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細越麟太郎 MOVIE DIARY



8月27日(水)10-00 築地<松竹本社3F試写室>

M-094『紙の月』" Paper Moon " (2014) 松竹映画、ROBOT

監督・吉田大八 主演・宮沢りえ <134分> 配給・松竹映画 ★★★☆☆☆

やはり、いまの日本映画では、早く新作を見たい監督の筆頭が、この「桐島部活・・・」の吉田大八作品だ。だって、とにかく面白いからだ。

今回はご存知、直木賞受賞の角田光代のベストセラーだし、久しぶりの宮沢りえが、銀行の契約社員で貸付信託預金の派手な証券偽造詐欺をやってのけるクライム・サスペンス。

見どころは、子供のいないごく普通の中年主婦が、平凡な夫との変哲のない生活のなかで、日頃日常的に銀行で見慣れている大金に、ついついテを出してしまう、という心の迷い。

この悪意の曖昧な主婦の心の崩壊を、「桐島部活・・・」で鮮やかな青少年の心理を突いた監督が、この中年女性サスペンスを、どう料理して見せるのか。これが楽しみだった。

「ごくありがちな・・・」という日常的な感情が、この映画のキーワード。実に「ありがちな」日常生活が、ある日、夫の上海転勤の話から一気に、鬱積した妻の自我に火をつけてしまう。

高額投資の斡旋で訪ねた富豪の家で会った学生との密会。痴呆症気味の老嬢への貸付信託。契約社員を見下す銀行の上司たちのイジメ。不法譲渡・・・などなど。この、ごく日常的でアリガチな発火点がくすぶる。

監督は、それらの多くの日常的な不満材料を、映画の前半でスケッチして見せて、こちらの同情心を高めて行き、夫の独断の海外赴任をきっかけにして、事態は後半一気に崩壊していく恐ろしさ。

つまりごく日常的にわれわれの生活環境を取り巻いている金銭感覚へのバランスが、ひとつの不満をきっかけにして、情欲、金欲、劣等感、倦怠感などの、常識的な空気感を取り去ってしまう感性の罠。

その常識の崩壊を、宮沢りえは表情を変えないで演じているのが、逆に恐ろしい冷や汗を背筋に感じさせるのだ。常に受け身な人生を送っている中年女性の憤懣の代償、これは日常的な恐怖だ。

タイトルの「ペイパームーン」は、ジャズのスタンダードであり、映画化されたが、ここでもラスト近くで、宙空に浮かぶ三日月を、りえが指で消してしまうシーンが素晴らしい。

そして映画のラスト15分くらいで、一気に展開を早める演出と編集の意外性は、サスペンス映画の常套だが、それでも吉田監督は、あの持ち前の切れ味で観客の思惑を裏切って見せたワザはさすが。

個人的には、よく出てくる少女時代の寄付癖は、おそらく彼女の歪んだ性癖を代弁しているのだろうが、むしろ、それはなかった方が、このテーマの恐ろしさを増長したような気がして残念だった。

 

■フルカウントからの左中間へのライナーは、そのままフェンス上段に当たるスリーベース

●11月15日より、全国松竹系でロードショー 



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8月25日(月)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-093『ランナー・ランナー』" Runner Runner " ( 2013 ) twentieth century fox film corporation / regency entertainment

