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細越麟太郎 MOVIE DIARY



●12月に試写で見た新作ベスト/3

1/『ジェシー・ジェームズの暗殺』2007/warner 米 監督/アンドリュー・ドミ二ク ★★★★☆☆
西部の無法者を暗殺したのは、誰で、動機は何かを、現代のアングルで描いたサスペンス。

2/『潜水服は蝶の夢を見る』2007/仏 監督/ジュリアン・シュナーベル ★★★★☆
若くして全身麻痺に冒された男が、片目の瞼の回数で書いた感動の実話だが、軽いタッチが胸に迫る。

3/『ラスト コーション』2007/中国 監督/アン・リー ★★★★☆
日本軍占領下の上海で、スパイ活動をした女性の悲壮な恋愛と熾烈な運命を、アン・リーが本領発揮。

☆他にも「エリザベス/ゴールデンエイジ』『スルース』『テラビシアにかける橋』などが印象的だった。
2007年に試写室で見た新作は、計158本でした。マズマズですね。


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●12月26日(水)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-158『スルース』SLEUTH (2007) castle rock U.K.
監督/ケネス・ブラナー 主演/ジュード・ロウ ★★★☆☆☆
1972年に公開されたこのオリジナルの時は、マイケル・ケインが名優ローレンス・オリビエに挑戦した。
そして今回はそのマイケルが、ジュードのチャレンジを受ける。
密室でのふたりだけのドラマだが、さすがピンターの脚本と、ケネス・ブラナーの舞台演出で飽きさせない。
ひとりの妻を巡って、ミステリー作家と俳優が鬩ぎあう。
たしかに、よく出来たふたり芝居だが、どうも、セット・デザインに凝りすぎて、サスペンスにブレーキをかけるのが惜しい。
両者相譲らずの演技戦も見物だが、どうして、わざわざ敵の住居で対決したのかが謎だ。
そこで不法侵入で撃たれても、結果は不利。
ま、それにこだわらなければ、上等の舞台劇のようだ。

●3月、シネスイッチなどで、ロードショウ

これで、今年の試写はおしまい。158本の鑑賞は、アベレージでした。

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●12月25日(火)13-00 六本木<GAGA試写室>
M-157 『アース/EARTH』2007/ドイツ・イギリス合作
監督/アラステア・フォサーギル 日本語ナレーション/渡辺 謙 ★★★☆☆
地球上で絶滅寸前の北極熊など、貴重な動物たちの生態を見つめたドキュメンタリー。
とくに目新しい生物は出ないが、全編に何故か敗者の吐息のような絶望感が見られる。
地球温暖化を阻止しないと、このままではこれらの動物や直物たちは、地上から消えるという。
人っこ一人出ない映画なのに、人間の悲しみに溢れた作品だ。
多くの人に見て欲しいが、珍しさは少なく、テーマの大きすぎる印象。

●2008年1月/日比谷スカラ座などでロードショー


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●12月21日(金)12-30 渋谷<ショウゲート試写室>
M-156 『ラスト コーション/色戒』Lust, Caution (2007) focus 中国
監督/アン・リー 主演/トニー・レオン ★★★★☆
日本占領時の上海。
地下抗日活動班のタン・ウェイは、日本との情報活動をしている戦略諜報家トニー・レオンを暗殺すべく、彼の妻たちのグループに接近する。
あのヒッチコックの『汚名』の上海版だが、さすがはアン・リー監督は、『ブロークバック・マウンテン』でのアカデミー監督賞受賞の貫禄で、女スパイ映画ながら、情炎のような鮮烈なセックス・シーンを盛り込み、濃厚なラブ・サスペンスに本領を発揮。160分もの長尺を飽きさせない。
1942年というと『カサブランカ』の出来た年だが、不安定な国際情勢の下でのスパイとアンダーグラウンドの暗躍ぶりを、より人間っぽく突っ込んだのは、リー監督としても、東洋人の地の利を得て、意地を見せたのだろう。
秀逸なラブ・ストーリーでもある。今年のヴェニス国際映画祭でグランプリを受賞。アカデミー賞でのノミネートも予想される。

●2月2日より、日比谷シャンテシネなどでロードショー

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●12月18日(火)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-154 『地上5センチの恋心』Odette Toulemonde (2006)仏
監督/エリック=エマニュエル・シュミット 主演/カトリーヌ・フロ ★★★☆☆
いつまでも天使のような慈しみの心を持った未亡人。
秀作『やわらかい手』のオペレッタ版のような、心温まる女性、いや母性映画。
『女はみんな生きている』で楽天的パリ女性を快演したフロの、これまた痛快な人情コメディだ。
ジョセフィン・ベイカーの唄が好きなオデットは、彼女の歌が聞こえると、料理中でも踊り出す。
バカ陽気な未亡人のようでいて、周囲のトラブルにも暖かい愛情をそそぎ、メリー・ポピンズのように、時々は宙を舞う。
くったくのないセミ・ミュージカルのような幼児性が、実はこの作品の不思議な個性。
奇跡を呼ぶ能天気ぶりに、こちらも心が浮いてしまう。
むかしのフランス映画らしい、ウィットに富んだ嬉しい魅力ある作品だ。

