では申し上げることはない」としながらも、「知事からお問い合わせがあれば、私の意見は申し上げたいと思う」とコメントした。
大阪、兵庫両府県の事業所や団体でつくる「大阪国際空港及びその周辺地域活性化促進協議会」会長で、伊丹商工会議所の松谷英次郎会頭も「橋下知事は近畿経済に大阪空港の果たしている役割をご存じないのだろう。良識を疑わざるを得ない」と痛烈に批判した。
一方、航空路線の減便が進む関西空港側では、橋下発言に歓迎ムード。関西空港会社の村山敦社長は「知事自らが関空シフトの観点からイニシアチブをとろうという発言をしてもらい大変ありがたく、心強く思っている。関西3空港のあり方についてのコンセンサス作りにできる限り協力していく」とのコメントを発表した。
また関空の“おひざ元”の泉佐野市幹部は「伊丹空港はもともと関空誘致のときから廃止対象になっていた。当市としては歓迎する発言」とした。同市は伊丹存続が決まったときも「当初決めた“ルール違反”ではないか」と遺憾を表明していた経緯がある。
この幹部は「関空会社の経営不振から連絡橋の買い取り問題などが浮上して、市としては憤慨していた。当初のルール通り、伊丹を廃止していれば関空も現状のようではなかったのでは」と話した。
大阪空港の利用客からも批判の声があがる一方、存続を疑問視する声も聞かれた。
月に1度出張で利用するという大阪府豊中市の会社員、波部和良さん(59)は「アクセスのよさから大阪空港の廃止には絶対反対」。
熊本県から旅行で大阪に来ていた主婦の小谷久子さん(60)は「京都や奈良を旅行するのに、関西の他の空港より大阪空港が一番便利」。仙台市の会社員、大久保賢さん(31)も「オフィスが多くある大阪市内に行くために大阪空港が一番使われている。他府県の人にとっては、廃止されたら間違いなく困る」と話した。
これに対し、大阪市住之江区の会社役員(53)は「関空ができたときに大阪空港はなくなると思っていた。橋下知事も、理由があって発言していると思う」と、空港のあり方について再度検討を求めた。
どうやら、橋下知事は『最初に関空ありきで、関空の経営を守るためなら伊丹を廃止したい』派のようですし、財政再建の見地から考慮すれば、伊丹を廃止して関空に国内線も国際線も一本化した方が効率が良いという考え方もわからなくもありませんが、現実問題として、東京―大阪線、大阪―福岡線のようなドル箱路線が関空に移ったら、空港までの移動時間が長くなり、しかも空港に移動するまでの交通費も高くなることで、ますます新幹線に顧客を奪われるだけでしょうし、むしろ伊丹を国内線日中専用、関空は国際線及び夜間用として、関空の機能を大幅縮小した方が、赤字を削減する上でも余程マシだと思うんですけどね…。
確かに、神戸・関空・伊丹とこれだけ近い距離に空港が3つもあるのは、明らかに供給過剰だとは思いますが、だったら、(地元兵庫の方には悪いとは思いますが)最初から国内線オンリーの神戸空港など作らずに、伊丹と三宮・神戸を結ぶバスを増設すればよかっただけのこと。
あるいは、伊丹にある新幹線競合路線を神戸に移管した上で、そのほかの国内路線を関空に移して伊丹を閉鎖する選択肢もあったと思いますが、そもそも神戸空港を作る時に伊丹との調整を行わないまま、強引に建設を進めたことに根本的な問題があったように思います。
伊丹については60年代に騒音問題もあり、一気に廃止論が高まりましたが、深夜の騒音問題は24時間空港である関空の誕生でほとんど解決しましたし、ビジネスマンの利便を考えると伊丹廃止は無謀にも程があるとしか私には思えないのですが、この議論は最終的にはどうなっていくのでしょうか。
どんな形で決着するにしても、『誰のための空港なのか』を最優先に、顧客にとって一番良い形でこの問題を解決して欲しいものだと思います。
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080731/lcl0807311939003-n1.htm
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080731AT3S3101R31072008.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080801-OYT1T00065.htm?
