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細越麟太郎 MOVIE DIARY



6月19日(金)10-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-076『踊るアイ・ラブ・ユー』"Waking on Sunshine " (2014) Vertigo Films / I M Gloval. U K.

監督・マックス・ギーワ&ダニア・パスクイーニ 主演・アナベル・スコーリー <97分> 配給・ファントムフィルムス

監督は前に「ストリートダンス」をヒットさせたキャリアを活かしたような、まさに97分の、お手軽プロモーション映画で、暇つぶし用のデイト・ムービーだ。

一応は「レ・ミゼラブル」でアカデミー音楽賞受賞のアン・ダドリーが音楽監督としてバックアップしているので、フンダンに唄と踊りが愉しめる仕掛け。

彼女は、かつてポール・マッカートニー、フィル・コリンズ、エルトン・ジョンなどなどの、超ビッグの音楽的なサポートをしていたというスーパーウーマンなのだ。

ストーリーは、南イタリアの西海岸、ポルトフィーノに近いプーリアの港町に3年ぶりに姉のアナベラが帰省したら、何と、突然、妹が結婚するというのだ。

相手の男性は、これまた大ショック!!!。何と・・・3年前に熱烈な恋の末に別れた元カレ。さあどうするこのカンケイ。どこか「アナと雪の女王」のパロディじゃないか???

ま、とにかくストーリーよりも、サン・レモの音楽祭を取材したような乗り。マドンナからホイットニー・ヒューストン、シンディ・ローパー、ジョージ・マイケル・・・・などなど。

往年のヒット曲がランダムに構成されて、一応、この矛盾だらけのラブ・ストーリーに応援歌並みのノリでガンガンいくのだ。という点ではポップ・プロモーション・ワイド・ヴァージョン。

という意味で「マンマ・ミーヤ!!』のタイプの画調なのだが、どうもこの三角関係も底が浅くて、無理なハッピーエンドが見えているので、美しいリゾート・シーンを眺めている方がいい。

あのメリル・ストリープ級のクレイジーな名演があればいいが、ここにはその気配はないし、昔のジュリア・ロバーツのウェディング・アクシデント喜劇のパロディのようだ。

だから、お手軽な初期的なデイト・ムービーとしては・・・どうぞ。

 

■当たりは悪くないが、平凡なセンター・フライ ★★★

●7月10日より、TOHOシネマズ・シャンテなどでロードショー 



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6月18日(木)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-075『さよなら、人類』" A Pigeon sat on a Branch Reflecting on Existence " (2014) Svenska Filmstitutet, スウェーデン

監督・ロイ・アンダースン 主演・ホルガー・アンダーソン <100分> 配給・ビターズ・エンド

スウェーデンのフィルム・インスティチュートで、映画と文学で学位を取得したアンダースンの作風は、すべてがアートといえる自画の緻密な絵コンテで成立している。

その画集はまさにアートであって、映画というよりは、総合的なグラフィック・ジニアス。二子玉川の蔦屋家電に置いてある画集を見ていると、その凄さに一時間はかかる。

構想15年、撮影に4年もかけたというシーンは、どこを取っても独特のブラック・ユーモアとアート・レベルに貫かれたような資質であって、まったく愉快で、恐れ入ってしまう。

いきなり<死との出会い>という、まさに呆れる様にトボケた突然死のスケッチを披露するが、まさに人間の死は、その生と同様に、ごくありふれた場面で起こりうるという視点。

サムとヨナタンという、見るからに冴えない<おかしな二人>が、多くの奇妙なエピソードの案内役のような感じだが、それでも唐突に時代は逆流して、変化してしまうのだ。

その冷静で皮肉で、しかも知的なアングルは、人間の普段の視線に似ていて、まさにごく日常的なシーンの連続だが、このアンダースン<目線>にかかると、すべてがダークなイラストレーションのようだ。

