細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『真実』は、知らない方がいい、というケースもある。

2019年08月31日 | Weblog

8月9日(金)12-00 汐留<旧・徳間ホール>

M-061『真実』"La Verite" (2019) 3B-Bumpuku-Mi Movies -France 3 Cinema

監督・脚本・是枝裕和 主演・カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ <108分・ビスタサイズ>配給・ギャガ

試写があったのは、8月9日だったのだが、カンヌ国際映画祭に出品している関係で、その開催される29日までは公表しないでくれ、と配給会社はいう。

せっかく先行試写で見せてくれたのだから、少しでも評価が公表された方が、作品を配給宣伝する側としては有利だと思うのだが、そこは複雑な事情か。

という事情があったので、ここでやっと試写の印象を書ける、と思ったのだが、あれから今日迄に10作品ほどの試写を見ているので・・・もう印象が薄い。

あの「万引き家族」で、カンヌ国際映画祭で、是枝監督が最高賞のパルムドールを受賞した直後なので、大いに期待されたフランス映画ということで試写は満席。

とにかくカトリーヌ・ドヌーブの完全主演作品で、その娘役にジュリエット・ビノシュ、加えて曲者のイーサン・ホークが共演となると、やはり期待は大きい。

タイトルのように、主演の女優ドヌーブが、自身のキャリアを自伝にした本を出版したことで、いろいろと関係者に波紋と影響を与える・・というドラマ。

いろいろとその真実性には,実際の家族や関係者には不具合も生じて来る・・・という、暴露本後遺症を描いて行くストーリーは、それほど驚きはない。

すべてはフランス語によるホームドラマなので、そこは<万引き家族>のように、御家騒動、という視線で、是枝監督の腕前拝見、という<完全洋画>なのだった。

あれからもう随分と時間も過ぎたので、あまり細かな部分の印象は残っていないが、とにかくドヌーブのワン・ウーマン映画という印象しか残っていない。

ドラマの中で、ファミリーネームとファースト・ネームの名前が、同じイニシャルの俳優には名優が多い・・・という会話があったのが、面白いなーーと思い出した。

<ミシェル・モルガン><ダニエル・ダリュー><シモーヌ・シニョレ><ブリジット・バルドー><マルチェロ・マストロヤンニ><マリリン・モンロー>・・・。

 