航空各社が関西空港路線の減便を予定していることを受け、大阪府の橋下徹知事は31日、国や航空各社に同空港の活性化について要望するため上京し、大阪空港の廃止も視野に検討することを明らかにした。9月から国会議員や関係府県、地元自治体を巻き込んで議論を始める方針だが、強い反発が予想される。
橋下知事は関西空港の2期島整備の予算要望で国交省や財務省などに陳情した後、会見。「(神戸、大阪、関西の)3空港で併存するならば、どのように便を配分するのか。今のままではだめだということは明らかで、空港のあり方について抜本的な議論が必要だ」との認識を示した。
その上で「関西の活性化のためには、関空が盛り上がらないといけない」とし、「庁内では『触れないでほしい』という話もあったが、9月以降、伊丹(大阪)空港の廃止も視野に検討する」として、府庁内に指示を出したことを明らかにした。
ただ、空港の設置・廃止権限は国にあり、橋下知事は「国交省では、『大阪空港の廃止はとんでもない。3空港が基本だ』とくぎを刺された」と説明。さらに兵庫県の井戸敏三知事と電話で話し、「『3空港併存が前提。関空が中心というのなら議論のテーブルにつけない』といわれた」と話した。
橋下知事が大阪空港の廃止に言及したのは、関西空港が現状では生き残れないとの強い危機感が背景にあるとみられる。
橋下知事はこの日、関西国際空港全体構想促進協議会の副会長として、衆議院第一議員会館で開かれた「与党関西国際空港推進議員連盟総会」に、協議会会長の下妻博・関西経済連合会会長、平松邦夫大阪市長らとともに出席。
「関空が沈むと大阪のみならず、関西、日本が沈む」と支援を訴えた。また全日空では、山元峯生社長に「公共交通機関としてご配慮いただきたい」などと路線の維持を要望した。
「良識疑う」「もともと廃止対象」 伊丹廃止検討に賛否 2008年8月1日 産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080731/lcl0807312223007-n1.htm
「あまりに唐突だ」「知事は大阪空港が果たしてきた役割をご存じないのだろう」-。
大阪府の橋下徹知事から飛び出した大阪空港の廃止検討発言を受けて、地元自治体には31日、戸惑いと批判の声が広がった。前日の30日には「大阪国際空港周辺都市対策協議会」の平成20年度総会が兵庫県伊丹市内で開かれ、「国が直轄管理・運営する基幹空港としての機能維持」などの運動方針を採択したばかり。「空港存続の前提で話し合ったはずだ…」。
一方で「伊丹存続はそもそもルール違反だった」と発言を歓迎する自治体も。橋下改革は、隣県まで含めた新たな火種を抱えたようだ。
同協議会には、伊丹市や大阪府豊中市など周辺11自治体が参加。空港の活性化策や騒音軽減などを国に求めてきた。30日に採択した20年度の運動方針では、「基幹空港としての機能維持」「空港と地域の調和につながる『まちづくり』」などを採択していた。
同協議会会長で伊丹市の藤原保幸市長は「今後とも国が直轄で管理・運営するべきとの考えに変わりはない」とコメント。西宮市の担当者も「総会は、空港の存続を前提に話し合っていただけに驚いた」と当惑し、「廃止になれば、空港によって生活している人への影響も大きい。そうした配慮が橋下知事にあったのか疑問だ」と話した。
また、豊中市の浅利敬一郎市長は「唐突な話で驚いている。豊中市としては空港を活かしたまちづくりを進めており、知事の発言は理解できない」。大阪府市長会長でもある池田市の倉田薫市長は「特に現段階では申し上げることはない」としながらも、「知事からお問い合わせがあれば、私の意見は申し上げたいと思う」とコメントした。
