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細越麟太郎 MOVIE DIARY



3月に見た新作試写ベスト3

 

1・『インサイド・ルーウィン・デイヴィス/名もなき男の歌』(ジョエル&イーサン・コーエン)主演・オスカー・アイザック ★★★★☆

  60年代のニューヨーク、グリニッチ・ヴィレッジで放浪するギター歌手の日々に再現する青春のバラード。秀逸な映像レトリックの妙味が鮮やか。

 

2・『ファイ(FAY)』(チャン・ジュナン)主演・ヨ・ジング ★★★☆☆☆

  誘拐犯の男たちに育てられた少年の乾燥した青春の殺意を描いたニューロチィック・ノワールの力作。一触即発の環境のなかの異様な静寂が美しい。

 

3・『ディスコネクト』(ヘンリー=アレックス・ルビン)主演・ジェイスン・ペイトマン ★★★☆☆

  日常的なネット社会に潜む中傷と偽装と詐欺。一見すれば幸福で自然な風景も、悪意なメールで一気に地獄となる現代社会の構造の脆さを突いた勇気。

 

★その他に見た3月の試写でよかったのは・・・・

『世界の果ての通学路』パスカル・プリッソン

『リベンジ・マッチ』ロバート・デ・ニーロ

『ハミングバード』ジェイソン・ステイサム

『ポリスストーリー<レジェンド>』ジャッキー・チェン・・・といったところでした。 



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3月26日(水)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-033『ハミングバード』Hummingbird (2012) I M Global, shoebox films  

監督・スティーヴン・ナイト 主演・ジェイソン・ステイサム <100分> 提供・ハピネット+ショウゲート ★★★☆

アフガニスタンの戦場で活躍した無人偵察機の名前がタイトルの意味だが、その奇襲戦闘のミスで、戦友を失ったジェイソンは軍事法廷を逃れて脱走し、ロンドンに潜伏していた。

たまたま空き巣に入ったマンションの住人は長期ニューヨーク出張。衣類もサイズがほぼ同じなので、友人を装ってそこに居座った。

ホームレスと一緒に救世軍の給食支給を受けて体力の回復に努めたが、世話になった宣教師の女性が地下組織に拉致されたので、彼はキレた。

複雑な犯罪組織との抗争の細部は、いちいち説明は難しいが、ストイックなジェイソンは、この作品ではマーシャルアーツも控えめなのがいい。

話は、よくある40年代の、あの戦争帰還兵のニューロチィック・フィルム・ノワールの様相だが、ジェイソンのキャラが例によって陽性なのが軽くていい。

「堕天使のパスポート」や「イースタン・プロミス」のシナリオを書いていたスチィーブン・ナイト監督は、初のメガホンには見えないシャープな感性の切れがスムーズだ。

とくに、戦傷の影響でメンタルにも故障のあるジェイソンが、ベッドで見る本物のハミングバードの幻覚が、なかなかいいイメージだ。

そしてシスターに扮したアガタ・ブゼクはポーランド出身らしい表情の冷たさがユニークで、この作品の資質を硬派に支えている。

いつものジェーソン・ステイサムは、スチィーブン・セガールの弟分のような印象だが、この作品に関しては、かなりシリアスな印象が強い。

ポール・ウォーカー亡き後、このようなB級クライム・ムービーの切れ者が少ないなか、ここで見せたジェイソンのストイックな存在感は、とても嬉しい。

このテの男性アクション作品は、見てみないと見当がつかないが、この作品は拾い物としての風格があった。

 

■ショートへのシャープなゴロがイレギュラーしたのか、左中間に転々。

●6月7日より、新宿バルト9などでロードショー 



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3月25日(火)13-00 六本木<シネマートB3試写室>

M-032『世界の果ての通学路』On the Way to School (2012) Maca Production / winds-ymagis-herodiade 仏