監督・ブラッド・ファーマン 主演・ジャスティン・ティンバーレイク <91分>配給・プレシディオ ★★★☆

ランナーというのは「走る人」のことではなく、ここではポーカー・ゲームで使われるスラングで、非常に稀で超ラッキーな、幸運の引き札のことだという。 

最近よく報道で耳にする<オン・ライン・ネット詐欺>。日本でもあると思うが、要するにネットで楽しむカードゲームでの掛け金が、突然、不当に抜きとられるケース。

わたしは個人的には、ネット通販にも懐疑的な古いタイプの人間なので、「送料無料」と思わせつつ、別の特殊な項目で送料らしい金額を抜き取られても、つい憤慨するタイプ。

だから、この映画は基本的には他人ごとのような、アウトサイダーとして、あの「スティング」での場外馬券詐欺のときのように、その実情はよくワカラナイ。

しかしハリウッドは、この種の騙し合いが好きで、「オーシャンズ11」のようにヒットにてシリーズ化しているが、ネットでのトランプ・ゲームの掛け金詐欺は珍しい。

ま、大手のフォックス映画がメジャーなリージェンシーと組んで、悪役に「アルゴ」でオスカー受賞したベン・アフレックを起用しているのだから、かなり<本気>な新作。

しかも主人公で、ネット・ポーカーで名門プリンストン大学の授業料を稼いでいるのが、当代ナンバーワン歌手のジャスティン・ティンバーレイクとなると、気合いは入っている。

そのネット商売では凄腕の彼が、巧妙なネット詐欺で虎の子の自身口座から全財産を抜き取られたのだ。そこで彼は独自の手法で、その影のネット・カジノ詐欺の大元を探し出して行く。

今、ホットなオンライン・ギャンブルの実情というのは、どうも苦手な当方としては本質に突っ込む能力はないが、あの傑作「ソーシャル・ネットワーク」のジャンルの流れなのは察しがつく。

「間違った場所で正当なことをする」と自負するジャスティンは、不法な業績で荒稼ぎしている詐欺グループの張本人が、コスタリカにいることを検索して追跡して接近し、返金を求めた。

しかしFBIや財務局だって追いかけてくる始末で、後半はコスタリカを抜け出そうとするベン・アフレックに、秀才な学生が、実に想定外の罠を仕掛けて行くのが、いかにもハリウッド・メジャーな発想。

ある意味では、これも変形した現代の「アメリカン・ドリーム」なのだろう。ラストには、あれれ・・・の罠が仕掛けてあった。

 

■バントと見せかけて左中間に抜けるクリーン・ヒット。

●11月21日より、TOHOシネマズ・シャンテなどでロードショー 



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8月21日(木)13-00 六本木<FOX映画試写室>

M-092『猿の惑星・新世紀ライジング』" Dawn of the Planet of the Earth " (2014) Twentieth Century Fox / A Chernin Entertainment Production

監督・マット・リーヴス 主演・アンディ・サーキス <131分>提供・20世紀フォックス映画 ★★★☆

すっかりFOX映画の定番看板シリーズになった「猿の惑星」は、あのチャールトン・ヘストンが驚愕した第一作から40年、特殊撮影の技術が進歩して復活を重ねた。

3年前に「猿の惑星・創世記<ジェネシス>」で、人間を越える突然変異のIQを持って、驚異的な復活を見せた猿たちが、ここではその後の人間たちとの闘いを描いて行く。

やはり驚くべきは、類人猿としての知性と運動能力を再現する、特殊なパフォーマンス・キャプチャー技術の撮影進化のスタジオ・プロモーション効果だろう。

ブルーマットやグリーンマットのバックで、スタジオ撮影合成による映像は、ここにきて「トランスフォーマー」のようなデジタル再生技術がさらにハリウッドを変えた。

しかも、ここではスタジオを出て、「アバター」のように、自然な密林などの背景でのクリーチャーのアクションが非常にリアリティを持つ様になった。これも映画そのものの進化。

話は前作の続きのように、人類がサンフランシスコの市街を戦争で破壊したあとの、あの猿たちは、まさに「GODZILLA」のように、自然のなかでコミューンを作り密かに暮らしていた。

しかし多くの戦争と疫病のウィルスによって死滅した大都会の人間たちの一部は、自然のなかの狩猟によって生き延び、悪質な密猟ハンターたちが、平和な<猿の楽園>にも忍び寄った。

むかし、同じFOX映画でジェームズ・スチュワート主演の「折れた矢」という西部劇があったが、まさにあれと同じ様に、白人の武器密売人たちは平和なインディアン集落にも現れる。