おかしな生活のスケッチは、グレイのトーンで統一されて、ほとんどはパントマイムのように多くは語らずに、その人間達の奇妙な、しかし大真面目な行動でスケッチされていくので飽きない。

それぞれに、あの先日見た「人生スケッチ」のように誇張されてはいないが、かなり独特のシニカルな切り取りで、まさに4コマ漫画のようなおかしさと皮肉に彩られている。

ほぼ100分の上映時間に、そのブラック・コミックの挿話は止めどもなく語られて行くが、いちいち説明も関連性もなく、しかしその全てが<人生の愚かさ>を冷笑していくようだ。

という意味では<動くおとなの漫画>という枠で括られて行くが、アメリカの<エスクァイア>や<ニューヨーク・タイムス>などのカリカチュアとは、まったく異質の北欧らしいクールさがおかしい。

これこそが<ロイ・アンダースン・ワールド>なのであって、説明するのは愚かな事だ。ヴェネチア国際映画祭でグランプリ受賞というのは、まったく異存がない。お見事な、考えさせる喜劇作品。

 

■ファールで粘ったものの、レフトのポールをかすめるホームラン ★★★★

●8月8日より、YEBISU GARDEN CINEMA 他でロードショー 



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6月17日(水)10-30 二子玉川<109シネマズ>3番スクリーン

M-074『海街 diary』東宝映画+GAGA、小学館、フジテレビジョン

監督・是枝裕和 主演・綾瀬はるか <126分> 配給・東宝

これもまた人気コミックの映画化で、吉田秋生の2007年単行本化されたものを、あの名作「そして父になる」の是枝監督が映画化。

とのかく前作の大ヒットで、当然、春先の東宝試写室も混雑して、GAGA試写室も予約不可能な人気。で、試写は諦めて、それならばご近所のシネコンで見た方がいい。

それでも10時30分の早朝上映回から、大きな3番スクリーンの座席も、かなり混雑しているが、でもやはり劇場の方がゆったりしていていい。

当然のように、周囲の観客には圧倒的に女性が多く、「桜の園」か「若草物語」のような、温厚な女性映画だけに、どこか女子大のクラス会に紛れ込んだ変態ジジイの気分。

それでも是枝監督の演出ポイントは、さすがに心地よいスタンスで、ゆったりとしたカメラアングルは、その空気感が清々しい。それは早朝の映画館の空気感にもよるのだろう。

鎌倉の旧家に三姉妹を残して離婚した父親は、北海道で病死して、その葬儀に出向いた長女の綾瀬は、初めて父の最後の妹、広瀬すずに会い、咄嗟に同居をすすめた。

映画は、突然、単身で鎌倉にやってきた末妹の視線で描かれて行き、さわやかな江の電の近くの坂の旧家を舞台に、新しい4人姉妹のホームドラマとして展開していくのが心地いい。

見ていると、たしかに女性だけの家族なので、派手な暴力沙汰もなく、どこか古き小津や溝口や成瀬の映画のように、まさに<昭和の空気>を懐かしく感じさせ、非常に穏やかなペースだ。

だからまるで連続テレビドラマのような穏やかな空気に、さらりと流されてしまうが、ラスト近くで、長女の綾瀬が、新しい妹を<秘密の絶景ポイント>に案内するシーンが良かった。

遥かに海の見える丘に登ると、「お父さんのバカヤロー!!!」と綾瀬が叫び、続けて、すずが「お母さんのバカヤロー!!!」と絶叫する。ここが一番良かった。

「でも、バカなオヤジは、こんな可愛い妹を作ってくれた・・・ありがとう」と呟く。ま、とにかく、穏やかな、そして健全なる昭和的な本格姉妹映画ではあった。

 

■レフト線のゴロがファールラインを転々として、滑り込みセカンドセーフ。 ★★★☆

●全国でロードショー中 



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6月15日(月)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-073『天使が消えた街』" The Face of an Angel " (2014) BBC Films. UK / Multitrade / Ypsilon Films UK