監督・パスカル・ブリッソン 制作・ステファニー・ショーター <77分> 配給・キノ・フィルムズ ★★★☆☆

実にシンプルで気持ちのいい中編ドキュメンタリーだ。要するに世界の4つの僻地の子供たちの、とても信じられないような通学苦を見せてくれる。

ケニアのサバンナの小学生は、毎朝日の出と共に2時間もかけて原野を歩き、ゾウと遭遇すれば木陰に隠れて始業時間に間に合うように行く。

アルゼンチンのアンデス山脈のパタゴニアの少年は、妹をつれて1時間半もの荒野を、嵐の日でも傘も持たないで歩く。

モロッコのベルベル族の少女たちは、アトラス山脈をマイナス気温の中、4時間も毎朝歩いて通学する。

インドのベンガル湾添いの村の少年は、小児まひの兄を車いすに乗せて1時間20分もかけて登校するのだ。

この過酷な通学の様子を、この作品はランダムに、しかも陽気に描いて見せる。いったい全体、こうまでして学校に行かねばならないのか。

作品の狙いは、このような通学の実態を見せつつも、子供達には教育が必要なことを、基本的に見せつけて行く。このクソ度胸が凄い。

たしかに日本にだって、僻地の過疎な教育現場はある。通学1時間。先生と生徒はひとりだけ。というケースだってあった。

今ならネットを利用して、どれだけ離れていても教育はできるだろう。しかし、この映画ではそれには触れようとしないのだ。

徹底的に明るい子供たちの無心な笑いと、教育への必然性と渇望と、明日への期待をこめて淡々と描いて行く。

子供達には教育が必要なのだ。そうすれば世界には争いごとも、貧困も疎外も偏見もなくなるのだ・・・・。というようなことを考えさせられる。

「アバウト・シュミット」のジャック・ニコルソンが、このような僻地の苦学生から一枚の絵を贈られて号泣した。あの感動を思い出した。

 

■左中間のショート後方にポトリと落ちたヒット。

●4月12日より、シネスイッチ銀座などでロードショー 



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3月19日(水)13-00 六本木<シネマートB3試写室>

M-031『ディスコネクト』Disconnect (2013) L D entertainments / wonderful films / odd box 2

監督・ヘンリー=アレックス・ルビン 主演・ジェイソン・ペイトマン <115分> 配給・クロックワークス ★★★☆

過剰なネット文化の進化による、人間性の喪失への危惧を様々なエピソードで描いた社会サスペンス。ま、狙いはアカデミー賞好みだ。

ニューヨーク郊外の一軒家に住む敏腕弁護士のジェイソンは、忙しくて出張の多いベテランで、二人の子供にも恵まれた典型的な中堅社会人。

ところが突然、ハイスクールの長男がイジメを苦にして、自宅で首つり自殺を試みて意識不明の昏睡で入院してしまった。

原因は学校の悪友たちの悪質なネット遊びで、思わぬ屈辱のワナにハメラレて、それを苦にしての衝動的な行為だったらしい。

実際の犯罪行為ではないので、事実関係は判らないままに入院は長期化していき、徐々に家庭も崩壊の危機となる。まさに現代のネットの落とし穴である。

見舞いに来た学生の証言から、ジェイソンは実態の掴めないネットの無責任で悪質な中傷の裏を探るうちに、とてつもない日常の見えない地獄に心を痛めて行く。

ま、ごく日常的な生活のなかにある、些細なネットのやり取りからも、銀行口座からの全額引き落としのようなワナのある現代社会の悲劇を点描していくコワさ。

オスカー受賞の「クラッシュ」のような人間模様を、ここではスマホやチャットの悪意の転落を、実に鮮明に描いてみせて、かなり、恐怖のホームサスペンス。

ところが、どうもシナリオの構成と演出の味付けが平板で、せっかくの着眼点があまりドラマチックにならないのも、テーマのせいでイライラさせられてしまう。

ポール・ハギスか、イーストウッドが描いていたら、きっとオスカーにもノミネートされるであろう面白さは持っている。が、残念ながら、もどかしい作品。

たしかに、これだけネットが日常生活をコントロールする時代になって、どう、この機器の利便性に巧妙に対応していくかは、その個人に与えられた宿題でもある。

映画の感動も、つまり、英知の結集だけではディスコネクトなのだ。という皮肉な思惑を残す社会的なホームドラマだった。

 

■狙いのいい左中間への巧打だったが、後半失速してレフトフライ。

●5月24日より、全国ロードショー 



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3月18日(火)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-030『リベンジ・マッチ』Grudge Match (2013) warner brothers presents / caravan film works /  gerber pictures

