細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ゴールデン・リバー』に再現される、あのボギーの『黄金』の残像。

2019年05月30日 | Weblog

4月25日(木)13-00 外苑前<GAGA試写室>

M-033『ゴールデン・リバー』"The Sisters Brothers" (2018) Annapurna Pictures, Michael De Luca Productions, Top Drawer Productions

監督・ジャック・オーディアール 主演・ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス <122分・シネマスコープ> 配給・GAGA

不思議な事に、いまどき、フランス映画として製作された<西部劇>で、マカロニ・ウェスターンでなく、れっきとしたアメリカ西部オレゴン州のゴールドラッシュが背景。

あのアメリカ西部の開拓の歴史は、多くの西部劇として製作されて、当時青春だった拙者などは、毎週のように西部劇の銃弾と砂塵をスクリーンで浴びていたものだ。

ジョン・ウェイン、ゲイリー・クーパー、ジェームズ・スチュワート・・・などなど、当時のハリウッド・スターは、みなウェスターン・ヒーローだったのだ。

しかし60年代になってからは、大型スクリーンの開発と、アメリカン・ニュー・シネマなどの台頭で、70年代のころには、ほとんど姿を消してしまった伝説のジャンル。

ところが、どうしたことか、<マカロニ・ウェスターン>がイタリアやスペインで製作されて、クリント・イーストウッドという大スターを生んでから半世紀も過ぎたのに・・。

この新作フランス映画は、その<ウェスターン>の世界を、ちゃんとした英語の西部劇として作られていて、これって、あの<ラスト・サムライ>よりも<マジ・ウェスターン>なのだ。

なぜか<シスターズ>という名前の男兄弟は、そのオレゴン州で金塊探しの旅をしていて、ハンフリー・ボガート主演の「黄金」のような金塊探しの欲望に取りつかれた兄弟の話。

ま、その原名タイトルの捻りは、いかにもフランス人らしいジョークのようだが、ともかく、見ている分には、ゴールドラッシュ時代の西部劇なのだ。

従って、かなり時代錯誤したような新作なのだが、それなりに<西部劇>になっているので、あの時代を懐かしむには、汗臭いフレンチ・ウェスターンの珍品。

 

■セカンドフライだが、なぜか流れてライト前にポトリ。 ★★★☆

●7月5日より、全国ロードショー


●『コレット』がオードリーを発見したという、その時代背景。

2019年05月30日 | Weblog

4月23日13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-032・『コレット』"COLETTE" (2018)The British Film Institute, Hanway Films ,Bold Film Productions,UK

監督・ウオッシュ・ウェストモアランド 主演・キーラ・ナイトリー、ドミニク・ウェスト <111分・シネマスコープ>配給・東北新社

1914年の第一次世界大戦が勃発した時代に、フランスの片田舎サン・ソヴィール生まれのコレットは、女性としては初めての従軍記者として記事を戦地から送った。

それは「ロング・アワーズ」として出版されて評判になり、コレットの名前は知られるようになり、その後は小説家として「シェリ」などを出版し、知られるようになった。

戦中、戦後の混乱で3度の結婚をした彼女は、45年に「ジジ」を出版して有名な作家となり、それは舞台劇となり、50年にオードリー・ヘップバーンを発見。

彼女をハリウッドで映画化するタイミングで、オードリーをパラマウント映画に紹介して、映画「ローマの休日」は世界的なヒットとなり、オードリーもスターになった。

のちに「ジジ」は「恋の手ほどき」としてミュージカルにもなって、レスリー・キャロンの主演でアカデミー作品賞他で多くの受賞に輝いたことでコレットも世界的に有名になった。

著名なジャン・コクトーとは、パレ・ロワイヤルのアパートで微妙な隣人関係となり、サルトルとも交流のあった彼女は多くの小説や舞台劇で有名になり、この映画が作られたのだ。

ま、われわれには「ローマの休日」の、オードリー・ヘプバーンの発見推薦者として知られていたが、この作品ではパリを中心に50年代まで劇団などで活躍したことしか知らなかった。

それでも、こうして映画化されるほどに、パリの50年代に活躍した劇作家にして小説家であり、社交家でもあったコレットは、こうして映画化されるほどの有名人だった。

その、時代の女性作家として、欧米では人気のあった<コレット女史>の出世の背景を再現した作品で、キャサリン・ヘプバーン主演「キュリー夫人」の対象作品のような存在。

たしかに女性としての才覚を、あの男社会の時代にアピールした逸材としては歴史的だが、いま、どうして映画化する必要があったか、は・・???の部分もある。

 

■レフトへのライナーをショートバウンドで後逸、ツーベース。 ★★★☆

●5月17日より、TOHOシネマズシャンテなどでロードショー


●『シンク・オア・スイム<イチかバチか俺たちの夢>の居直りオヤジの意地。

2019年05月30日 | Weblog

●5月28日(金)12−30 六本木<キノ・フィルム試写室>

健康体なのに、なぜか仕事も家庭も将来も捨てたオヤジたちの生き様を、軽いコミックに描いているフレンチ・コミックだが、まずいランチのような、しかし空きっ腹には食っておいた方が、・・・ま、いいか・・。という苦味な笑えないコメディ。★★★☆☆