●来春3月、シネスイッチ銀座などでロードショウ

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●12月13日(木)15-30 京橋<映画美学校/第一試写室>
M-153 『テラビシアにかける橋』Terabithia (2007)walden media 米
監督/ガボア・クスポ 主演/ジョシュ・ハッチャーソン ★★★☆☆☆
久しぶりに爽やかな童心に戻れる良心作品。
問題の多い少年期の夢と悩みと冒険心。
そのデリケートな動揺を、素直な低い視線で描いたスタッフの知性に拍手。
昔の『子鹿物語』のように、貧しい現実を転嫁させる少年少女のハートの動きを、抑制のきいたファンタジーで見せる。
そのテクニックが、ディズニーのような商業性を強調しない見せ方に好感が持てた。
これならば、すべての子供達にぜひ見て欲しい。

●2008年1月下旬、渋谷東急などでロードショウ

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●12月13日(木)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>
M-152 『潜水服は蝶の夢を見る』Le Scaphandre et le Papillon (2007)仏
監督/ジュリアン・シュナベール 主演/マチュー・アマルリック ★★★★
42歳の若さで、突然全身麻痺の奇病を患った男。
動かせるのは左の目だけ。
まさに潜水服のまま深海を潜っている感覚だ。
その男の視線で映画は描かれるので、本当にもどかしい苦痛を共感する。
一人称の視線が、少しずつ他の視線からも見られるので、映画は病人の心の変化をデリケートな感性で見せて行く。
大変にユニークな作品だが、美しい映画だ。
人間は、知能さえあれば、記憶と想像力で、人生を語れる。
今年のカンヌ映画祭で監督賞受賞は頷けた。拍手。

●2008年新春、シネマライズなどでロードショー予定

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●12月12日(水)13-00 日比谷<ワーナー・ブラザース試写室>
M-151『アイ・アム・レジェンド』I am Legend (2007) warner brothers
監督/フランシス・ローレンス 主演/ウィル・スミス ★★★☆☆
抗ガン薬品の突然反応の異変で、人間が死滅した世界。
医薬博士のウィル・スミスが、ひとりマンハッタンで愛犬とともに生きている。
『渚にて』の後日談として面白い。
しかも『12モンキーズ』よりも視覚的に明快だから、荒廃した街を鹿を追って車で疾走するシーンは素晴らしい。
とにかく前半のビジュアルは一見に価する。詩的でもある。
ところが後半に野獣化したゾンビの襲撃が悪化してからは『バイオハザード・4』のようだ。
しかもラストの悲壮感は困ったもの。
娯楽映画なのだから、ハッピーエンドにして欲しかった。正月映画なんだから。

●12月14日より、世界同時公開。

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●12月10日(月)12-30 六本木<ディズニー試写室>
M-150 『ナチョナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』National Tresure/Book of Secrets (2007)walt Disney
監督・ジョン・タートルトーブ 主演/ニコラス・ケイジ ★★★☆
良くも悪くもジェリー・ブラッカイマー・ブランドの新作。
サービス過剰のアクションと信じられないテンポの早さ。
これぞハリウッド・エンターテイメントという強引さにいささか消沈した。
リンカーン暗殺が組織的な犯行だったとする解明のために、ホワイトハウスまで潜入するのはいいが、大統領を拉致するあたりから嘘っぽい展開がエスカレート。
果てはマウント・ラシュモアでインディ・ジョーンズのような展開となる。
なんでこうなるのか。サービス精神にも、奥ゆかしい含みがあってこそ。
ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』で気分転換が必要だ。

●12月21日、日劇ほか世界各国同時ロードショウ公開


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●12月6日(木)13-00 日比谷<ワーナー・ブラザーズ試写室>
M-149 『ジェシー・ジェームズの暗殺』The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford (2007) warner brothers
監督・アンドリュー・ドミニク 主演・ブラッド・ピット ★★★★☆
西部の無法者ジェシー・ジェームズに関しては、過去にも十回以上も映画化されたから、その最期もよく見た。
しかし、ブラッド・ピットとリドリー・スコットがプロデュースした今回の作品は、ジェシーの犯行よりも、彼を暗殺したロバート・フォードの心理的な変化を描いていて面白い。
特にジェシーの名声に憧れて、彼のギャングに入り、彼の「片腕」になろうとした青年の心理は、非常にスリリングだ。
だから、この作品は西部劇というよりは犯罪心理サスペンスといえよう。
今年のベネチア映画祭で最優秀演技賞を受賞したブラッド・ピットもいいが、自然の色彩の変化と風の流れを撮影したロジャー・ディーキンズのカメラは圧巻だ。
160分という長尺を飽きさせない魅力がある。
そして暗殺者で友人を演じたケイシー・アフレックのナーバスな演技もオスカーものだろう。
デ・ニーロの『ファン』のように、ファンはアサシンにエスカレートする。その心理を映画は抉る。

●1月12日よりロードショー予定

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