監督・マイケル・ウィンターボトム 主演・ダニエル・ブリュール <101分> 配給・ブロードメディア・スタジオ

つい先日見た「イタリアが呼んでいる」を監督したウィンターボトム監督の、おそらくこれはその直前に監督した作品だろうか、取材スタイルの構成が、よく似ている。

もともと些細なテーマを、ごく個人的な視点でサラリと撮ってしまう監督の作風のせいか、味はあるものの、感動的な名作とはほど遠いプライベイトな作品を作る傾向だ。

だから有名なヒット作品はないが、いつも少し気になる???というスタンスの作品が、要するにこの監督の個性なのだろうか。この作品もまた、例によってミデアム・レアな印象。

「天使の顔」という原題のように、美少女のように清楚な美人女子大生が、イタリアのシエナという美しい古都で殺された事件が2007年11月2日に発生したが、その後、迷宮入り。

犯行は、アパートの自室で起きて、容疑者としてルームメイトの女学生とボーイフレンドが逮捕された。しかし裁判では証拠不十分。

まさに、「イタリアが呼んでいる」の二人の中年おとこのインタヴュー旅行のように、この事件に興味を持ったイギリスの映画監督が映画化のためのリサーチで、現地の聞き込みをするのだ。

「エンジェル・フェイス」といえば、おおお、ロバート・ミッチャムが主演した悪女ノワールを思い出すので、当方としては、そのノワール趣味のラインで見てみたのだが、ちょっと違った。

やはりウィンターボトム監督は、この迷宮入事件を、あくまでジャーナリスティックに描いていて、その事件の再現というよりは、事件に混乱する警察や司法当局の戸惑う様子を眺めるのだ。

ラスト周辺で、どうやら真相らしいのは見えるのだが、監督はあくまでアウトサイダーとして事件を客観していて、要するにエンターテイメント作品のような決着は見せてくれない。

ま、現実の未解決事件で、しかも被害者はイギリス女性だが、事件はイタリア警察の管轄である。だから監督は明言を避けたのだろうが、これが実は作品のウィークポイントになってしまった。

「ラッシュ/プライドと友情」でもそうだったが、ダニエル・ブリュールという役者の表情には、ヒーローのような強さはないので、この映画作家としての意思の強さは見られない。

それは、映画の中での私生活でのトラブルも背負っての役柄だったので、よけい優柔不断な印象に見えたのが、この作品の不透明さを現しているようで、歯がゆい。

 

■セカンドの横を狙ったゴロが好守備で惜しくもアウト。 ★★★

●9月5日より、ヒューマントラストシネマ有楽町他でロードショー 



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6月11日(木)15-30 汐留<FS・3Fホール>

M-072『ジョン・ウィック』" JOHN WICK " (2015) Summit Entertainment / Thunder road Pictures / 87 eleven Pro.