■シングルヒットで満塁になったのだが、見逃しの三振。 ★★☆☆

●10月11日より、TOHOシネマ日比谷ほかでロードショー


●『隔離病棟・それぞれの朝』精神異常者たちの友情と、日常生活のズレ。

2019年08月27日 | Weblog

8月20日(火)10-00 西銀座<東映本社7F・第一試写室>

M-064『閉鎖病棟~それぞれの朝』"Family of Strangers" (2019) 東映、木下グループ、朝日新聞社、MBS、<閉鎖病棟>製作委員会

監督・脚本・平山秀幸 主演・笑福亭鶴瓶、綾野 剛 <11分・ビスタサイズ> 配給・東映

昔は<気違い病院>といって、遥かに街を離れた地区に、ひっそりとあった隔離病院で、都市部の総合大病院では手に負えない重度の精神科専門病院。

その一般社会からは分離された、その病院を舞台にしたテーマというのは、これまでも「かっこうの巣の上で」とか「旅路」とか、洋画では多くあった。

たしかに精神的な重病にかかってしまった病人には、程度の差こそあれ、その家族の方が周囲の視線を気にして生活せざるを得ないというプレッシャーに苦しむ。

誰だって、その自身感情のコントロールは、つねにセーブできてるとは言えないが、一般的な市民生活が日常的にできなくなった人々というのは、実は多いだろう。

多くの人的な犯罪者たちは、私欲というよりは、その感情的な制御装置が異常な状態になっての爆発発情だろうが、こうして試写を見に来る連中だって、他人事ではない。

これだけ全国的に都市化が進んで、身勝手な欲望で行動が規制されれば、それは情欲だけではなくて、ついハミダしてしまう人や事例も多く、警察も病院も忙しい。

原作の帚木蓬生が山本周五郎賞を受賞したという原作は読んでいないが、異常な人間の感情の日常的な機微は,当然ながら文学の方が表現しやすいだろう。

それを承知で、こうして演出力のある監督と、演技に自信のある俳優さんは、多くの異常な人間心理の表現には、やはり魅力が大きいのだろうが、そこが魅力だ。

死刑囚だったという噺家の笑福亭鶴瓶は、なぜか死刑執行装置が失敗して、この隔離病院に入れられているが、監獄ではないのも、歩行困難で車椅子依存者のせいだろう。

共演の綾野剛も、久しぶりに精神的に過敏な青年の役で、いつものようにブチ切れの演技は抑えているが、鶴瓶とはどこか心の通じるやさしさを演じていて好感だ。

激しい感情的な激突というような、クレイジーな演技戦はとくになくて、そのギリギリの異常な感情をコントロールしている、清楚な人間ドラマとして好感は持てた。

 

■レフトオーバーの高いフライが、風に戻されてポトリ・ヒット。 ★★★☆+

●11月1日より、全国公開


●『T-34/レジェンド・オブ・ウォー』重戦車による超重量級戦争アクションの轟音。

2019年08月25日 | Weblog

8月15日(木)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-063『Tー34・レジェンド・オブ・ウォー』<Tー34>Mars-Media Entertainment. Ameda/ Russia One, Trite Studio

製作・ニキータ・ミハルコフ 監督・脚本・アレクセイ・シドロフ <シネマスコープ・113分>配給・ツイン

いやはや、第二次世界大戦でのロシア戦線での、俳優よりも<戦車>が主演という、いままで見た事もない戦車アクションの見た事もない重量級快作だ。

ま、われわれには、あのハンフリー・ボガート主演の「サハラ戦車隊」という傑作の印象が残っているが、これはまたとんでもない戦争もの。

時代はアフリカのサハラ砂漠ではなく、北のロシア戦線を舞台にした本格戦車主演作品で、ここまで人間よりも一種のロボット化した戦車作品は見た事がない。

ドイツ北部の捕虜収容所で、戦勝品のロシア戦車を、ナチスの軍部が運転処理が出来なくて、ロシアの捕虜兵に移動をさせたが、突然に戦車で集団大脱走。

そこはロシア製の軍事兵器の最新戦車なものだから、いくらナチス軍がその脱走を阻止しようとしても、とんでもなく強力な武力を維持する戦車には敵わない。

94年に「太陽に灼かれて」で、カンヌ国際映画祭で金獅子賞を受賞したニキータ・ミハルコフ監督が、ここでは先輩総指揮に回った本格的な戦車主演アクションだ。

一応は、ナチス兵や捕虜収容所での女囚との甘みの絡みはあるものの、実に全編にわたって<4人乗りの強力重戦車>が主演の脱走が続行するという無鉄砲な快作。

ロシア映画というと、トルストイものの重厚な人間ドラマや、「オセロ」のような舞台映画しか公開されなかったが、これは徹底的に戦車が爆走するという驚き。

という意味では、男性客本位のロシア戦線の<戦争もの>なのだが、ちゃんとラブ・ストーリーの味つけをしていて、ロシア映画史上最高のヒット作品。

 

■センター・バックスクリーンへの弾丸ライナー・スリーベース。★★★★

●10月25日より、全国ロードショー


●『42nd ストリート』の生ブロードウェイのステージに感謝する、が。

2019年08月21日 | Weblog

8月13日(火)12-30 築地<松竹3F試写室>

M-062『42nd ストリート』"42nd Street" (2018) Broadway HD, UK, Shochiku Broadway Cinema. 