スチュワートは、よき先住民の理解者で、双方の諍いの解決のために仲介したが、ここでもジェイソン・クラークが相互の連絡係として奔走する。

まさにあの西部開拓期のアメリカ先住民と、悪徳白人たちとのバトルと同様に、またしてもヨセミテ公園での猿と人間たちの存続をかけた死闘がクライマックスで展開するのだ。

映画の見せ場は、この密林での大勢の猿たちとハンターたちの銃撃戦となり、いままでに見た事もない大きな猿たちの大掛かりな闘いがスクリーンを圧倒する。

前作では、人間たちのIQを勝るような知性をもった猿たちが、どうしてまた愚かな人間たちと死闘を繰り返すのか判らないが、まあ、いまの混迷の世界情勢にも共通して、知性と戦争は別のもの。

だから、ただのエンターテイメントの映像進化に唖然としつつ、このバトル映画を楽しむしかないだろう。思想的なことは別にして、つまりPCでのパソコン・パトルの大スクリーン版なのだ。

 

■勢いのあるセンターフライだが、フェンス直前で失速。

●9月19日より、有楽町TOHOシネマ日劇ほかでロードショー 



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8月19日(火)13-30 六本木<シネマート六本木B-2試写室>

M-091『至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~』"Agnes Letestu " L' apogee d' une Etoile (2013) Delange Productions Paris

監督・マレーネ・イヨネスコ 主演・アニエス・ルテステュ <93分> 配給・アルシネテラン ★★★☆☆☆

美しい拾い物だった。というのも、実はイーストウッドの試写の後の移動に意外に手間取って、ル・カレのスパイ映画の試写室に行ったら満席。  

で、一応、こんなこともあるので、隣のドアの試写室に入ったらガラガラ。外は暑いし、ではここで涼もうか、というのが、ムービー・ブロガーの嫌らしさ。

さて、いつもの席に座ったものの、これから見る作品の知識はない。だって、本格バレエ・ダンサーの舞台も見た事ないし、馬の耳に念仏か、猫に小判か。

しかし見ていると、この映画は凄い。

350年もの歴史を誇るパリ、オペラ座で、バレエ・ダンサーとして最高の称号でもある<エトワール>の王座を誇っていたアニエスの、これはア引退デュー公演の記録。

全編そのステージのドキュメントかと心配していたら、そのラスト・ステージへのリハーサルと、彼女自身の生活や心情をインタヴューするもので、お見事な構成なのだ。

多くのバレエ・シーンの美しさもさることながら、むしろプライベイト生活での、彼女なりの美徳が、実にデリケートに見て取れる。そこが実にリアルな感動があった。

ひとを魅了するバレエは、もちろんステージでの完璧な動きの美しさだが、このドキュメントを見ていると、アニエス本人の日常の生活そのものが美しいのが凄い。

とくに語る時の表情を補う、その手の平の美しい動きと所作。語る言葉の選択とタイミング。これは役者の演技では、とても追いつけないものだ。

よくフレッド・アステアのダンス映画を見たが、彼はドラマの演技でも、大きな手の平の見せ方がエレガントで、実に説得力があったのだが、あれを思い出してしまった。

やはり本物のアーティストというのは、作品やステージだけでなく、プライベイトな部分での生活感の美しさも問われるが、アニエスは、その生き様がアートなのだ。

芸術家というのは、その生きている本人がすでにアートを漂わせないと無理がある。そのひとの美徳というものの確かさに、感動させられた。

 

■左中間への平凡なフライが、一気にフェンスまでのツーベース。

●11月、渋谷Bunkamuraル・シネマでロードショー



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8月19日(火)10-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-090『ジャージー・ボーイズ』" Jersey Boys "(2014) warner brothers / GK Films / Marpaso

監督・クリント・イーストウッド 主演・ジョン・ロイド・ヤング <134分> 配給・ワーナー・ブラザース映画 ★★★☆☆

いま、一番に見たいのが、クリント・イーストウッド監督の新作だ。あの「J・エドガー』から3年ぶりの作品は、実話ミュージカル。というよりもミュージシャン実話。

彼はもともとはジャズ・プレイヤーになろうとしたのだが、たまたま友人とテレビ映画のオーディションを受けてから、映画の世界に入ったが、実はマジに、ジャズ・ピアノの名手。

だから「ピアノ・ブルース」というドキュメントも作ったし、カーネギー・ホールでも弾いた。息子のカイルはジャズ・ベーシストとしても一流で演奏旅行もしている。つまり音楽はクリントの夢の本業なのである。