監督・チャド・スタエルスキ 主演・キアヌ・リーヴス <101分> 配給・ポニー・キャニオン

久しぶりに古典的なガンプレイアクション・ノワールB級活劇の復活だ。

「47Ronin」のあと、ちょっと消息の途絶えたキアヌだったが、「マトリックス」のスタントコーディネイターだったチャドが監督した新作に殺し屋役での復帰。

非常にクラシックなスタイルの都会派ダーク・ノワールで、まるで70年代のB級の娯楽映画のような、古めかしくも懐かしいスタイルは意外だ。

ニューヨークの暗黒の世界で、コンタクト・キラーとして暗躍したキアヌは、堅気な女性と結婚してからは山荘にひっそりと平和な生活をしていたが愛妻は病死した。

孤独な生活を支えたのは、妻の残した子犬だったが、ある夜にロシアン・マフィアの連中に家が襲われ、愛犬が殺され愛車のフォード・ムスタング69年クラシックが盗まれた。

激怒したキアヌは、旧知のボスに詰め寄るが、犯行はドラ息子のグループが起こした事件で、申し訳ないというが、彼にとっての愛車と愛犬は<いのち>だったのだ。

巨大なマフィアの組織に守られた首謀者のバカ息子連中を壊滅するために、キアヌはリベンジを重ねるが、それはまさに、とてつもない個人的な泥沼戦争となった。

おまけに旧友の殺し屋のウィレム・デフォーまでが、組織に雇われていたので、深夜のマンハッタンを舞台にした必殺の復讐劇は、まさに壮絶な戦場となった。

クラシックなニューヨークのホテルや、バーを見られるのは、それなりに嬉しいシーンが展開するのだが、すぐにそこも戦場となるので、とても落ち着いてノワールの郷愁に浸る暇もない。

あの「ブリット」でスティーブ・マックイーンが愛用していたムスタングの轟音と、多くの銃器を連発する轟音が絶え間なく鳴り響き、これではゆっくり孤独なキアヌも落ち着いていられない。

まさにペキンパーというよりは、バッド・ボイティーチャーや、バット・ベティカーのような、60年代のB級ギャング映画の世界が再現されて、一種のタイム・スリップを感じる復讐劇。

ほとんど笑顔も見せないキアヌは、あのメルビルの「サムライ」のドロンを気取ってか、どうもまだ、四十七士の浪人気分が抜けきっていないように暗かった。

 

■当たりが重すぎてショート後方からの遠投は同時セーフ。 ★★★☆

●10月、全国ロードショー予定 



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6月11日(木)13-00 外苑前<GAGA試写室>

M-071『人生スイッチ』" Wild Tales " (2014) Kramer & Sigman Films / El Deseo / Film Factory アルゼンチン

監督・脚本・ダミアン・ジフロン 制作・ペドロ・アルモドバル 主演・リカルド・ダリン 配給・GAGA

スペインの鬼才アルモドバルがプロデュースしているオムニバス・コメディだが、この極端に屈折したブラック・ユーモアは非常に毒味が濃い。

よくぞ、ここまで不運なエピソードを並べたと思うが、6つの短編は、それぞれに痛烈で悪意に満ちていて、本当に善良なひとが見たら、とても耐えられないだろう。

原題は「ワイルド・テイルス」というから、実に悪意に満ちた不運なショート・ストーリーで、実にマジに作っている分、おとなのバッド・ジョークとしては「ノー・カントリー」並みだ。

人生には、スイッチの押し間違いが日常的につきものだが、これはその不運なスイッチを押してしまったエピソードだが、笑っては済まされない。

❶は、旅客機に乗り合わせた見知らぬ乗客たちが、ある人物のことを知っていて、それぞれに彼に精神的な負担をかけていたが、実は精神的にノイローゼな、そのパイロットはジャンボを墜落させる。

❷は、レストランの女給は、親を不幸にした高利貸しが食事に来たので、シェフの入れ知恵で料理に毒を入れるが、事態はもっと強烈な地獄となる。 

は、田舎の山道で追い越された車に、さらに追い越しをしたことで、見知らぬドライバーふたりは悪意をエスカレートさせるスピルバーグの「激突」の過激な地獄バージョン。

❹は、ふと路上駐車した車が違反したことでレッカー移動され、よせばいいのに、それに文句を言った男は、警察を相手に泥沼の転落が最悪の事態となってしまう。

❺は、大金持ちのバカ息子が交通事故を起こしてしまい、その肩代わりを、召使いにギャラを払って命令するが、バカ息子のやった事故はそれだけじゃなかった。

❻は、結婚式の披露宴に呼ばれた元カノジョが来たのを知った新妻はカレに逆ギレしたために、豪華な披露宴は凄まじい地獄の修羅場となってしまう。

このような、発端は些細なことが、なぜか最悪の状況を引き起こすという、人間の愚かな日常のスケッチを、じつに呆れるばかりのリアリティで描くアルゼンチンの濃い人情の悲劇。