監督・マーク・ブランブル 主演・クレア・ハルス、ボニー・ラングフォード <135分・ビスタサイズ> 配給・松竹映画

ブロードウェイ・ミュージカルではクラシックともいえる『フォーティ・セカンド・ストーリー』は、前にもディック・パウエル出演で映画化された。

1933年、まだ彼は新人で、あのジンジャー・ロジャースも若くて、主演はワーナー・バクスターとルビー・キラーだった、という超クラシック。

もちろん、モノクロームでの映画化で、当時は人気だったバスビー・バークレーが振り付けをしていた、というから、国宝級のミュージカル映画。

マンハッタンの42番街とブロードウェイが交錯しているポイントは、ニューヨークを代表する地点で、映画「地球最後の日」でも大洪水になった。

誰でもニューヨークに行ったら、必ず訪れる場所だが、所謂、ブロードウェイの劇場が林立しているところよりは南に位置していて、ま、有名なところ。

あのジェームズ・ディーンの写真集でも背景となり、このテーマ・ソングのメロディも、アメリカの国歌よりも有名なのかも知れないほどポピュラー。

その再三の公演の最近公演ステージを、ま、一種、ドキュメンタリーのように、舞台にカメラを向けて再現してくれるという製作意図は、とても嬉しい。

しかもちゃんと、サウンドもステレオだし、カメラはステージの定点映像、まさにドキュメンタリー・フィルムのように135分という長さで見せてくれるのだ。

という意味では、ブロードウェイ・ミュージカルの原点ともいえる、再演記録映像なのはありがたいのだが、どうもリアル・ステージの醍醐味とは、ちと、違う。

ま、贅沢を言ってはバチが当たります・・。

 

■当たりはいいのだが、意外に延びず、センター慌てて前進好捕。 ★★★

●10月18日より、東劇、先行限定公開、25日より全国ロードショー


●『ライリー・ノース*復讐の女神』で、またも<グロリア>オバさんのリベンジ復活。

2019年08月17日 | Weblog

8月7日(水)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-060『ライリー・ノース*復讐の女神』"Peppermint " (2018) Lakeshore Entertainment, Huayi Brothers Pictures

監督・ピエール・モレル 主演・ジェニファー・ガーナー、ジョン・オーティス <102分・シネマスコープ>配給・プレシディオ

あの秀作「グロリア」を思い出させるような、実に久しぶりに登場の<鉄火おばさん>の大復讐の単身リヴェンジを描いたB級アクションだ。

レジェンドともなった「レオン」や、ジョン・カサヴェテス監督の秀作「グロリア」のような、家族の復讐のために悪党撲滅に立ち上がるオバさんのリベンジ。

鉄火の大女優ジーナ・ローランズの再来とは言わないが、こちらは「エレクトラ」や「キングダム」でも、強烈なアクションも披露したジェニファーの再登場。

監督のピエールは、リュック・ベッソンの一番弟子のような力量で「96時間」でもアクション演出に鋭いエッジを見せたピエール・モレリで血気盛んだ。

ストーリーも、所謂、家族の復讐のためにキレてしまったジェニファー・オバさんのブチ切れリベンジで、香港のプロダクションが出資しているという血糖値。

だから、ハリウッド映画よりは理屈抜きで無鉄砲、感情的にバイオレンスを発揮するので、ま、一種、スポーツ感覚で見ていれば良いという、本格ママさんアクションだ。

最近は、実によく見るような、香港のプロダクションによる出資ハリウッド・ブランドの作品だから、こちらにも<中国製>の電化製品も多い事から、これもご時世。

ロサンゼルス郊外で銀行アルバイトをしていたジェニファー・オバさんは、夫が陰で関係していた自動車修理工場のトラブルで、彼と娘が外出中に暗殺された。

そのときに娘が手にしていた<ペパーミント>のキャンディーから、この作品のタイトルが設定されたという、ちょっとスイートな味を混めたリベンジ。

もちろん、見せ場が銃撃アクションで、徹底的にやっつけるジェニファー・オバさんのガンプレイの迫力だが、あのジーナ・ローランズの怒りには、届かない。

 

■フルカウントから強打したショート・ゴロだが、かろうじてセーフ。 ★★☆☆☆

●9月27日より、新宿バルト9他でロードショー


●『エンテベ空港の7日間』40年ぶりの真相解明の迫真サスペンス。

2019年08月14日 | Weblog

8月7日(水)10-00 六本木<KINO映画試写室>

M-059『エンテベ空港の7日間』(7Days in Entebbe) 2017 Storyteller Distribution Co.,LLC.