監督・ピーター・シーガル 主演・シルベスター・スタローン <113分> 配給・ワーナー・ブラザース ★★★☆☆

何と、ボクシング映画でアカデミー作品賞受賞の名作「ロッキー」のスタローンと、秀作「レイジング・ブル」のロバート・デ・ニーロのリング対決。

ロッキー・バルボアとジェイク・ラモッタ。ふたりのヒーロー。あれから3~40年も経っているのに、このふたりには、実は犬猿の怨念が過去にあった。

つまりスタローンの妻だったキム・ベイシンガーと浮気をしたデ・ニーロには、男の隠し子がいて、しかも、すでに孫までいたのだった。

この不遜の関係を憶測した、でたらめなYouTubeの画像が波紋を呼んで、借金地獄のプロモーターが、このふたりをリング決戦させようと企んだのだ。

原題は「イヤな試合」。まさに初老のふたりにとって、逢うのも嫌な相手なのに、なぜかこのデタラメ情報が人気を呼んで、高額のギャラが約束されたのだ。

もう60歳になるご両人だって、こんな「ヤラセの試合」なんて、やりたくはない。でもお互いに老後の生活が苦しいので金は欲しい。

なんだ、アイデアはウディ・アレンとピーター・フォークの共演した名作の「サンシャイン・ボーイズ」じゃないか。しかも高齢者同士のデス・マッチ。

どうも気が乗らないには、このご両人と同様に、見ているこちらだって、あまり見たくもないボクシング。だってヨレヨレのご老体がリングで死闘をするなんて・・・。

しかし、どうもこの作品の狙いは別のようだ。・・・。老夫婦の復縁と、隠し子との友情。そして死ぬまでにやっておかねばならないこと。勇気とメンツ。

そうか、あのペキンパの名作「昼下りの決闘」の、ボクシング版なのだ。しかも二人の死闘は、ほとんどグリーン・マットのCGエフェクト処理なのが明かされた。

だから、悲惨なボクシング映画ではなくて、これは男気の果たし合いであり、つまりは元気に生きよう、という老人たちへの応援歌なのだ。

ラストで、ジョー・フレイザーとモハメッド・アリが談笑するカットがあって、妙にナットクのいったシニア映画なのだ、と気を良くしてしまった。

 

■ショートの頭上にふらりと上がったライナーが、そのままファンスまでのツーベース。

●4月4日より、新宿ピカデリーなどで全国ロードショー 



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3月13日(木)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-029『ポリス・ストーリー/レジェンド』Policestory Legend <警察故事>(2013) jackie & JJ productions / wanda media company 

監督・デイン・シェン 主演・制作・ジャッキー・チェン <110分> 提供・アピネット+ブロードメヂィア・スタジオ ★★★☆☆

60歳になったジャッキー・チェンは、昨年にラスト・アクションと称して「ライジング・ドラゴン」で壮絶なカンフーを披露した。

ところが、シルベスター・スタローンや、アーノルド・シュワちゃんらが、老骨に鞭打って大暴れしているのにキレたのか、またしても「ポリス」もの。

こちらは「ラッシュアワー」のようなコミック・アクションではなく、かなりマジで人情味の濃いアクションものなので、ま、おつきあい。

しかし、さすがにご本人もマジにこれでアクションは終了というだけに、シナリオは入念に書き込まれていて、いや、意外に面白かった。

クリスマスの北京。ジャッキー刑事は、久しぶりに娘の呼び出しで街のクラブで再会したが、突然、ヤクザな裏組織グループにクラブが占拠されてしまった。

もと重化学の工場だった建物を改造したという悪徳のクラブは、俄然、要塞のような威容で外部の救出をカット。完全孤立の砦のようになった。

なんだ、想定は「エアフォース・ワン」と同じじゃないか。とは思ったもの、ま、そこはジャッキーのワン・マン活劇だから文句を言っても始まらない。

要するに主犯格のリウ・イエの妻がコンビニ強盗で流れ弾で死亡したときに、ジャッキー刑事がいたことへの怨念の復讐が裏にあるらしいことが次第に見えてくる。

従って映画は一種の密室サスペンスとなり、いつものジャッキーのコミックな芸は封印されて、かなり老齢となった苦渋のシワが、彼の表情を曇らせる。

ま、人気の「ポリス・ストーリー」の10年ぶりにして最終章というだけに、作品には、かなり気合いが入っていて面白く出来ている。さすがであった。この分だと、まだしばらくはジャッキー・チェン刑事の定年退職はないようだ。