こんな事態は避けたいが、バッドジョークの原点は、ウディ・アレンやニール・サイモンが得意としているエリアであって、それを本気で映画にしてマジに描いた部分に恐れ入ってしまった。

アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされただけに、この凄まじい毒味のコメディには、大笑いしたが、実は恐ろしいリアルもあり、園子温監督は見るべき傑作だ。

 

■フルカウントの6球目を叩いたライナーがレフトのポールをかすめて、ビデオ判定。 ★★★☆☆☆

●7月25日より、新宿ピカデリーなどでロードショー 



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6月10日(水)10-50 二子玉川<109シネマズ・3スクリーン>

M-070『予告犯』"Yokokuhan" (2015) 東宝映画、集英社、予告犯制作委員会

監督・中村義洋 主演・生田斗真 <119分> 配給・東宝

これもまた筒井哲也の同名人気コミックの映画化で、「白ゆき姫殺人事件」の中村監督による新作というので、地の利を活かして早朝の劇場鑑賞。

最近やたらとマスコミを賑わしている予告ネット犯罪だが、このコミックの主人公もインターネットを駆使した犯罪予告を、追跡不可能な複数のアドレスを駆使。

警察のネット専門家の知能も欺くような頭巾による映像投稿手法は、いまや国際的なレベルでの脅威であって、先日見たマイケル・マンの「ブラック・ハット」もネット犯罪ものだった。

こうしたテーマは、ただの脅迫犯のネットアタックではなくて、かなり最先端の通信技術をマークしていなくては出来っこない。こどものネット・ゲームではないのだ。

だからして、ネット初心者の当方としても、実はこの巧妙なインターネット・テクニックと僣入手段やウィールスによる破壊工作など、とてもじゃないがワカラナイ。

その知能犯は新聞紙の頭巾を被って、ネット上で犯行予告を立ち上げて、当局を翻弄するのだが、凶悪犯ではあっても暴力団のような凶暴な手段は避けている知能犯。

生田斗真の演じる青年は、よくテレビのニュースで見るような犯行予告をネットで発信して、映画はその実態を、スマホやツイッター受信の文字画像をスクランブルに流すのだ。

どうも、そのようなスピーディな発信と、それに即、反応するという現在のネット事情に疎いので、大きなシネコンのスクリーンに流れる複数の通信情報には、とてもついていけない。

とはいえ犯罪そのものは、案の上、社会からのはみ出し青年たちの反逆予告であって、後半は警察捜査のリーダー戸田恵梨香との「踊る捜査線」状態となり、ごくありがちな<おっかけっこ>となる。

ラスト近くで、実行犯グループは逃亡の果てに友情を分け合うのだが、そこでの覚悟の偽装心中という手段は、どうもネット・ジーニアスにしては弱気で納得できないエンディング。

社会からのはみ出し天才たちの、自信の新しい突破口を期待したのだが、・・・・。残念。

せめてスティーブ・マックイーンの「華麗なる賭け」のような逃走テクニックを、ネット上で偽装して見せて欲しかった。

 

■セカンドベース上のクリーンヒットはいいが、返球に刺される。 ★★★☆

●東宝系で全国ロードショー中

  


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6月9日(火)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース試写室>

M-069『マッドマックス/怒りのデス・ロード』" Nad Max Fury Road " ( 2015 ) Warner brothers / Village road show 

監督・ジョージ・ミラー 主演・トム・ハーディ 3D<120分> 配給・ワーナー・ブラザース映画

ご存知メル・ギブソンのオーストラリア・デヴュ作で、30年前に一部マニアの間でブームになったシリーズの原点「マッドマックス」、その元祖ジョージ・ミラー監督の完全復帰版だ。

もともと近未来世紀末で、水と石油資源のなくなった地上でのサバイバル・バトル映画で、当時はあまりにもコミックなヴァイオレンス発想のせいか、一部のマニア向け活劇だった。