大阪、兵庫両府県の事業所や団体でつくる「大阪国際空港及びその周辺地域活性化促進協議会」会長で、伊丹商工会議所の松谷英次郎会頭も「橋下知事は近畿経済に大阪空港の果たしている役割をご存じないのだろう。良識を疑わざるを得ない」と痛烈に批判した。
一方、航空路線の減便が進む関西空港側では、橋下発言に歓迎ムード。関西空港会社の村山敦社長は「知事自らが関空シフトの観点からイニシアチブをとろうという発言をしてもらい大変ありがたく、心強く思っている。関西3空港のあり方についてのコンセンサス作りにできる限り協力していく」とのコメントを発表した。
また関空の“おひざ元”の泉佐野市幹部は「伊丹空港はもともと関空誘致のときから廃止対象になっていた。当市としては歓迎する発言」とした。同市は伊丹存続が決まったときも「当初決めた“ルール違反”ではないか」と遺憾を表明していた経緯がある。
この幹部は「関空会社の経営不振から連絡橋の買い取り問題などが浮上して、市としては憤慨していた。当初のルール通り、伊丹を廃止していれば関空も現状のようではなかったのでは」と話した。
大阪空港の利用客からも批判の声があがる一方、存続を疑問視する声も聞かれた。
月に1度出張で利用するという大阪府豊中市の会社員、波部和良さん(59)は「アクセスのよさから大阪空港の廃止には絶対反対」。
熊本県から旅行で大阪に来ていた主婦の小谷久子さん(60)は「京都や奈良を旅行するのに、関西の他の空港より大阪空港が一番便利」。仙台市の会社員、大久保賢さん(31)も「オフィスが多くある大阪市内に行くために大阪空港が一番使われている。他府県の人にとっては、廃止されたら間違いなく困る」と話した。
これに対し、大阪市住之江区の会社役員(53)は「関空ができたときに大阪空港はなくなると思っていた。橋下知事も、理由があって発言していると思う」と、空港のあり方について再度検討を求めた。
どうやら、橋下知事は『最初に関空ありきで、関空の経営を守るためなら伊丹を廃止したい』派のようですし、財政再建の見地から考慮すれば、伊丹を廃止して関空に国内線も国際線も一本化した方が効率が良いという考え方もわからなくもありませんが、現実問題として、東京―大阪線、大阪―福岡線のようなドル箱路線が関空に移ったら、空港までの移動時間が長くなり、しかも空港に移動するまでの交通費も高くなることで、ますます新幹線に顧客を奪われるだけでしょうし、むしろ伊丹を国内線日中専用、関空は国際線及び夜間用として、関空の機能を大幅縮小した方が、赤字を削減する上でも余程マシだと思うんですけどね…。
確かに、神戸・関空・伊丹とこれだけ近い距離に空港が3つもあるのは、明らかに供給過剰だとは思いますが、だったら、(地元兵庫の方には悪いとは思いますが)最初から国内線オンリーの神戸空港など作らずに、伊丹と三宮・神戸を結ぶバスを増設すればよかっただけのこと。
あるいは、伊丹にある新幹線競合路線を神戸に移管した上で、そのほかの国内路線を関空に移して伊丹を閉鎖する選択肢もあったと思いますが、そもそも神戸空港を作る時に伊丹との調整を行わないまま、強引に建設を進めたことに根本的な問題があったように思います。
伊丹については60年代に騒音問題もあり、一気に廃止論が高まりましたが、深夜の騒音問題は24時間空港である関空の誕生でほとんど解決しましたし、ビジネスマンの利便を考えると伊丹廃止は無謀にも程があるとしか私には思えないのですが、この議論は最終的にはどうなっていくのでしょうか。
どんな形で決着するにしても、『誰のための空港なのか』を最優先に、顧客にとって一番良い形でこの問題を解決して欲しいものだと思います。