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細越麟太郎 MOVIE DIARY



●6月26日(金)13-30 汐留<スペースFSホール>
M-069 『サブウェイ123/激突』The Taking of Pelham 123 (2009) columbia
監督/トニー・スコット 主演/デンゼル・ワシントン ★★★☆☆☆
またしても74年の「サブウェイ・パニック」のリメイクだが、オリジナルのユーモア感覚は抑えて、まったく現代のニューヨーク地下鉄と、犯行の凶暴性を強調した別のサスペンスに仕上がっている。
そこはトニー・スコット監督らしい過剰な映像処理とスピード感で強引にドラマを盛り上げる。
もともと面白い素材なのに、どうしてここまで派手な演出をする必要があるのかは好みの問題だろうか。
つまり以前は痛快な強盗犯罪ドラマだったのが、今回は「ソードフィッシュ」のような凶悪なテロリスト犯罪ものに変貌している。映像のあえて乱雑にした処理も、監督の最近の趣味だが、それはそれでいいだろう。
デンゼルとトラボルタの共演も重厚だし、ハリウッド・エンターテイメントとしては一級の仕上がり。それはいい。つまり元の素材を別の料理法で仕上げてみせた、という一品だ。
でも、なぜ初めから、現金をヘリかバイクで運ばなかったのだろう。その方が早いのにね。
どうしてもカークラッシュを派手に見せたかったのだろうか。

●9月4日、日劇などでロードショー


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●6月23日(火)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-068 『グッド、バッド、ウィアード』Good, Bad, Weird (2008) 韓国
監督/キム・ジウン 主演/イ・ビョンホン ★★★★
まるで三国志ウェスターンのようだが、もともとは、マカロニ・ウェスターンの傑作クリント・イーストウッド主演「続・夕陽のガンマン」をベースにしている。The Good, The Bad, and the Ugly だった最後のひとりをWeirdにしたところが、いかにも韓国流の捻った解釈。そこがおかしい。 
1930年代、戦乱の満州荒野。
戦争ごっこには目もくれず、お宝地図の攻防に明け暮れの男達。三人の持ち味を活かして疾走する関係は、まるで「レッドサン」のブロンスンと、アラン・ドロン。それにおかしなサムライ特使の三船敏郎にも似ている。
とくに悪役ビョンホンの黒ずくめは、あのドロンにそっくり。
ラストはオリジナルのように、三角形の位置での三角決闘。
とにかく理屈は抜きにして、欲のために銃撃を繰り返して荒野を走りまくるスピード感はうれしい。
セルジオ・レオーネのエッセンスに、タランティーノ風味を加えた映画魂には拍手したい。

●8月29日より、日比谷シャンテシネなどでロードショー


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●6月22日(月)13-00 六本木<アスミックエース試写室>
M-067 『ノーボーイズ、ノークライ』The Boat/ No Boys, No Cry (2009) 日韓
監督/キム・ヨンナム 主演/妻夫木 聡 ★★★☆☆☆
夜陰に乗じて、韓国から老朽ボートで山口県の海岸に密航している男。
そのブツを受け取り、闇組織に届ける運び屋。
ふたりの男は言葉はろくに通じないが、どこかで哀しい心が通じている。
鉄砲玉の風来坊と、家族苦に身動きの取れない男ふたりは、拉致事件の後処理で身辺が怪しくなる。
追いつめられた男たちの、どこかユーモラスでドジな行動が、ありきたりの犯罪サスペンスや感動無理押しのヒューマンドラマとは違ったオフビートな味わい。それが好感である。
やけくそでカラオケに興じる姿は『ブラックレイン』の高倉健のようでいて、もっと惨め。
あの傑作『チェイサー』のハ・ジョンウの虚ろな苦笑が、この作品のレベルを誇示しているようだ。

●8月、シネマライズなどでロードショー


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●6月17日(水)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>
M-066 『ノウイング』Knowing (2009) summit 米
監督/アレックス・プロヤス 主演/ニコラス・ケイジ ★★★☆
アルコール中毒気味の大学教授は、事故で妻を失って小学生の長男とふたり暮らし。
小学校で50年前に校庭に埋められていたタイムカプセルの中から、数字だけの紙が見つかり、その数式を解明していくと、すべてが大事故のあった年月と死者の数だと判る。
一種の予言のような謎の数列を解明していく教授は、酒がすすみ寝てばかり。
過去の照合は判明したが、未来の大惨事も予測されるので、教授は未然に防ごうと現地に向かう。
そこまでは面白い。
『マイノリティ・レポート』のように、事故の予知を試みるが、実際の事故は予測を越えて行く。
旅客機の墜落や地下鉄の暴走は、たしかにド迫力のスケール感のある映像が画期的だ。
しかし、後半から突然SFファンタジーにようになって,トーンが変わる。そこからは別の作品のようになってしまい、せっかくの興味も拡散してしまうのが残念だ。
酔っぱらい教授の見た悪夢。と解釈すべきだろうか。

●7月10日より、日劇などでロードショー。


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●6月16日(火)13-00 築地<松竹試写室>
M-065 『地下鉄のザジ』Zazie dans le Metro (1960) nouvelles 仏
監督/ルイ・マル 主演/フィリップ・ノワレ ★★★☆☆
50年前に公開された時は、斬新な風刺コメディとして評判になった作品。
久しぶりに見て懐かしかったが、やはり時代の流れで味わいも脱色してしまっているのは仕方が無い。
たしかに賞味期限切れかもしれないが、素材の面白さは残っている。
要するに少女ザジの見たパリと大人達の、スノッブな社会風刺なのだが、その辛辣さには切れ味も薄れて、やたらマルクス・ブラザース風の破壊型スラップスティックも、当節のお笑いバラエティで見慣れているせいか、どこか哀愁が感じられてしまう。
懐かしさも、時代で変色してしまうが、ルイ・マル監督の才気だけは恐れ入る。