それでも3作ほどのシリーズは人気となり、メル・ギブソンはハリウッドのトップ・スターになったが、監督のジョージはその後のハリウッドで、どうも企画に恵まれなかった。

「ハッピーフィート」や「ベイブ」のような、いくつかのファミリー向けのファンタジー作品は作っていたが、彼のクレイジーな本領は、タランティーノやダニー・ボイルのクラス。

もう、あの破天荒なクレイジー・ムービーを撮る年齢じゃないのかな、と、「マッドシティ」で案じて、実はこの久しぶりの「マッドマックス」リベンジは心配が多かった。

しかしジョージ・ミラーには、その危惧はまったく無用だった。いや、大変失礼しました。おぬし、なかなか、やるじゃん。・・・・。

いきなり不毛の荒野に立つマックスの後ろ姿。「俺は気の触れたマッド・マックスだ」というなり、足下のトカゲを踏みつぶし、重量級のヘビー・バイクに股がると崖を走り去る。

ま、クリント・イーストウッドが見たら、「俺のマカロニ・ウェスターンと同じじゃないか」と苦笑するだろうが、このマックスは、それからの2時間、走りまくるのだ。

強烈なハードロックの音と、凄まじい砂塵を撒き散らして、悪の手に支配されている水源を求めて、マッドの荒野の激走は止まらない。まさに無謀な映像暴力。

オスカー女優のシャーリーズ・セロンも、坊主刈りに片腕というダークなルックスで、この極限の狂気<マッドマックス>のリベンジに参戦して、さすが大女優の意地を見せつけるのだ。

ストーリーは特にない。そのデス・ロードの激走を邪魔する軍団との、壮絶な走行バトルがノンストップで繰り返され、想定外の改造戦車による激闘が止まらない。

これはもう、見ているこちらにも、その映像と音響のチャレンジに対抗できる体力がなくては、とても味気ない2時間になるだろうし、その気がない人は絶対に見ない方が身のためだ。

3Dによる加速映像の連続と、ハードロックの轟音は、もう映画の娯楽性を超えて、むしろアミューズメントの体感バトルの戦場に投げ出されたような痛みを快感できる。

だから、これは、まさに<マッドマックス(極限の狂気)>なのである。

 

■初球を右中間に豪打して、一気に駆け抜けてエラーを誘い生還。 ★★★★

●6月20日より、全国ロードショー

  


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6月3日(水)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-068『Mr. タスク』(2014)"TUSK"  Big Oosik LLC. / Smodcast Inc. / A24 / Demarest Films / XYZ Films

監督・ケヴィン・スミス 主演・ジャスティン・ロング <102分> 配給・武蔵野エンターテイメント

ここ数年に見た、いちばんの奇作映画である。とにかく、これだけクレイジーで、真面目なスタンスでトボケたホラー映画はない。不気味なバッドジョークなのだ。

もちろん悪い出来ではなくて、それなりに立派で上質な、しかもかなりシリアスな驚愕コメディだから、あのキューブリックや、デヴィッド・リンチ、コーエン兄弟に負けていない。

発想はヒッチコックの『サイコ』に似ているが、あの辺境のモーテルのオーナーだったノーマン・ベイツよりも、このミスター・ハワード・ハウ老人の方が数倍不気味で怖いのだ。

深夜のラジオのジョーカーというか、口から出任せなトークで捲し立てるデタラメ・アナのジャスティンは今日もネタを探していたが、ふと、トイレの張り紙に興味を持った。

それはカナダの奥地に住む老人で、ま、「モビーディック」のような冒険話を聞いてみないか、というのだ。これはもしかしたら、いい発掘トークの特ダネ・ネタになるかもしれない。

という訳で、ジャスティンは単身で老人の住むという、人里離れたゴシックなメゾンに行ったのだ。もう、この辺から、「レベッカ」のようなゴシック・ホラーの空気を感じさせる面白さだ。

いかにもジェントルな紳士のマイケル・パークスは、気持ちよくトークの取材に応え、紅茶を薦めて語り出したが、どうもその紅茶には睡眠薬が入っているらしく、ジャスティンはほどなく失神する。

