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細越麟太郎 MOVIE DIARY



8月22日(月)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-105『スーサイド・スクワッド』#Suicide Squad " (2016) warner brothers / TM&DC Comics

製作・ザック・スナイダー 監督・デヴィッド・エアー 主演・ウィル・スミス、ジャレッド・レト <3D・123分>

直訳すると「自殺部隊」という物騒なタイトルだが、いま、あちらでは「デッド・プール」に次ぐクレイジー・ヒーロー映画として大ヒットしている。

凶悪化する大都市犯罪の、地下組織を壊滅すべく、お手上げの都市警察は、獄中に収監中の凶悪犯を時限爆弾つきで呼び出して、彼らに武器使用の特権を与える。

という、あの「ワイルド・バンチ」のゴッサム・シティ版という訳だが、「スーパーマン」や「スパイダーマン」たちは休養中なのか、急遽ピンチヒッターで登場。

極悪スナイパーだったという、ウィル・スミスをリーダー格に、不気味なパンク野郎の奇優ジャレッド・レトが相棒として組み、不気味な凶悪連中がチームを組む。

そこに女性美人犯罪精神学者の前科者として、マーゴット・ロビーも参戦して、いかにもパンクなスーパー・バイオレンス・コミックは快調なテンポと花火大会で突っ走る。

ま、よくある助っ人特捜班を、終身刑の悪党どもで構成して、警察はバックアップするという、コミック・キャラのような連中による、まずは命知らずの悪党たちの暗黒街一掃作戦なのだ。

お話は、毎度のコミックものの、悪党グループ一掃ドンパチ映画という訳だが、そこはあの「エンド・オブ・ウォッチ」や、ブラピの「フューリー」のデヴィッド・エアー演出はさすが。

ちょっと低迷気味のマーヴェル・コミックのヒーローたちの、臨時代打要員としては、やはり、かなりぶっ飛びなキャラクターで笑わせてくれる。

エンディング・クレジットのあとで、おや、ベン・アフレックが、陰の人物と密談している・・・ということは、これも次回作ではバットマンも参戦するのだろうか。

 

■大きなファールを連発して、サードライナーを野手がエラー。 ★★★☆

●9月10日より、新宿ピカデリーなどでロードショー 



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8月28日(日)11-00 渋谷<Bunkamura 1F ギャラリー>

★「イングリッド・バーグマン写真展」

 

映画「イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優」の公開を記念して、渋谷Bunkamuraギャラリーで27日から開催されている写真展を見た。

やはり、上階でスタートした映画が、初回から満席のヒットだというので、人気は上々の様子と聞き、とにかく午前中のうちに会場に馳せ参じた次第。

彼女のデヴューしたスエーデン時代の大きなポスターや、「カサブランカ」などの大きな劇場用の貴重なポスターなどが、時代を逆流させて、また作品が見たくなる。

周囲の壁面には、多くの出演作品の公開時ポスターが展覧されているが、上品な印象なのは、やはりバーグマン作品のノーブルだった実績のせいだろう。

でもハイライトは、「カサブランカ」日本公開時の貴重なポスターだろうか。その前には人の列が並ぶのも、アカデミー受賞作品のパワーだろうか。

比較的に会場のスペースを活用した映画宣材のなかでは、やはり野口久光さんのスケッチと、カンヌ映画祭でのパパラッチ写真が非常にバーグマンの人柄を感じさせて魅力的。

会場には、早々から、いかにもイングリッド・バーグマンのファンだったらしい、小粋な高齢者が目立ったが、意外にも若いギャラリーも多いのだという。

中央のショウケースには、日本公開時の劇場プログラムや、スチール写真、作品DVDからレーザー・ディスクなどの珍品も並んでいるが、それは当方の趣味のコレクション。

この展示会のために、カビ臭い本棚や映画関係資料ケースに中から引き出したもので、われながら、その珍しさに久しぶりにお目にかかったのは幸福だ。

 

