細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『パリ13区』は、混在するラテン系の若者たちの異境の臭気だ。

2022年04月26日 | Weblog
●4月26日(火)11;05(火)109シネマ二子玉川・シアター・8
M-009『パリ13区』"Paris, 13th District (2021) French Film <109 min.> /  Presented Longride, japan.
監督・脚本・ジャック・オーディアール 主演・ジョニー・ベス、エマ・メルラン、ルーシー・チャン、マキタ・サンバ
パリに関しては、エッフェル塔やシャンゼリゼ大通り、芸術家の街モンパルナスの坂道や、若者の街サンジェルマン・デプレ、ノートルダム寺院や、
モンマルトルなどが観光的に有名だが、ニューヨークのブルックリンのように、<13区>という、南の外れにある地区は、スペインなどからの若い移住者たちの多い地区で犯罪も多い。
新興の高層ビルのアパートメントも多く、とても<パリ>とは思えない風景は、最近は多くの犯罪映画などの背景になっていて、旧市街とはまったく別の風景となる。
まさに国籍不明の大都会で、あの19世紀のまち、ロートレックやモジリアーニなど芸術家の街、という気配はまったく感じられない国際犯罪都市の佇まいがキナ臭い。
アパートで同棲しているジョニーとエマも、とくに定職は持っていない若者で、貧しさは微塵も匂わせない奔放な若者で、いかにもラテン系の明るさで、先が読めない。
しかも連日のように、ディスコ・クラブや裏町のカフェで奔放に闊歩している生活感覚は、まさに現代の<インターナショナル・シティ>の活気と喧噪に騒々しい毎日だ。
ま、ハリーポッター系列の<ファンタスティック・ビースト>や、ディスコ・ムービーのリバイバルにも閉口している、オールドファンとしては、寄りどころを求めたい作品。
しかし、期待したような、フランス映画の香りはなく、まるで、イタリアやスペインの貧民街を舞台にしたような、かなり混沌とした青春裏道映画で、閉口してしまった。
やはり、往年のジャン・ギャバンやジェラール・フィリップのような、パリの香りのする役者がいないと、いくらフレンチをしゃべっても、寂しいものだ。

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