細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ボギーの顔を持つ男』は、ウディ・アレンの「ボギー!俺も男だ」への挑戦状なのか!!

2020年06月29日 | Weblog
●6月28日(日)21-00 KEY Video Tape <ニコタマ・サンセット傑作座>
●OV-117-51『ボギーの顔をした男』"The Man  With Bogart's Face" (1980) "20th Century Fox, Simon Films. CBS-Fox Films
監督・ロバート・デイ 主演・ロバート・サッチ、ミッシェル・フィリップス <111分・カラービスタサイズ> KEY VIDEO
いまや、<ハンフリー・ボガート>という名前すら、ご存知ないひとが多くなったが、4、50年代のテレビのない時代にはハリウッド・ヒーローだった。
あの「カサブランカ」に出ていて、「アフリカの女王」ではアカデミー主演男優賞も受賞した名優なのだが、もう彼の栄光もご存じない方も多いだろう。
その<ボギー>という愛称は大統領以上で、もちろん、いまでもハリウッドのパンテージ劇場の前には彼のサインと手形が路上のコンクリートに永久保存されているだろう。
これは、その<ボギー>こと、ハンフリー・ボガートの、ワーナー映画時代に量産されていた、ハードボイルド・ミステリー映画のヒーローだった<ボギー>へのオマージュ。
ハンフリー・ボガートにそっくりなひとは、そうザラにはいないだろうが、この<ロバート・サッチ>という俳優は、かなり似ていて、80年代にはテレビでも引っ張りだこ。
その彼をハンフリー・ボガートのイメージにオマージュして、名作「マルタの鷹」のサム・スペード探偵や「三つ数えろ」のフィリップ・マーロウのそっくりな訳とストーリー。
まさに<学園祭>のような<ノリ>で作った、ハリウッドでしかできない、これぞ尊敬すべきバカ乗りの、あのボギーを再現してみた真剣ミステリーで、根性はご立派。
ボギーにそっくりな主人公は、ちゃんと私立探偵事務所を持って、美女の秘書も抱えた探偵で、愛犬探しはお断りだが、この作品では消えた亭主を探して奔走するのだ。
事務所には、あの「ローラ殺人事件」の<ローラ>の肖像画が飾っているが、その<ローラ>役だったジーン・ティアニーのそっくりさんになったM・フィリップスも絡む。
つまり、40-50年代の、あのハリウッド・ミステリーの再現ドラマで、かなり時代考証から役作り迄、<本気>にリメイクされているのは、当時を知っているファンは悶絶。
マーロウ探偵は、終始トレンチコートにソフト帽で、「どうしてコートを脱がないの?」という美女の口説きにも「下着を着ていないんだよ」と、平然と、ご立派。
あの「マルタの鷹」「三つ数えろ」から「カサブランカ」にかけての<ボギー>を偲ぶ為の、壮絶なオマージュぶりが、かなり本気なクレイジーぶりで嬉しい。

●センターフライを野手が目測を誤ってのツーベース。 ★★★☆☆+
■このビデオを探し出したら、名探偵になれる

●『秘めたる情事』に残る、あの古風なロマンチィシズムの懐かしい品位。

2020年06月25日 | Weblog
●6月24日(水)20-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-114-50『秘めたる情事』"The Ten North Frederick" (1958) Twentieth Century Fox Studio Productions
監督・フィリップ・ダン 主演・ゲイリー・クーパー、スージー・パーカー <99分・モノクロ・シネマスコープ> VHS
名優ゲイリー・クーパー晩年の秀作で、「楽園に帰る」と同様に、彼自身の輝かしい映画人生の終焉を迎えようとする、ひとつの覚悟の感じられる秀作だ。
公開当時に日比谷の有楽座で見たときには、ひとりの人気俳優の最期の覚悟を見せられたようで、どうもモドカしい印象だったのだが、いま見ると感動も年代物の品格。
というのは悪い意味ではなくて、むかしの感傷というのは、そのカビ臭さの中にも、古い箪笥の中の父親の着物の匂いのように、あの思い出も懐かしく香るのだ。
たしかポール・ニューマンの「孤独の関係」とかフランク・シナトラの「抱擁」の原作も書いていたと思うが、ジョン・オハーラの小説の映画化で、ひとつの晩年紳士録。
ボストンの近くの小都市の役職を終えたクーパーは、市議会や友人たちからもマサチューセッツ州知事への出馬を期待されていたが、本人は野望も情熱もない。
連れ添った老妻が、かなりの悪妻で、彼を大統領選挙にまで押し挙げようと、市議会などでも暗躍するが、当のクーパーはとてもその野望もなく、静かな晩年を願っていた。
家庭のゴタゴタの最中、ニューヨークの大学に通うひとり娘のダイアン・バーシを尋ねたが、本人は不在で、ルームメイトのスージー・パーカーと初めて出会うことになった。
レストランを予約していたので、その美女と外出することにしたが、親子よりも離れたふたりだが、食事のあとのクラブでも、心意気が合って別れるのもモドカしい。
という出会いで、このふたりの交際が始まるのだが、この<秘めたる関係>は、名作「めぐり逢い」や「さよならをもう一度」などのように、熟年恋物語となっていく。
しかし学生街のレストランで、大学生とすれ違った際に、クーパーは倒れて、「お父さん、大丈夫ですか?」と助け起こされた瞬間に、自分の高齢を自覚してしまう。
一方的に、クーパーは自宅に籠もり、飲んでいた水割りが手元から落ちて・・・それがフェイドアウトして、彼の葬儀の夜の状態で<秘めたる情事>のエンドマーク。
ただし、娘のダイアンだけは、同室のスージーと父の恋を、かすかに察知していた、という、いまや全く見る事のなくなった実に珍しくセンチメンタルな秀作なのだった。