監督・ジョゼ・バリージャ 主演・ロザムンド・パイク、ダニエル・ブリュール <107分・ビスタサイズ>配給・キノフィルムズ

1976年、イスラエル・テルアビブ発のパリ行きのエール・フランス航空機がテロリスト・グループにハイジャックされ、中部アフリカのエンテベ空港に着陸。

4人のハイジャック犯グループは、500万ドルと、収監されている50人のパレスチナ過激派の即時解放を要求して、空港内に多くの乗客を監禁した。

これは、れっきとした事実のテロ事件の再映画化で、過去にも、「エンテベの勝利」や「サンダーボルト脱出作戦」などの再現ドラマとして映画化されている。

当時は、わたしもコマーシャル・フィルムの撮影で、よく海外にロケしていたが、パリからチュニジア行きのフライトのときには、かなり緊張したものだ。

事件の直後だっかせいか、パリの空港では、アフリカへのフライトは、別の滑走路まで連れて行かれて、かなり厳重なボディチェックを受けた記憶がある。

しかも、やっと通関して、チュニジア行きの727に乗ったら、周囲の乗客がほとんど白いマントにターバンと覆面をしたアフリカの乗客で、相当不気味だった。

この作品は、そのエンテベ事件の忠実な再現ドラマで、主演の二人は実行犯なので、ハイジャック空港での解放作戦の難航は、とても007の娯楽映画のレベルではない。

このところ、あのボンド・ガール出身だったロザムンド・パイクは「プライベイト・ウォー」「荒野の誓い」などと出演作品が続いていて、ここでもテロリスト役。

という目線では、アクション娯楽映画のようだが、内容はマジなテロリスト・グループの苦難の一週間を描いたポリティックな硬質な再現ドラマになっている。

しかし冒頭とラストでは、15人ほどのダンサーによるパントマイム風のモダンバレエのシーンがあり、過去の事件を踊りで象徴したのか・・・どうも狙いが???

あの悲劇のテロリストたちの失敗再現ドラマでは暗過ぎて、こうしたシーンを入れたのか・・・どうも狙いが、よけいに不透明になったドラマ。

 

■良い当たりがセンターフェンスに転々する間に、サードを狙ってアウト。 ★★★☆

●10月4日より、東宝シネマ・シャンテなどでロードショー


●『ドッグマン』やさしい飼い犬にも、噛まれることがある。

2019年08月12日 | Weblog

8月2日(金)12-30 六本木<キノ・フィルム試写室>

M-058『ドッグマン』" Dogman " (2018) Archimede & LE, Pacterai Cinemas, Eurimages , Regione Campania, POC.

監督・マッテオ・ガローネ 主演・マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ベッシェ <103分・シネマスコープ>配給・キノフィルムズ

犬好きには興味のあるテーマだが、犬の映画ではなく、これは忠犬のように他人の言う事を信用したために、人生を狂わされて行く・・という男の、笑えないコメディ。

イタリアは、ローマやミラノ、ヴェネチアのような観光で賑わっている人気都市は別として、このナポリ郊外の街のように、いかにも凋落してしまった区域も多い。

あのフェリーニの「甘い生活」に描かれていた、あのラストシーンの怪魚の死骸を見る様に、この寂れた海辺の街も、死期を迎える老人のように動きがない。

そのビーチで<ドッグマン>という、犬の飼育介護医院をひとりで営んでいるマルチェロは気の弱い独身男で、悪友の言いなりで悪事にも加担して逮捕された。

善良だが、まさに犬のように友人の言いなりで生きて来たようなマルチェロには、ガツン、と悪事を制するような勇気はなく、ただ尻尾を巻いて生きている男。

イライラしながら見ているのも、この気弱な中年男が、まるで捨て犬のようにエサを貰い飄々と生きている姿が好感で、これはイタリア映画でよく見かけるタイプだ。

1989年にエットーレ・スコーラ監督の「BARに灯ともる頃」という作品でも、このビーチの街で生活している息子に、父親のマルチェロ・マストロヤンニが言う。

「こんな寂れた街に居ないで、ローマに来ればいい仕事がいっぱいあるのに・・」と諭すのだが、息子はこのノホホーーンとしたビーチの街から動こうとしない。

あの傑作を思い出すように、イタリア人の気質には、あまりにもシエスタをキャンティで流し込む<甘い生活>に酔っているようなレイジーな若者もいるのだ。

<アグレッシブ>という言葉の通用しない街と、そこに生きる人間にも、まるで野良犬のような人生もある・・・という感慨に惑わされるような不思議な作品。

 