●入場は無料ですので、ぜひ、9月5日(月)までの開催中に、足を運んで頂きたい。 



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8月27日(土)~9月5日(月)10-00~19-30 ★渋谷・Bunkamua1Fギャラリー<メインロビー・フロア>

*「イングリッド・バーグマン写真展』*映画「イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優」公開記念特別展示会*入場無料

●共催:スウェーデン大使館・東北新社 03-3477-9174(直通)

若い方にはご存知ない方もいるだろうが、40才以上の方で、映画女優イングリッド・バーグマンを知らない人はいないだろう。

オードリーや、モンローや、グレイス・ケリーなどの50年代女優たちの、ちょっと前の戦後の人気超美人スターで、わたしなどは初恋の女優だった。

もちろん「カサブランカ」とか「誰がために鐘は鳴る」での輝きは代表的だったが、わたしはヒッチコックの「白い恐怖」と「汚名」で恋におちた。

しかし人気絶頂の時に、まるでグレタ・ガルボのように、突然ハリウッドを去り、イタリアの監督と結婚したときに、われわれはハリウッドに捨てられた、と思っていた。

一応は、60年代になって、「追想」でハリウッドに復帰はしたものの、もうあの絶世の美貌は失われていて、女優としての演技力は増していたが、その行方不明な10年はナゾだったのだ。

今日から公開になるスティーグ・ビョークマン監督によるドキュメンタリー映画『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優』では、その行方不明だった彼女の実像が紹介される。

これは、再現ドラマではなく、彼女の娘でもあったイザベラ・ロッセリーニによって紹介される、イタリア時代のファミリー・フィルムであって、そのことで、空白の10年が見られるのだ。

作品の素晴らしさは、このブログで6月のはじめにも紹介したが、女優イングリッドが、人生の絶頂期を家族の幸福のために生きていたという記録に、感動した。

という次第で、今回の写真展には、多くの秘蔵写真が並べられるが、その会場には、日本公開当時の宣伝材料もあった方が、懐かしくていいいーーーという発想で、ガラクタも並ぶ。

その多くのガラクタが、実はわたしの個人的な道楽コレクション・・・という訳で、ぜひ、いちど、会場に足を向けて頂きたい。

29日には、夕刻から、スウェーデン大使館の主催で「イングリッド・バーグマン生誕100年・バースデー・パーティ」が開催されるので、そこでは彼女に乾杯したい。

いま、コンビニでも発売されている「週刊朝日」の中では、わたしの<初恋の弁>も紹介されているので、ご笑続ねがいたい。

 

★9月5日までです。 



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8月22日(月)10-00 西銀座<東映本社7F試写室>

M-104『疾風ロンド』(2016)東映映画、関西テレビ放送、木下グループ、博報堂、朝日新聞社

監督・吉田照幸 主演・阿部 寛、大倉忠義 <118分> 配給・東映

売れっ子、東野圭吾の多くの原作が映画化されたが、これは「白銀スキー場ジャック」のような、雪国ミステリーの映画化だが、タイトルの意味が妙。

<ロンド>というと、フランス映画の「ラ・ロンド」を思い出すが、要するに<円舞会>のような、目の回るような乱舞ミステリー、ということなのだろうか。

某秘密機関の薬学研究所から、危険な拡散型の未開発毒物が盗まれて、その隠し場所の写真が脅迫状と共に送りつけられたが、それには白樺林の幹に取り付けられたテディベアのぬいぐるみ。

国家機密の事件なので、警察に依頼できずに、さっそく、担当研究員の阿部 寛が、社長室に呼び出されて、柄本 明の変人社長に、期限の4日間に極秘の捜索を命じられる。

ところが、脅迫犯が自動車事故で死んだために、その脅迫金の受け渡しができなくなり、しかも薬物は温度が上がると蒸発して、多くの死者がでる危険がある。

という事件で、あのジョン・スタージェス監督の「サタン・バグ」と同様の事件がおこるのだが、こちらはボケ社長と、ノロマな研究員の話なので、まったくサスペンスなし。

とにかく事件は緊急な解決を望まれ、雪の白樺林の状況写真から、その薬物が埋められたのは、野沢高原スキー場の中ではないかと予測し、スキー経験のない阿部は現地に入って、ドジな捜査を開始。