60年代の初期はベトナム戦争泥沼化に加えて、ケネディ大統領が暗殺されて、若者はドラッグとゲイ・コミューンとロックに迷走、音楽界も新星を求めていたが本命は不在だった時代。

フランク・シナトラの栄光を追って、同じニュージャージー州出身の男声4人グループはフランキー・ヴァリのフォー・シーズンズとしてデヴューしたのが、その時代だった。

しかしシナトラも同じ4人グループからスタートしたが、時代はもっと斬新な音楽を求めていた。ブラザース・フォーやフォー・トップスや、フォー・ラッズやらと、似た者が沢山出没したのも、その頃。

最近でもソダーバーグの「恋するリベラーチ」で、ゲイに屈折した、あの時代を鮮烈に描いたが、ケビン・スペイシー監督主演した「ビヨンド・ザ・シー」も同じ時代のボビー・ダーリンだった。

ちょうどテレビ番組の普及で、「エド・サリバン・ショー」などで、新人アーティストを紹介していた時代。この「フォー・シーズンズ」もそこそこの人気はあった。が、当然のように短い栄光と挫折。

クリント本人もテレビの「ローハイド」で俳優デビューした時代で、そのシーンがサービスでワン・カット出て笑わせるが、試写室には若いひとが多いのか、この楽屋オチには反応がない。

おそらく監督自身も、この時代のポップスには入れ込んでいたのだろう。要所要所に懐かしくも微笑ましいシーンも多く、とくにヒット曲「シェリー」と「君の瞳に恋してる」のフルコーラスは嬉しい。

ただ、実際にもリーダーのフランキー・ヴァリの個性には、シナトラのようなカリスマ性はなく、人気の低迷とグループの確執から、短い時代を終えて、ビートルズが登場することになる。

ホロ苦くも甘さが残る青春の面影を、監督は恐らく個人的なセンチメントも込めて描いているのだろうが、今回は、主人公のヴァリのプロデュースだけに、遠慮がちな演出だった。

 

■サードの横に流したワザありのシングルヒット。

●9月27日より、新宿ピカデリーなどでロードショー 



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8月18日(月)13-00 六本木<シネマートB2試写室>

M-089『100歳の華麗な冒険』"The 100 Year Old Man who Climbed Out The Window and Disappeared" (2013) Nice FLX Pictures スウェーデン

監督・フェリックス・バーングレン 主演・ロバート・グスタフソン <115分> 配給・ロングライド ★★★★☆

長い原題のように「窓から逃げた100歳老人が消えた」というヨナス・ヨナソンの原作で、スウェーデンでは「アナ雪」よりも大ヒットしているという作品。

非常にひとを喰ったような発想で、これも<アリエネー映画>のバカ話なのだが、見ていて呆れる様に面白いし、さすがにラストでは感動してしまったのは、わたしも高齢のせい。

スウェーデンの田舎町。100歳の誕生日に、そのお祝いパーティがイヤで、老人ホームの自室の窓から脱走した老人は、最寄りの駅から、ポケットにあった小銭で適当に徘徊の旅に出る。

最近見た「ネブラスカ」や、往年の名作「ハリーとトント」のように、老人のひとり旅を描く映画だが、どこからが本気で、どこまでがボケの妄想なのかがワカラナイのが面白い。

若い時代には、ヨーロッパの戦乱で、彼は爆薬の操作が得意な才能をいかして、ナチスやスペインの内乱で爆破作業をしたり、ソ連やらアメリカの高官、大統領にも会ったことのあるキャリア。

とくに目的のある旅でもないのに、老人は友人も作り食事やワインにもありついて、あれやこれやと、探す家族や警察の捜索を尻目に途方もない破天荒な旅が続いていくのだ。

お金やパスポートはどうしたの、とヤボな心配をしては、この映画は面白くないだろう。波乱のあった過去の<爆破テロ・ライフ>のフラッシュ・バックもアクセントになって飽きさせない。

ご本人はアルツハイマー風な、いかにも風来坊的なニュートラルな性格なのだが、旅で知り合った老人や、かなり統合失調症な若者などが、この珍道中をハッピーエンドへと進めて行く。