●平凡なショートゴロなのに、野手がお手玉の間にセーフ。 ★★★☆☆

●8月23日より、ヒューマントラストシネマ渋谷などで、ロードショー


ハッピーエンドへの遠い道のり*7月のサンセット傑作座ベスト。

2019年08月09日 | Weblog

★7月のニコタマ・サンセット傑作座<自宅>*上映ベストテン

 

*1『アバウト・シュミット』03(アレキサンダー・ペイン監督)ジャック・ニコルソン<DVD>

  老後の楽しみに、キャンピング・カーを買ったものの、かみさんの急死で、口煩い娘とも合わず、哀れ荒原のジャック一人旅。

 

*2『ゲライド・イン・ブルー』73(ジェームズ・W・ガルシオ監督)ロバート・ブレイク<DVD>

  荒原の直線一本道をハイウェイ・パトロール警官が終日走っているうちに見えて来る陽炎のような、白い孤独と現実との白日夢。

 

*3『月光の女』40(ウィリアム・ワイラー監督)ベティ・デイビス<DVD>

  蒸し暑いシンガポールの夜、駐在している大使夫人が、月の夜に見る欲情と孤独の幻覚を、巨匠と名女優が描いた異色ノワール。

 

*4『ブロンドの殺人者』44(エドワード・ドミトリク監督)ディック・パウエル<DVD>

  レイモンド・チャンドラー原作「さらば愛しき人よ」のフィリップ・マーロウ探偵を好演したディックの<ディック(探偵)>がシブい。

 

*5『シャイアン』64(ジョン・フォード監督)リチャード・ウィドマーク<VHS>

  老齢の酋長をモンタナの故郷居住地まで護送する騎兵隊の、珍しい人情ウェスターンでワイアット・アープも絡んで来る珍作。

 

以下は、スペンサー・トレイシーのノワール『仮面の米国』、ジョージ・クルーニーの『ファミリー・ツリー』、アラン・ラッドの『拳銃貸します』、

リチャード・ウィドマークの『地獄と高潮』、ドナルド・サザーランドの『ロング・ロング・バケーション』など・・・見ました。


●7月に見た新作試写では『ボーダー*二つの世界』がダントツの不気味。

2019年08月08日 | Weblog

★7月に見た新作試写ベスト・5

 

*1・『ボーダー・二つの世界』監督・アリ・アッバシ 主演・エヴァ・メランデール ★★★★☆☆

   デンマークとスウェーデンの国境通関監察官のエヴァは、不審な越境者をチェックしているが、自分の性癖の中に異常な獣性のあることに気づいて行く。

 

*2・『ブラインド・スポッティング』監督・カルロス・エストラーダ 主演・ダヴィート・ディクス ★★★★☆

   オークランドに住む若い親友は、お互いの人種的な肌色の違いなどは超越した仲だったが、心の奥底にある価値観や感情的な違和感に、少しずつ距離を感じて行く。

 

*3・『荒野の誓い』監督・スコット・クーパー 主演・クリスチャン・ベール ★★★★

   保護していた先住民の酋長が高齢になり、モンタナの生地まで護衛していくという任務で、騎兵隊の隊長は多くのトラブルに遭遇する、本格ウェスターンの気概。

 

*4・『ラスト・ムービースター』監督・アダム・リフキン 主演・バート・レイノルズ ★★★☆☆☆

   かつてのアクション映画の人気スター、バートはナッシュビルの映画祭に招待されるが、行ってみると、それは数人のマニアの貧相な集会だった、という苦汁。

 

*5・『ロケットマン』監督・デクスター・フレッチャー 主演・タロン・エガートン ★★★☆☆

   ロンドンの劣等生エルトン・ジョンが、多くの傷害を乗り越えてビッグ・スターになるまでの、本人が製作したロックンロール・サクセス・ストーリー。

 

*他に見た新作では、

『ジョアン・ジルベルトを探して』『ガンジー島の読書会の秘密』『永遠の門、ゴッホの見た未来』が、それぞれ印象に残った・・という、7月は豊作だった。