幸い、スキー場のレスキュー・スキーヤーの大倉青年の協力を得て、問題のテディ・ベアのある白樺林は見つけるのだが、さらにその薬物を狙うムロツヨシの介入で、捜査は難航。

まさにあのピーター・セラーズの「ピンクの豹」のような雪山スキー追跡が展開されるが、ハンディ・カメラとドローンによる撮影での滑走シーンのスピードで、やっと目が覚める。

雪山でのコミック・ミステリーを狙ったのはいいが、どうもストーリーにフォローしていくのがやっとの展開で、主演者たちのコメディ演技も噛み合ず、<苦笑のロンド>となった。

ちょっとあの黒澤明の「天国と地獄」の構造を狙った白銀コメディだが、あまりにも滑り下手な初心者スキー教室のような苦笑劇となったようだ。

 

■左中間に抜けたゴロの当たりで、セカンドを狙い封殺。 ★★★

●11月26日より、東映系ロードショー



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8月19日(金)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-103『セルフ/レス*覚醒した記憶』SELF/LESS(2015) Focus Features / Enogame Entertainment / Filmnations.

監督・ターセム・シン 主演・ライアン・レイノルズ、ベン・キングズレー <117分・シネマスコープ> 配給・キノ・フィルムズ

ニューヨークの実業家で建築家のベンは、高齢ながら現役で実務に君臨していたが、余命半年の末期がんの宣告を医者から受けて、覚悟を決めていた。

そこに、関係会社で頭脳医学研究所の責任者からの極秘の連絡で、高額な費用はかかるが、あなたの頭脳はそのまま保存して、死に行く体を若くする実験が可能だという。

バカな話だと聞き流していたが、いよいよ死期を感じると、やはり自分の記憶は残しつつ、体は健康な30代の<人間>に代われるものなら、その実験を受けてみたい、と同意する。

この話、前にもあったなーーと思い出したのは、ジョン・フランケンハイマー監督1970年の傑作「セコンド」で、ロック・ハドソンが主演の傑作だ。

あの作品では、高齢になった男が、高額な支度金を秘密組織に払って、行方不明を装い体を若返りして、遠い土地で新しい生活をするが、結局は老妻のもとに戻ろうとして始末された。

実に画期的で当時の映画ファンには評判になったが、昨年にやっとDVDが発売されて、また見直して、そのユニークな発想と、誰もが思いつく欲望の儚さに感動した。

しかし、この新作では、心と頭脳は残しつつ、外見的に体だけを取り替えるという、「ジキルとハイド」的な着想を、多額な医療実験でやってしまうという。

で、死期の近いベンは実験室のベッドに寝かされて、睡眠薬で安楽死させられ、同時に若い特殊部隊の戦闘で仮死状態だった若いライアン・レイノルズの肉体にスライドするのだ。

老練な知性を残しつつ、肉体は強靭な30代の青年に戻った、新しい知性<転送>人間は、その拒絶反応を緩和するために処方された特別な処方薬を日常的に飲むのだが、違和感を感じ出す。

つい最近も「秘密・トップシークレット」という大沢監督の不思議な頭脳僣入サスペンスがあったが、いかがわしい手術室が出ない分、こちらの作品の設定には説得力がある。

しかし日時が経過するにつれて、若い肉体には、彼が過去に体験した不思議な出来事が、一種の体のクセとして残っていて、その体はただのクローンではなく、ある女性の伴侶だった過去が甦り出す。

という具合で、その改造人間にはふたつの記憶があったことになっていくという、実に奇妙なミステリー構造は、ま、ネタバレになるので書かないが、実に意外な展開となるのは面白い。

ま、あくまで<二重人格>に悩んで行く男の話なので、マジなライアンに、またも「デッド・プール」のような面白い人格は期待できないが、実にユニークな発想、といえよう。

 