たしかにアカデミー受賞作「フォレスト・ガンプ」のような発想ではあるが、どこからがホラ話で、どこからが現実なのか、その曖昧さが、老人の痴呆症的な徘徊ぶりを笑い飛ばして行く。

ストーリー的には、駅でふと預かったスーツケースに入っていた大金が、実は裏組織の資金だったことから、またしても殺し屋たちまでが、このボケ老人を必死になって追い回すのだが、発想と現実が食い違う。

つまりこの作品のテーマは、ひとりの老人のボケ症状を活用した、人間の本質的な幸福論を、冗談まじりの映画的ファンタジーで笑い飛ばしている。という意味では、晩年の黒澤作品にも通じる面白さがあった。

もしかしたら、この至福のファンタジーは、最初から自室のベッドで見た、100歳老人の死期に見えた一瞬の幻想なのかも知れない。最近見た映画のベストだ。

 

■左中間に上がったフライが伸びて、そのままスタンドに。

●11月8日より、新宿ピカデリーなどでロードショー 



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8月18日(月)10-30 六本木<シネマートB-3試写室>

M-088『バツイチは恋のはじまり』" Un Plan Parfait " (2012) Splensido Quad Cinema / TF1 Films / Scope pictures 仏

監督・パスカル・ショメイヨ 主演・ダイアン・クルーガー <104分> 配給・ファントム・フィルム ★★★☆

大ヒットした「最強のふたり」のプロダクション・チームが作った新作コメディで、たしかに面白い。無茶苦茶な話でバカげているが、面白い。

素敵で完璧な男と恋をしているダイアン・クルーガーだが、家族の歴史では、なぜか全員が再婚していて、初婚には失敗しているという家系のジンクスがある。

たまたまその姉の離婚話でモメている食卓のシーンと平行して、さて、この恋は初婚には向いていない、とマジに考えているダイアン。

そこで彼女は、本命の前に、リハーサルで結婚をして、すぐに離婚すれば、その本命との結婚は巧く行く、と信じてしまったのがトラブルの始まり。

誰だってバツイチを予定して結婚はしないが、わが国でも<成田離婚>というのは、増加の傾向があるという。というのが、この作品の狙い。

で、ダイアンは空港で出会いがしらの超ダサい男ダニー・ブーンに無理に接近して結婚しようとするが、彼は旅行ライターなので世界中方々に旅をするという男。

だから止せばいいのに、彼女は彼を追ってモスクワやケニアにも追っかけをするハメになる。ま「ハングオーバー」的なムチャな発想から、ヒロイン主観の展開だ。

むかしは60年代に、ドリス・デイの「恋人よ帰れ」のような、相手を間違えて恋がドンドン本気になってしまって、結局は、相手違いのロマンスが完結するというコメディが多かった。

結局は、ダメモトだと思っていた<替え玉作戦>が、実は永遠の伴侶なのだ、というムチャなコメディ発想が多くて、これもそのクラシックな喜劇の再リメイクのような狙い。

しかも金の心配はさておいて、世界の方々にロケをして、ま、映画的には面白い。おそらくダイアンも、この奔放なロケーションがメリットでオファーを受けたのだろう。

監督のパスカルは、長い事リュック・ベッソンのアシストをしていたというので、映画のテンポと、面白いツボは心得ていて、さすがに飽きさせない。

今の彼との結婚に、いまいち迷いのある若い女性には、何かヒントがあるかもしれない、それにしてもご都合主義なコメディではある。

 

■セカンドゴロを野手が一塁に悪送球して、結果、セカンドも走塁セーフ。

●9月20日より、ヒューマントラストシネマ有楽町などでロードショー 



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8月13日(水)13-00 外苑前<GAGA試写室>

M-087『フライト・ゲーム』" Non- Stop " ( 2014 ) Studiocanal / anton capital entertainment s.c.a./ T.F.I. films production