 

■バットを折ったが、パワーで左中間を破ったベテランらしいツーベース。

●5月、新宿ピカデリー他で全国ロードショー  



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3月11日(火)東銀座<松竹映画本社3F試写室>

M-028『インサイド・ルーウィン・デイヴィス/ 名もなき男の歌』Inside Llewyn Davis (2013) studio canal / anton capital entertainment

監督・ジョエル&イーサン・コーエン 主演・オスカー・アイザック <104分> 提供・TOHO・ロングライド ★★★★☆

1961年のマンハッタン、グリニッチ・ヴィレッジのカフェでは、フォークソングよりは異端のデイヴ・ヴァン・ロックという類いのミュージシャンが唄っていた。

プロテスト・ソングではなく、アーロ・ガスリー系の、ソロ・ギターのシンガーで、自作の曲を深夜唄うルーウィンは無一文。

マイナーなレコーディングの実費で、その日のメシはどうにか食いつなぐが、ギター一本だけで友人の家のソファーで寝かせてもらうという、マンハッタン難民だ。

その彼の自堕落な日常をスケッチしながらも、さすがにコーエン兄弟のシナリオは面白い。とくに60年代のヴィレッジの夜のスケッチは哀愁と異臭が入り交じっている。

友人のミュージシャン、ジャスティン・ティンバーレイクとデュエットでレコーディングする辺りの描写は「ブロードウェイ・ダニーローズ」を彷彿とさせる。

しかし、陽気なような日常のスケッチとは裏腹に、テーマの日常的な悲惨さは、ダスティン・ホフマンの「レニー・ブルース」の苦みを思い出させる。

おそらく、コーエン兄弟も、この時代のニューヨークの掴みづらい流動性には手こずったと思われるだけに、そのスケッチの旨みには深い味わいがあって酔わされた。

シカゴへの夜のドライブの徒労。逃げた猫の追跡。レコード会社の冷淡さ。見知らぬ男からの暴行。いつも曇っている街。そしてカフェの夜の喧噪。カラーなのにモノクロ。

ひとつも明日に繋がるような希望はないのに、ルーインはギター1本で唄うことをやめない。この反骨こそが、あの時代のささやかな希望なのだ。

ステージの怒号やヤジにも負けずに唄い続けるシンガー魂には、久しぶりに、あの時代の、あの青春の無骨な熱気が、かすかに、しかし確実に甦った。

ボブ・ディランが、このルーウィンの後にステージに上がる姿が、映画のドラマ性を裏付けて、フラッシュバックが交錯するレトリックも鮮やかで感動した。

カンヌ国際映画祭でグランプリ。全米映画評論家協会作品賞というのも、さすがに頷けた。今年になって見た、最高に好きな作品。

 

■レフトのポールのギリギリに上がった渋い技ありホームラン。

●初夏6月、TOHOシネマズシャンテなどでロードショー 



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3月10日(月)13-00 六本木<シネマートB-1試写室>

M-027『バチカンで逢いましょう』Omamamia (2012) 20th century fox / sperl production / seven pictures

監督・トミー・ヴィガント 主演・マリアンネ・ゼーゲブレヒト <105分> 提供・エデン、パイオニア ★★★

25年も前に異色の「バグダッド・カフェ」のヒットで、その存在感を印象づけた、あの肥満おばさんのマリアンネをご存知の方って、どれだけいるだろう。

相変わらずの肥満体でやや小ぶりだが、ご健在。しかも主演というから恐れ入るが、でも、もう彼女も当然のご老体。人生の悔いを懺悔しようとバチカンに向かうのだ。

カナダの奥地に住んでいたが、もうご高齢のために、娘さんは同居を薦めるが、断った彼女は孫娘のいるローマに飛んだ。

その辺の気っ風のよさは、あの秀作「ミルドレッド」のジーナ・ローランズみたい。

つまり老齢だが、まだ行動力のあるうちに、夢にみたバチカンで法王にどうしても告白したい秘密だある。ま、コンセプトとしては面白い。

ところが実際にはシナリオはまずいし、演出もモタモタしていて、せっかくのローマに行っても映画はさっぱり面白くならないから困ったものだ。

たまたま現在の法王がドイツの出身で、おいしい<カイザーシュマーレン>という故郷ドイツのデザートがお好きだというので、お国自慢の手料理上手の彼女が出向くことになる。