■ショート後方へのフライをレフトも前進して譲り合い、ポテンヒット。 ★★★☆

●9月1日より、TOHOシネマズ、シャンテほかでロードショー

  



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8月16日(火)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-102『アズミ・ハルコは行方不明』" Azumi Haruko is Missing " (2016) 幻冬舎、クロックワークス、福岡放送

監督・松居大悟 主演・蒼井 優、加瀬亮、<100分> 配給・ファントム・フィルム

山内マリコの原作を、29才のプロヂューサーと、同じ29才の監督で取り組み、主演の蒼井を取り巻く出演者たちも、ほとんどが20代前後という若さ。

こうした日本映画の若返りは、ここにきて急速であって、もう鬼才と言われていたベテラン監督も、会社でいう部長クラスになったのか、発想とリズム感がまるで変わって来た。

そのせいか、いつもの試写室も、開場5分で満席となり、普段なら開映15分前でも楽勝気分でやってきた常連試写族は哀れ、不覚にも門前払い、という異常事態なのだ。 

「バニー・レイクは行方不明」というミステリーがあったが、この「アズミ・ハルコ」は実際に行方不明ではなくて、自分のアイデンティティを意図的に失踪してみせるという新種。

あのスパイの<ジェイソン・ボーン>は記憶喪失によって、自分の存在が不詳になっていて、それがサスペンスだったが、この映画は失踪事件ものでもなく、ましてやサスペンスでもない。

このところ好調の、日本映画でのミステリーものを期待していた当方としては、この自我を意図的に喪失に見せかけて、自分という人種をリセットするという発想には恐れ入った。

ということは、一見、青春ど真ん中な女性映画のようでいて、実は人間性の変革期を迎えている<若い女性>のポジショニングを、一時的な<行方不明>によって、問題を転嫁しようという企み。

先日見た「オーバー・フェンス」でも、すこぶる好調を見せた主演の蒼井 優は、ここでも奔放に自己改革をしようと、まさにタランティーノの「ジャッキー・ブラウン」のように化けるのだ。

<アラサー>という時期を迎えたアズミ・ハルコは、ますます窮屈になっていく自分の周辺から脱却すべく、身柄を放置しつつも、己の透明化を意識した様に、その生き様を替えて行く。

その辺の女性独特の変身感覚は、厚化粧な年増シン都知事の今後の活躍に期待したいが、この映画でのアズミや周囲の女性たちも、どうにも動きのとれなくなった自分の状況から<行方不明>という手段を選ぶ。

という感覚では、女性の方が、たとえば結婚や転職によって、割に軽々と<転身>してみせる才覚は、頑に意固地な男性たちのオールドファッションを、あざ笑っているのが、昨今の風潮。

だからして、このアズミくんの<行方不明>作戦も、あの「テルマ・アンド・ルイーズ」のような悲壮感はなく、ある種、爽快な青春の変身手段として、人生の作戦として、<アリ>なのだろう。

つまりこれは、失踪ミステリーでも、青春挫折ドラマでも、人間性追求ドラマでもなく、爽やかな自己解放の女性的な英知なのかもしれないが、おじさんは唖然とするのみなのだった。

 

■前身守備のレフト頭上を軽く抜いたクリーンなツーベース。 ★★★☆☆

●12月、新宿武蔵野館などでロードショー 



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8月11日(木)11-10 二子玉川<109シネマズスクリーン>

M-101『シン・ゴジラ』" Sin-Godzilla " (2016) Toho Studios

製作総監督・庵野秀明 監督・樋口真嗣 <120分> 配給・東宝映画 

老舗ゴジラ本舗の東宝映画としては、2004年の「ゴジラ・ファイナル・ウォー」以来12年ぶりの新作だそうだが、渡辺謙主演のハリウッド版が一昨年あった。

そのせいか、それほど久々という気はしないのも、やはり松井秀喜の<ゴジラ>というイメージ以上に、成城の東宝本社のスタジオ壁面にずーっと・・・ゴジラが存在していたから。