監督・ジャウマ・コレット=セラ 主演・リーアム・ニースン <107分> 提供・ギャガ/ハピネット ★★★☆☆

毎度おなじみのジャンボ旅客機の飛行中の事件。今回も航空保安官とテロリストの、機上での緊迫したアクションが見ものだが、かなりテが凝っている。

ニューヨークからロンドンへの通常のフライトで、アルコール中毒気味のフライト・シェリフのリーアムが勤務として乗り込むが、例によって覆面捜査官。

便は通常のフライトなのだが、彼のケータイになぜか突然、殺人実行犯らしい者から、メールで航空会社から1億5千万ドルの金を、指定の口座に振り込めというのだ。

メール内容では、機内での様子は監視していて、振込が遅れると、乗客の中から無差別に死人が出るという強迫に、彼は片手でメールを打ちながら、機内の乗客の動作をチェックしていく。

というのも、同じ機内に犯人がいて、メールを送っているのなら、その動作で不審者は発見できる、と、彼は器用にメールしながらエコノミー客の挙動を監視する。

この様子はリーアムの演技と同じ画面に、メール内容もインサートされる工夫がされていて、このアイデアはスポーツ中継のテレビ番組のような臨場感。

が、その間にも、被害者が出るは、機長は変死するはで、周囲のアラブ系の乗客などに不審な客が目立ってくるのだ。これはあのアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」のフライト版か。

そして犯人側の要求も、彼自身の銀行口座への振替を確認するなど、いろいろと強迫内容が複雑になっていき、その間にも、乗客の不審な死者が続出してくるという密室サスペンス。

ま、試写室だって一種の密室なので、かなり窮屈なテンションは他のことを考える余裕を与えないのは、あの「アンノウン」の監督だけに、見ているこちらに余裕を与えないテクニックはさすがだ。

それで飛行中に発砲する危険もあって、高度を5000メートルに急降下。怪しい人物は複数に浮上するが、この先はミステリー映画の礼儀として、ネタばらしはできない。

前回オスカー助演女優賞受賞の、あの異色ルピタ・ニョンゴが、フライト・アテンダント役で出ているので、「これはクサい」と注目していたのだが・・・・。

最近のジャンボ旅客機の不可思議な事件も頻発している関係で、こんなサスペンスの便には乗りたくないが、とにかく好調のリーアムは不死身の大奮闘で活躍する。

多くのハイジャック・サスペンス映画の多い中で、これだけ犯人特定に1時間以上もかかる映画も珍しく、ま、それだけ見ていて気が抜けないのもサスガだ。

ヒコーキ恐怖症の方には、絶対におすすめはできない恐怖のフライトである。

 

■かなり飛距離のあるセンター・フライで、照明が目に入ったか、野手が落球。

●9月6日より、六本木ヒルズTOHOシネマズなどでロードショー 



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8月12日(火)13-00 外苑前<GAGA試写室>

M-086『グレース・オブ・モナコ/公妃の切り札』"grace of Monaco" (2013) YRF entertainment / Stone Angeles / canal+

監督・オリヴィエ・ダアン 主演・ニコール・キッドマン <103分> 配給・GAGA ★★★☆☆

お若いファンには、グレイス・ケリーの美しさと演技力は知る由もないが、われわれ高齢者には、クーパーの「真昼の決闘」でのデヴューから鮮烈だった。

当然、ヒッチコックの3作や「モガンボ」「トコリの橋」「白鳥」、とくにアカデミー主演女優賞をゲットした「喝采」でのカントリー・ガールぶりは忘れられない。

だから、この新作は見るのが怖かった。絶対にわれわれの恋していた、あの50年代の女優グレイス・ケリーなど、誰にも再現出来る筈もないからだ。グレースではなく「グレイス」だった。

冒頭、最後の出演映画「上流社会」のドライブ・シーンの撮影があって、共演のフランク・シナトラが、クランクアップの瞬間、後ろ姿のグレイスの頬にキスをする。

つまり、このMGM映画のスタジオが、女優グレイス・ケリーの、女優としてのラストシーンだったのだが、この作品はここからスタートする。なかなかいいではないか。

それからの彼女は公のニュースで知られたように、南仏の小国モナコの公妃として、映画会からは隔絶された世界に入っていた。わが東京の千代田区ほどの広さの小国だ。

さて、この映画のテーマはというと、そのモナコ王国の嫁として子供は生んだものの、一向に公務に馴染めない彼女の悩みを察して、突然にヒッチコック監督が宮廷に現れるのだ。