なんだ、アイデアはカトリーヌ・フロの傑作「大統領の料理人」と同じことになり、めでたくマリアンネはバチカンで法王と接見することになった。

でも。あれれ、あっという間で感激もない、というお粗末。テーマになる筈の秘密の告白も曖昧のままに、娘にバレてしまって一騒動だ。

たしかに彼女には、周囲を和ませる雰囲気はあって、よくテレビに出てくる毒舌の巨漢のような印象はなく、久しぶりの登場もサラッとしすぎたのが残念であった。

ま、ローマの、あの甘い香りと、明るいバチカン広場を、大きなスクリーンでご覧になりたい方は、どうぞ。

 

■センターフライも風に戻されてセカンドフライ。

●4月26日より、新宿武蔵野間館でGWロードショー 



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●3月6日(木)18−30 赤坂・キネマ旬報編集部・会議室

『2014年度アカデミー賞結果座談会』

先月の予想座談会の結果を受けて、その反省座談会が行われました。いつもの渡辺祥子さんと、襟川クロさんと3人での愉しい反省会の模様は、次号「キネマ旬報」4月上旬号に掲載されますので、お楽しみに。

17年も続いている、この3人での予想は、過去にパーフェクト回答はなかったのですが、今回初めての「快挙」となりました。

わたしの感想としては、「予想」できたのは4部門で、残りの作品賞と助演女優賞は「予感」でした。というのは、以前にもこのブログに書いたように、「ゼロ・グラビティ」が圧倒的に好きなので、この作品が受賞して欲しいと思っていました。でも「予想」は過去にも外れます。で、ことしは自分の好みではなく、6000人のアカデミー会員の総意を先行して判断しました。 

結果の詳細は、店頭の雑誌でご確認ください。20日すぎの発売です。よろしく。



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3月6日(木)13-00 六本木<シネマートB-1試写室>

M-026『ファイ』Hwayi (2013) showbox / now film / pine house film

監督・チャン・ジュナン 主演・ヨ・ジング <125分> 配給・ツイン ★★★☆

一種の犯罪心理解剖映画、とでも云おうか、かなり異色なバイオレンスだ。韓国映画は、このようなクライム・アクションでは東洋ナンバーワンだろう。

<ファイ>という17歳の少年は、一見どこにでもいるタイプだが、実は複雑な過去を持ち、複数の男性犯罪者たちに育てられていた。

判りやすくいうと、犯罪ロボットのような、特殊な異常性を秘めた若者で、普段は実にやさしい美少年だ。

10年ほど前に起こった幼児誘拐事件が未解決のまま迷宮入りとなって、幼児は複数の犯人グループの男達によって育てられていたという背景が、少しずつ描かれる。

やさしい少年だが、犯罪エキスパートの育ての親たちの実地訓練で一種のスポーツ選手のように、殺しのテクニックだけは天才的に育った。

しかし当然のように、父親たちの異常な悪性には気がついていて、自分の心のなかに住みついている悪魔の脅威にも悩まされて行く。

そのエイリアンのような心象の悪魔と生きている、という少年は、むしろ悪に対しては純粋なのだろう。

チャン監督は、そのファイ少年の心理を掘り下げるのではなく、むしろ感情のない日常の異常さを覗かせて見せるのだが、この計算が巧みだ。

「サイコ」や「羊たちの沈黙」のように、異常者はその複雑な過去の歪みを見せるのだが、この少年には、異常さも罪悪感もない。そこが新しくてコワい。

もちろん、このような犯罪グループも、モンスターのような少年もいないだろうが、この作品は昨今の想定外の犯罪心理の起爆性を覗かせようとしているようだ。

一種の異常な父もの映画として見るのもいいが、児童心理に潜むヒロイズムの悪性を解剖するというポイントも面白い。実に凄惨なる青春映画でもある。

 

■強烈なセカンドライナーが、野手のグラブを弾くヒット。

●4月下旬GWより、シネマート新宿ほかでロードショー 



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