今回のタイトルに「シン・・」とつけたのも、<新>では、どうも久しぶりの再発売のようで、照れくさかったから・・・かも知れないが、<罪な>という意味合いも感じる。

たしかまだ黒澤映画が全盛だった時代に登場した「ゴジラ」は、当時の第五福竜丸の原爆実験被災から出現した海底怪獣で、手作りなぬいぐるみ的な怪獣がユーモラス。

今回見た二子玉川の<109シネコン>が出来た場所には、その当時には<東急二子玉川遊園地>があって、ジェットコースターの間には、巨大な怪獣がそびえていた。

その場所で、この新作を見るというのも奇異だが、あれから東宝映画の円谷特撮グループは、まるでお祭りの花火大会のように、ゴジラ映画を作り続けていたのだ。

だから、またこうして東京湾に登場したゴジラが、より巨大に凶暴に進化して多摩川をさかのぼってきて丸子多摩川のビル街を壊滅していくという状況は、ある感慨もあった。

いっそのこと、この二子玉川のライズ・テラス・マーケットや、109シネコンや30階のホテルもぶっ潰してくれたら、地域住民としては<感動>したかもしれない。

ま、そんな個人的な感慨は別にして、シン・ゴジラが戸越銀座商店街から五反田周辺を暴れまくる特撮は、ハリウッドには適わないにしても、それなりの映像迫力は見せてくれる。

気になるのは、そのゴジラ対応に忙殺される警察や政府の被害対策関係部門の混乱ぶりで、最近見た「64」での事件記者と地方警察の混乱のように複雑怪奇なのだ。

たしかに現実問題としては、まさに第三国の不法侵略と同じで、自衛隊や防衛庁の高官たちが右往左往するのはわかるが、いちいちその部門名が表示されるのには閉口した。

しかもゴジラが東京駅周辺にまで侵攻して、その防戦に米軍の協力を取り付ける騒動になると、もう主人公も不在となって、こちらも誰の言動を頼っていいのか・・・???。

つまり、主人公は<原子怪獣ゴジラ>なのであって、その生態には触れずに、ただただ関係各所や、生意気な二世ガイジンのヘンテコな英語を聞かされてると、イライラが募るのだ。

とはいえ、伝統の怪獣映画のブランドものなので、東京駅で<凍結>するまで、2時間の大混乱には時間を忘れて見入ってしまったのだから、お疲れ様でした。

 

■高く上がりすぎたセンターフライが、フェンス手前で失速。 ★★★☆

●全国東宝系で公開中。 



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8月10日(水)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-100『オーバー・フェンス』" Over the Fence " (2016) ツインズジャパン、TCエンターテイメント、東京テアトル。

監督・山下敦弘  主演・オダギリ・ジョー、蒼井 優 <112分> 配給・東京テアトル

若者実像型映画の素材として評価の高い佐藤泰志原作の小説「海炭市叙景」や「そこのみにて光輝く」に次ぐ原作を、「リンダ、リンダ、リンダ」や「マイ・バック・ページ」の山下監督が映画化。

ということになると、これは問題作で見逃せない・・・と思いつつ、なかなかチャンスがなく、とうとうラストチャンスの試写に駆けつけた。

話の舞台は、このところ映画の舞台として重宝されている北海道の函館市だが、こちらの観光気分とは関係なく、その港町ハコダテとしての美景は全く出ない。

主演のオダギリは、都会での子供のいる一般家庭人としての生活を放棄して、ひとり故郷の函館に戻っても実家を避けて、職業訓練所で簡単な大工作業の実務をして、ささやかなアパート暮らし。

多くのアグレシブな都会人たちのテーマになるドラマの中で、この一歩身を引いている生き方は、むかしの網走を出所した健さんのような設定だが、彼の場合は犯罪でなく自分でドロップアウトした。

つい最近でも佐藤浩市の「起終点駅ターミナル」や竹野内豊の「人生の約束」などの中年男たちの、人生のリセットを試みるという、立ち止まり型のドラマがあったが、このケースとも違う。