ラジオ番組を一緒に制作していた、あのハーレイ・オスメント(何と、かなりメタボな青年に成長?)は、スマホの連絡も取れないことに不審を抱いて、遂にジャスティンの足跡を追う。

ま、そこは「サイコ」と同様の展開で、消えたジャスティンの恋人とハーレイは、スマホの記載データをもとにして、どうにかカナダの、そのゴシックな館を探し当てたが、車椅子の老人しかいなかった。

あとはネタバレになるので、この奇妙なブラック・ホラーを見てのお楽しみだが、裏庭にある薄汚れたプールには、一匹の大きなセイウチが横たわっていたのだ。

まさか、こんなクレイジーなストーリーを本気で映画化するとは、このケヴィン・スミス監督の才気は凄まじいが、その作為に惚れて資金調達をしたプロデューサーも素晴らしい。

大きな牙のことを<タスク>というらしいが、オットセイよりも大きくて、あの巨大なキバの<セイウチ>は、ただ哀しい唸り声をあげて、相棒と恋人に視線をおくるのだ。

現地で雇ったイカサマな探偵は、怪しい視線をしているが、あの声は紛れもなくパイレーツ・オブ・カリビアン。役者根性丸出しで、このカメオ出演を愉しんでいるのがお楽しみだ。

 

■高く上がったセンターフライが、風に流されてポテン・ヒットになり、その間にツーベース。 ★★★☆☆

●7月18日より、新宿シネマカリテなどでロードショー 



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6月2日(火)12-50 二子玉川<109シネマズ・3スクリーン>

M-067『シンデレラ』" Cinderella " (2014) Walt Disney Studio Pictures / Disney Enterprises

監督・ケネス・ブラナー 主演・ケイト・ブランシェット <121分> 配給・ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

この4月まで目黒にあったディズニー試写室での春先の試写は、いつもタイミングが合わず、あまり趣味でないお嬢様作品なので、ついつい見逃していた。

ところが近所にオープンした<109シネコン>のメンバーズ・カードのポイントが溜まり、1作品が無料で見られることになり、やっと遅ればせに見たという次第。

というのも、この伝統的ストーリーを、英国のシェークスピア劇団の大物ケネス・ブラナーが演出していて、主演はアカデミー主演女優賞受賞のケイト・ブランシェット!!!。

ということは、この少女漫画代表作のような「シンデレラ」ストーリーは、おそらくあのアニメーションで見た旧作とは、きっと予想の別アングルで描いているのじゃないか?

こうして、今頃になって、正に屁理屈の固まりで見る事にしたのだが、シアターに行ったら恐れ入った。何とポイント・カードによる招待席は、デカい3番スクリーンのプレミアシートでの鑑賞である。

エアラインのファースト・クラスばりのシートは、リクライニングで、巨大デジタル・スクリーンを悠然と眺められるというリッチな状況で、やっぱり試写で見なくて良かった!という実感。

で、作品は案の上、これは不運なシンデレラのハッピーな逆転根性映画というよりは、あの名優ケイト・ブランシェットの、後妻による実に悪どいハラスメント・イジメ演技を愉しむという、虐待映画なのだった。

屋根裏部屋に巣を持つネズミたちは、孤独なシンデレラのサポート役で好演しているし、あの舞踏会に行くカボチャの馬車やトカゲの御者たちの変身などがCGアニメで手際よく展開して楽しい。

つまり、健全なファミリー・ピクチャーとして見るよりも、アウトサイダーや悪女の視線で見る面白さが、この作品の意外な見どころだったのだ。

だから映画は、勝手な先入感で判断しないで、こうして実際に見てみないとワカラナイ。という、当然のことを、この映画は照明して見せてくれたようだ。

 

■平凡なライトフライだが、意外に伸びてフェンス直撃のツーベース ★★★☆☆

●大ヒット、全国ロードショウ中 



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