●3月28日(月)13-00 六本木<FOX映画試写室>
M-039『デッドプール』" DEADPOOL " (2016) Twentieth Century Fox / Marvel Entertainment / The Donners Company
監督・ティム・ミラー 製作+主演・ライアン・レイノルズ <108分> 配給・20世紀フォックス映画
アカデミー賞ノミネート・レースのニュースの後ろで、この作品が何と、フォックス映画史上最大で、歴史的にも全米ナンバーワン大ヒット記録で評判だった作品で、それは謎めいていた。
「デッドプール」なんてタイトル、あのロス・マクドナルドの「魔のプール」みたいで、もしかしたら空前のミステリー新作か、と思うほどの予測だったが、詳細は不明。
試写状が届いても、「呼んだ?」というキャッチに、まるでスパイダーマンのような赤いウェットスーツのような奴がショルダーバッグに2本の刀を背負っているだけ。
いよいよ気になるので、社内試写の初日に跳んで行ったが、試写室には特に熱気はなく、いつもと変わらない雰囲気なのだが、パンフを見て、初めてこれも「マーヴェル」なのを知った。
というほど、わたしも<ボケ>なのだが、いま巷ではスーパーマンとバットマンが戦っているので、これもアメリカン・コミックの映画化だった、と知るのに出遅れたのだった。
たしかに空も飛べないし、スーパーパワーも持っていないし、ただのひねくれた偏屈コスプレ男なのだが、タクシーの運ちゃんと普通に日常会話をして、低俗な冗談ばかり飛ばしている奴。
これがどうやら<デッドプール>なのだが、さて、タクシーが何やら悪徳グループに追われているらしいことが判って来た瞬間、ドカーン、と派手なクラッシュが連発した。
監督のティムは「ドラゴン・タトゥーの女」のタイトルや「マイティ・ソー」などでも、特殊なアクション・シーンを演出していたというテクニシャンで、これが初監督。
ま、突然フリーウェイをメチャクチャにしてのバイオレンス・シーンの炸裂は「トランスフォーマー」でも見ているので驚かないのだが、それにしてもこのヒーローは減らず口を叩いている。
ライアンは、つい最近も「黄金のアギーレ・名画の帰還」で好演していたが、実はあの「ウルヴァリン・XーMEN ZERO」でもこのデッドプールの役を演じていたのだという。
今回は自腹を切って、プロデュースまでしての完全主演なのだが、たしかにスパイダーマンのような庶民キャリアながら、もっとエッチで下品で元気でダーティな変人キャラクター。
2本の刀を背負っている姿は、あきらかに忍者のコピーなのだが、「キルビル」ほど陰湿でなく、性格は相当にノーテンキで、傷だらけで絆創膏だらけなのに、陽気で低俗なのがいい。
このハチャメチャな個性が、マーヴェル・コミックのファンには大受けして「アバター」の興行記録を更新しているというのだから、ま、相当な奴なのだ。
とにかくXメン顔負けのアクションはするが、空は飛べないので、もっぱら地上戦を制して、エンディング・クレジットのあとでは、次作の宣伝もしている、という変なヒーロー。
たしかに、この庶民的なキャラクターは、これまでのマーヴェル・コミックのスター達とは違って下品だが、めっぽう明るい性格は、人気のほども納得できた。
■ピッチャーの股間を抜くゴロのヒットが、センターも後逸のツーベース。 ★★★☆☆
●6月3日より、全国ロードショー