どちらかというと、前科者のような制服作業員の日課なので、毎日の木工作業で顔を合わせる連中も、どこかグレていて一筋縄ではつきあいきれない、という微妙な空気。

つまりは、<KY>という、都会生活での周囲の人間関係の空気感を読めないタイプの、一種はみ出し野郎たちの集団生活だが、指導員の言う事は聞いて、わずかな実動費は貰っている。

オダギリは、とくに気が弱い人間ではないようだが、とうするに一般社会生活の<ルーティン>が苦手で、いい年をしてからも、こうしてルーズな孤立生活をしている。

その彼が出会った蒼井優の不思議な女性もまた、アブノーマル一歩手前の<ヘンな女>であって、これまた「白い帽子の女」のアンジェリーナのように正体不明な逆ギレ女性。

ま、佐藤泰志のストーリーに登場するキャラクターなのだから、登場する人物はすべてフツーではなく、社会への適用が苦手な個性派なわけで、面白いがつきあいきれない、という集団。

映画はそのドロップアウトしたようなふたりの男女が、低迷する日々の中でも活路を見つけて行くというドラマで、とくに主演のふたりがキレまくるシーンには異様な迫力はある。

という意味では、蒼井のブッチギレの演技は見ものであって、しばしオダギリは苦戦に回っていたが、ラストのソフトボール大会で会心の一打で、はい、おしまい。

 

■最後の一打がオーバーフェンスのようだが、ファールの判定。 ★★★

●9月17日より、テアトル新宿などでロードショー 



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8月5日(金)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-099『トレジャー:オトナタチの贈り物』" The Treasure " ( 2015 ) 42KM Films. Les Films du Worso, Rouge International ルーマニア

監督・脚本・コルネリュ・ポルンボユ 主演・クジン・トマ、アンドリアン・プカレスク <89分・シネマスコープ> 配給・ファインフィルムズ

珍しいルーマニアの映画だが、ハンガリーよりも東の国で、ウクライナの南にあたるという、まったく海もなければ、観光の話題にものらない地味な国の映画。

テーマも、いかにもお国柄というのか、目立った世界的な産業もなく、つつましくも貧しい市民生活の余談で、これも「ティエリー・ドグルドーの憂鬱」のようにギリギリなのだ。

首都のブカレストの市街地のアパートで、近所の男が借金で家賃も払えないので「金をかしてくれ」とドアを叩いたのだが、これって、まずジャパンではあり得ない話。

金に困ったら、親戚か銀行かサラ金か・・・かっ払い強盗というのが、われわれのジョーシキだろうが、このダメ男は800ユーロを貸してくれというのだ。

どうやら家賃を滞納しているらしく、その代金はほぼ8マン円くらい、らしいが、なにしろお金に困ったというアパートの隣人同士のこと、金はないが相談にのることにした。

ま、この辺の隣人感覚が、実にのんびりしていて、フランスやドイツやジャパンのようなガメツさがなく、いかにも北欧の「キッチン・ストーリー」の時のように、大らか、・・というか、のんびり。

借金を返すあてはないのだが、その隣人がいうには、むかし郊外に持っていた土地のどこかに、ナチスの占領下時代に、先祖が資産を埋めてしまっているらしいので、それを探そう、・・・という。

クジン・トマが演じているオヤジは善良だが、生活意欲はとくになく、6才の挙動不審な息子と気難しい妻がいるが、気がいいので、その隣人のいうお宝発掘作業に協力することにしたのだ。

それで、週末にその祖父が持っていたという荒れ地に行くが、管理はしていないし、広い雑木林の土地なので、お宝を探すには、とにかく金属探知機という奴が必要になった。

そこで昔に地雷処理のために使ったらしいオンボロな探知機に、車のバッテリーをつなぎ、ガーガーとヘンな雑音を響かせて、その庭の方々を探しまわる・・・という具合。

普通のハリウッド映画でなくても、もし日本映画であっても、この計画性のない呆然とするような宝探しには、とてもついていけない・・・という先の読めない展開。

忙しいひとなら試写室を出てしまうような、無為な捜索のあと・・・ここらしい、という地点にシャベルでアナを掘り出すのだが、あーあーあー、もう日が暮れてしまってもまだ続く。

