細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ガーンジー島の読書会の秘密』意外にも心地いい第二次戦争秘話の美談。

2019年07月17日 | Weblog

7月9日(火)10-00 六本木<キノ・フィルム試写室>

M-050『ガンジー島の読書会の秘密』"The Guernsey Literary & Potato Peel Pie Society " (2018) Studiocanal , Blueprint Pictures, MK Productions

監督・マイク・ニューエル 主演・リリー・ジェームズ、トム・コートネイ <124分・ビスタサイズ> 配給・キノ・フィルムズ  

英仏海峡の中でも小さな島、多分、東京の山手線の広さもないような島にも、まだドイツ軍が駐屯していた第二次世界大戦末期。

頭上には連合軍の爆撃編隊が飛び交う時代だが、この小さな島には爆撃もなく、一応は占領下だったが、戦渦は幸運にも免れていた、という時代。

<史上最大の作戦>がノルマンディ海岸が迫るころにも、この<瀬戸内海の小島>のような<ガンジー島>は、不思議な平和に包まれていた。

それでもドイツ軍の監視のもと、秘密裏に住民の少数は<読書会>という、一種の読書の趣味の集いを開いていて、リリーはその数人の集会に招かれる。

映画では<読書会>という少人数の集会はテーマになったことは記憶にないが、ナチスの監視を逃れて市民が独自の生活を維持するというテーマはあった。

あのジャン・ギャバンが、ブールビルと共演した「パリ横断」は、ナチスの占領下のパリで、夜中に豚肉を移送するという、傑作があったのを思い出した。

この作品は、戦争爆撃下のロンドンから、この島の<読書会>に招かれたリリーの、素晴らしくもサスペンスに満ちた数日を描いた・・というユニークな温情作品。

要するに、あの世界大戦下にも、このような知的で美しいエピソードが、爆撃機が頭上を飛行しているという状況で、実は営まれていた、その事実に感銘した。

食料のない時代でも、こうして<ジャガイモの皮>で、パイを作って、名作文学の<読書会>を、ほんの6人ほどで開催していた、という設定はユニーク。

オスカー受賞の名作「スリー・ビルボード」のプロデューサーが、「フォー・ウェディング」「魅せられて四月」のマイク監督で再現した、ハート・ウォーミング傑作。

 

■レフト後方のフライの返球の間にツーベース・ヒット。 ★★★☆☆☆

●8月30日より、TOHOシネマズ・シャンテ他でロードショー


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