細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ジョアン・ジルベルトを探して』で青春のボサノバ原点追想旅行だ。

2019年07月19日 | Weblog

7月11日(木)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-051『ジョアン・ジルベルトを探して』"Where are You, Joao Gilberto? (2018) Gashot Films / Ideare Audience / Neos Films

製作監督・脚本・ジョルジュ・ガショ 音楽・ジョアン・ドナート <111分・ビスタサイズ> 配給・ミモザ・フィルムス

<ボサノバ>のリズムを初めて聞いたのは、初めてニューヨークに行った67年に、<ヴィレッジ・ヴァンガード>でウェス・モンゴメリーを聞いたとき。

それまでは<サンバ>や<マンボ>などの、ラテンの軽いリズムに接していたので、とにかく軽いリズム感覚だなーーと思っていた。

しかし、フィフス・アヴェニューのレコードショップで、フランク・シナトラが、アントニオ・カルロス・ジョビンと共演したレコードを買って、ショック!

その心地のいいリズム感は、サンバほど<お祭り>っぽくなくて、あの、ラテンの木陰の薫風を感じさせる、テキーラ・カクテルの香りがしたのだった。

それからは、ジャズ界に限らずに<ボサノバ・ブーム>がやってきて、あのアストラッド・ジルベルトの軽い歌も、クイード・テイラーのプロデュースでヒット。

70年代のジャズはすっかりボサノバのリズムで占拠され、そのアストラッドと離婚したジョアン・ジルベルトも、リード・アルバムをヒットさせていた。

そんな時代に青春だった当方としては、もちろん、ジョアンのCDも漁っていたが、彼の謎めいた自殺で、あのボサノバ台風も去ったのだった。

しかし今でも時々聞くボサノバの音感は、午后のラテンの温風のように気だるく気持ちいいが、ジョアンがこれほど謎めいた失踪癖があったとは・・・・。

という実にミステリアスな、ジョアンの足跡を追うドキュメントは興味深く面白かったが、あんな狭いトイレの中で作曲していた・・というのは、信じられない。

イメージのジョアンは、カルロス・ジョビンとは違って、もっとマイナーな<テキーラ・カクテル>のようで、この作品で自殺の真相も、また、より謎めいた。

 

■左中間の凡フライだが、野手が目測を見失いスリー・ベース。 ★★★★

●8月24日より、新宿シネマカリテなどでロードショー


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