という具合で、やっと夜中になって、その死体が入るような穴の中からは、やはり空っぽの金属製トランクが出て来て・・・、見つかったのは紙袋の書類だけ・・・。

第68回カンヌ国際映画祭では、<ある視点部門のある才能賞>というのを受賞しただけに、たしかにお宝は発見されて、ユーロの換算によると、このふたりは大金持ちになった。

 

■ゴロのヒットがライトの股間を抜けて、ツーベース。 ★★★☆☆+

●9月17日より、ヒューマントラストシネマ有楽町などでロードショー 



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8月2日(火)11-20 <二子玉川>109シネマズ・❶スクリーン

M-098『インデペンデンス・デイ*リサージェンス』" Independence Day =Resurgence " (2016) Twenties Century Fox Film Corporation

製作・監督・ローランド・エメリッヒ 主演・ジェフ・ゴールドブラム、リアム・ヘムズワース <120分・シネマスコープ・3D > 配給・フォックス映画

1996年公開の「インデペンデンス・デイ」から20年して、これまた<ゴースト・バスターズ>のように、またしても7月4日の記念日に甦った悪夢の災害をスケールアップして製作。

相変わらずアメリカ大統領の指揮の下、国防陸空軍が総力でエイリアンたちの侵略に必死の抵抗をするというスペクタクルで、大きくは前作と変わらない内容だが、スケールアップしている。

六本木のFOXの試写室のスクリーンは小さいし、すぐに劇場公開されるので、ご近所のニコタマ、109シネコンのビッグ・スクリーン、エグゼクティブ・シートで避暑気分で楽しんだ。

とくにハリウッドのフォックス映画伝来のアイマックス・シネスコサイズの作品は、視覚聴覚環境のいいシートで見るのが、作品の印象は、より作者の創意を堪能できるのだ。

それにしても、20年ぶりに地球上に現れた異星人の円盤は巨大すぎて、その本当の大きさがワカラナイくらい大空を、まるでドーム球場の天井のように覆い被さり、視覚を独占する。

初めに洋上に出現した時点では、前回の円盤のように、ワシントンのホワイトハウスを包み込むような大きさだったが、今回の飛行物体は視野を圧する台風の雷雲のようで、凄まじいのだ。

昔の連中の、アメリカ大統領ビル・プルマンは、リタイアした老人になり、ジェフ・ゴールドブラムも老けたが、まあ前作のイメージを死守しているが、まさに20年ぶりのクラス会。

しかし飛来した未確認円盤の大きさは、とにかく巨大すぎて火を噴く火山の土石流のように視界を圧倒して、またしても世界各地の大都市を破壊しだして「カリフォルニア・ダウン」の世界版なのだ。

ヒラリーを予測してか,アメリカ大統領は女性なのだが、フランスの女性心理学アドバイサーのシャーロット・ゲンズブールや、中国人女性パイロットなど外国人女性の活躍の方が目立っている。

これもアメリカだけでない市場感情の配慮だろうが、前作でウィル・スミスが奮闘したジェット・パイロットは若い白人リアム・ヘムズワースが、トム・クルーズのようにトップガンを演じる。

とうとうラストでは、巨大飛行物体から、巨大なイカのような触手を持ったエイリアンとなって出て来て暴れ回るが、こうなると「シン・ゴジラ」顔負けの巨大殺戮映画となって大混乱。

老け込んだ前作の出演者たちの風貌よりは、監督のエメリッヒはお元気で、相変わらず派手なサービス根性で飽きさせないが、見ているこちらには少々サービス過剰。

ま、この猛暑の夏の熱中症防止のために、クーラーの効いたシアターで楽しむには、かなり派手だが、水のなかのドリー探しよりは、多摩川の花火大会のような騒々しい2時間だった。

 

■大きなセンターフライだが、これはあらかじめの守備範囲。 ★★★☆

●全国で公開中。

  


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