●8月、新宿武蔵野館でロードショー



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●6月12日(金)13-00 六本木<GAGA試写室>
M-064 『M W <ムウ>』2009 amuse entertainment 日
監督/岩本仁志 主演/玉木 宏 ★★★☆
手塚治虫の劇画的なアイデアは、深層的なイメージが広大で現実からは遊離した世界が多い。
それをリアルに映像化するには、どこかでモードを変える必要があるだろう。
最近のアメリカン・コミックは、その辺の解釈に曖昧な部分が多くて失笑するケースがあるが、この作品もどちらかというとハリウッド志向で、現実感は後追いが難しくなる。
大量殺戮の秘密兵器を保持する機密が漏れた為に、16年前に政府機関はその事実を葬った。
しかし偶然生き延びたふたりの青年は「天使と悪魔」を演じて、陰謀を暴く。
映像的には、かなりリアリティーは表現できても、主人公の悪魔性に曖昧な現実感が多いので、どうも感情移入できないまま、この壮大なエンターテイメントは疾走する。
あとは好みの問題となる。

●7月4日より、丸の内ルーブルなどでロードショー


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●6月11日(木)13-00 六本木<アスミックエース試写室>
M-063 『コネクテッド』Connected (2008) emperor 香港
監督/ベニー・チャン 主演/ルイス・クー ★★★☆☆
ハリウッド映画『セルラー』を香港で中国味に料理し直した携帯アクション。
お手軽な企画のリメイク料理かと思って見ていたが、意外においしい。
特にダメ亭主が、たまたまかかってきた携帯電話に出た為に、彼が本来持っていた人間的な強い部分が露呈してキレまくる後半が痛快だ。
暴力団と悪徳警察のグループが躍起となって、ひとりの男に手こずる具合は、そのアイデアを「ダイ・ハード」仕立てに作り替えたサービス精神の勝利だろう。
香港アクションの伝統的なエンターテイメントを、悪びれなく披露する根性には拍手したい。
稚拙な表現と幼稚な会話もあるが、この中華料理の熱気には恐れ入った。
これがアクション映画の基本味なのだから。文句ねえーだろう。

●8月、新宿武蔵野館でロードショー


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●6月8日(月)13-00 六本木<ウォルト・ディズニー試写室>
M-062 『縞模様のパジャマの少年』The Boy in the Striped Pyjamas <2008> miramax
監督/マーク・ハーマン 主演/ヴェラ・ファーミガ ★★★★
またしてもホロコーストの映画。しかしこれは少年の視点から見た戦争だ。
ユダヤ人収容所長の8歳になる長男は、ひとり野原で遊んでいて、鉄条網に囲まれた敷地にいた縞模様のパジャマを着た少年と仲良しになる。
家族には内緒で遊ぶうちに、柵のなかに入って一緒にパジャマに着替えて遊ぶ。
なぜ人々が隔離されて、労働を強いられているかが判らない長男は、一緒にガス室に入れられた。
戦争の中に、少年たちの無垢な遊びを楚々と描いた「禁じられた遊び」の亜流かと思って見ていたら、ラストでは衝撃の悲劇が待っていた。
この残酷さで、大人達の無惨な戦争犯罪の悲劇性を説きたかった気持ちは判るが、<なぜ、いま?>という疑問は残る。しかしこれもまた熱意のこもった反戦映画でもある。

●8月、恵比寿ガーデンシネマなどでロードショー


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●6月4日(木)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-061 『女の子ものがたり』Your Story (2009) avecks 日
監督/森岡利行 主演/深津絵里 ★★★☆☆☆
西原理恵子の自叙伝ともいえるストーリーだが、コンセプトは少女のための『スタンド・バイ・ミー』だという。
どちらかというと恵まれない家庭の少女3人が、少しずつ友情を育むが、高校時代に決別の大喧嘩をする。
スランプの漫画作家が、その青春の傷跡を想い直すことで、心のリセットをする。
あくまで少女の視点から世界を描き、それなりの苦痛のなかでも「幸せなんだ」と自問して生きて行く。
それを中年期で思うとき、すべてはいい瞬間だったのだ。
このなり振り構わず生きて来た青春が、人生の宝物なのだから、去年見た「ひゃくはち」の少年たちの青春と、いい対象となる作品に見えた。
監督の父親目線の演出がやさしくも厳しくて、好感のもてる佳作となっている。

●9月、シネカノン有楽町などでロードショー


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●6月1日(月)13-00 築地<松竹試写室>
M-060 『ポー川のひかり』Cento Chiodi (2006) cinema 1 伊
監督/エルマンノ・オルミ 主演/ラズ・デガン ★★★☆☆☆
名作「木靴の樹」などのイタリアの異才オルミ監督の30年ぶりにして遺作と言われているキリスト寓話。
ポー川の河岸に住み着いた学者は、ボローニャの大学にあった古典の宗教教書に釘を刺して逃亡していた。
壊れた廃家を手直しして、河岸に住む老人達と語る。
ここでは、現代に舞い降りたキリストの行動を、処刑される直前まで旧約聖書をもとに描いていると言う。
ま、我々にとっては宗教話というよりは、昔話として見ればいいだろう。
政治や文化とは関係なく、人間として自然と親しむスローライフは、誰にとっても夢のようだ。
しかし現実はそれを傍観してはくれない。
そしてキリストは、ふと何処かに消えて行く。
一種のファンタジーとして見るには、すこぶる心地のいい佳作ではあるが・・・。

●8月、岩波ホールでロードショー


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