話というのは、新作「マーニー」の主演にカムバックしてくれないか、という直々のオファーなのであった。このシーンでの内々の会話が、いかにもハリウッド談義でいい。

トップ・シークレットだった実情も噂として流れるようになったが、実は当時のモナコは財政困難で、ドゴール首相はフランスへの統合も含んだ高額な課税も要求していたのだった。

個人的にも相談相手の神父の助言もあって、ここで公妃として、何をすべきかを説得されて、とうとうグレイスは資金集めの舞踏会を開催して、ドゴールのいる会場で渾身のスピーチをする。

というのが、ドラマのクライマックス。そこで主演のニコール・キッドマンは、さすがはオスカー女優の貫禄で、じつに長いが感動的な国情と私情を語る。

レーニエ3世役のティム・ロスも、あまり似ていないが神妙に助演していた。出来れば往年のジェームズ・メイスンのような芝居が見たかったのが、残念。

いろいろと小姑めいた注文はあるが、監督は「エディット・ピアフ」の時のように、その時代を懸命に生き抜いたひとりの女性の心の強さと、その美しさを賛美した作品として上質にまとめた。

個人的には、「マーニー」に彼女が出演したら、絶対にもっと面白いヒッチコック作品になったろうが、残念。因に、当時友人のフランク・シナトラはモナコで慈善ライブも唄って資金協力をした。

 

■意外に伸びたライトフライがフェンス直撃のツーベース。

●10月、TOHOシネマ有楽座ほかでロードショー 



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8月7日(木)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-085『アイ・フランケンシュタイン』" I  Frankenstein " (2013) Lakeshore Entertainment / Lions gate films

監督・スチュワート・ビーティ 主演・アーロン・エッカート <92分> 配給・ポニーキャニオン ★★★

さて、ゴジラの次はフランケンシュタインだ。と意気込んで、懐かしいクラシック・ヒーローの再登場を楽しみに試写室へ、と避暑である。

200年も昔に、ヴィクター・フランケンシュタイン博士が、自分の分身として密造制作した人造人間は、時代を経ていろいろなキャラクターで登場した。

もともとは、初期のユニヴァーサル映画社の、自慢のシリーズもので、当時はMGMのターザンものに対抗して、相当な人気シリーズだった。

エルザ・ランチェスターが主演した「フランケンシュタインの花嫁」で、初めてこのロボットを見たせいか、いつもどこかユーモラスな印象があった。

とくにメル・ブルックスが70年代に作った「ヤング・フランケンシュタイン」が、やたらと面白かったので、イメージとしては、「ユルキャラ」の感じ。

しかし今回の、この新作では、鉄仮面の四角なアタマと、首にはボルトの、あのいかつい巨体ではなく、まさに「アンダーワールド」のスタッフが制作しているせいか、かなりマジ。

しかも、「ダークナイト」のアーロン・エッカートがマジ主演なので、まったく往年のイメージはなく、顔面は火傷でニコリともしない強面で、やたらと今風のゲーム感覚なのだ。 

だから「俺ら、フランケンシュタインなんて、知らねーよ」という若いファンのためのモンスター・アクションのCGフル活用による、ダーク・フィルムなのであった。

ストーリーもゲームものでは定番の「天使と悪魔」の死闘がベースになっていて、悪魔軍のデーモンに対して、天使軍のガーゴイルの闘いにフランケンが参戦するのだ。

マーヴェル・コミックの「バットマン」や「スーパーマン」「ガーディアンズ」「アヴェンジャーズ」などに比べると、かなりマイナー・ヒーローの印象。

まさに電卓バトルゲームのお好きな方は、劇場のビッグスクリーンで観戦して頂きたいが、クラシックなフランケン・マニアには胃がもたれるだろう。

 

■バットをへし折る怪力打法だが、当たりはセンター・ライナー

●9月6日より、新宿バルト9などでロードショー 



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