■イレギュラーしたレフトへの当たりがフェンスまでのスリーベース。 ★★★☆☆☆
●VHSテープ・コレクションで鑑賞。

●『ブルー・ガーデニア』は、ヒロインの殺人記憶喪失の誤認ミステリー。

2020年06月21日 | Weblog
●6月20日(土)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-112 『ブルー・ガーデニア』The Blue Gardenia" (1953) Warner Brothers. The Film Noir Collection Cosmic Pictures Muck.
監督・フリッツ・ラング 主演・アン・バクスター、リチャード・コンテ <88分・モノクロ・スタンダード>
あのフランク・シナトラが来日して公演したあとに、当時の人気アメリカン・ポピュラー歌手が続々と来日公演をした時期に<ナット・キング・コール>も来日。
60年代後半の当時、わたしはTBSのスタジオで、連日のように中継番組の担当をしていたので、幸運なことにも、来日した彼のステージ・リハーサルを見たことがあった。
3時ころから、赤坂にあったホテル・ニュー・ジャパンの地下には、<ニュー・ラテン・クオーター>というクラブがあって、そこでのリハーサルだったのだ。
ただのマイク・テストかと思ったら、キング・コールのピアノ・トリオは、何と、その夜に唄う予定の23曲ほどを、全曲通しで唄ったのには恐れ入ってしまった。
その中に、この<ブルー・ガーデニア>というバラードがあって、後にレコードも買ったが、彼はピアノとバラードを狭いステージで唄ってくれたのだった。
この作品の中でも、キング・コールが、その主題曲を唄うシーンがあって、実に当時の気分が、よく出ている、というオマケつきの珍しいサスペンスなのだ。
映画は日本では未公開になったが、サスペンスの秀作「飾り窓の女」のフリッツ・ラングの作品なので、見たかったシロモノが、こうしてDVDのムックで見られたのは至福。
秀作「イヴの総て」でビッグ・スターになったアン・バクスターの、ほとんどが独演のサスペンスで、ある夜に男のアパートで泥酔していた間に、その男は死んでいた。
もともと被害妄想の彼女は、自分が殺したに違いないと思い込み、事後工作をするが、刑事のリチャード・コンテは別の容疑者を捜査していく、というサスペンス。
その現場のレコードで鳴っていたのが、ナット・キング・コールの唄う<ブルー・ガーデニア>で、もちろん、レコードも当時ヒットしたバラードで耳に残っている。
アカデミー女優のアン・バクスターは、46年の「剃刀の刃」で、すでに受賞していたが、この作品はヒッチコックの「私は告白する」の直後の絶頂期のサスペンス。
記憶喪失から殺人疑惑に苦悶するという、いかにもサイコパスな演技は、彼女のお得意なヒステリックな演技で、この作品はその彼女のレパートリーの代表作だろう。


■レフト・オーバーの長打かと思われたが、ショート後方にポトリ。 ★★★
●コスミック出版のサスペンスDVDムック。

●『エイトメン・アウト』でも、フィールドに白球が飛ぶと、ワクワクする。

2020年06月17日 | Weblog
●6月16日(火)20-50 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-110『エイトメン・アウト』"Eight Men Out" (1988) Sunford Pictures, PCBP-50326, Pony Canyon DVD
監督・脚本・ジョン・セイルズ 主演・ジョン・キューザック、クリストファー・ロイド <120分・ビスタサイズ> GAGA Comunications
そろそろ、明後日の週末から、プロ野球公式戦がスタートするというのは、野球ファンとしては、やっとマスクを外して深呼吸のできるような楽しみだ。
コロナ・パンデミックで、 大幅に開幕が遅れたが、わたしが生きていて、これだけ6月の下旬までの開幕待ち、というのは戦後の公式戦開始以来初めてのことだろうか。
まだ無観客試合でのスタートというが、これまでも東京後楽園球場から、シアトル・セーフコフィールド、ヤンキー・スタジアムなどのゲームを楽しんだ者にとっては一安心。
映画ファンであるという以前から、わたしは中学生時代にはセカンド、高校時代にはライトの補欠を守っていたが、とにかく野球は大好きなのだ。
実戦能力はパッとしなかったが、あのジャイアンツの川上哲治選手を間近に見てから,イチローの東京ドーム引退試合まで、じつに多くの実戦は観戦してきた。
当然のように、野球の映画も大好きで、「打撃王」「甦る熱球」から「くたばれ、ヤンキース」「フィールド・オブ・ドリーム」まで、みんな好きで、まだ見ている。
そこで思い出したこの作品は、実際に1919年のワールド・シリーズで、シンシナティ・レッズに破れたシカゴ・ホワイトソックスが、八百長疑惑で裁判となった実話。
そのホワイトソックスの内情を描いたこの作品で、ジョン・キューザック、チャーリー・シーンなどが映画デヴュして、実戦シーンも自身がプレーしている。
結局は、その裁判の判決で、実戦のレギュラー選手も球界から永久追放された、という大事件で、以来<野球賭博>の取り締まりも厳しくなった、というのだが・・。
他の球技と違って、ベイスボールというのは、ピッチャーとバッターの配球の駆け引きから、当たったボールがどこへどのように飛んで行くか・・が、とにかく目が離せない。
よく、少年時代に愛犬と近くの川原で、夕方の日が沈むまでボール遊びをしたが、野球のボールの大きさが、人間の手のひらに最も愛着が深くて懐かしいのだろうか。
いまでも、わたしの座右には、あのピート・ローズと、イチローのサインボールが転がっている・・・。

■ゲームのシーンが出て来ると、つい乗り出してしまう野球バカ。 ★★★☆☆
●ポニーキャニオン・PCBP-50326 DVD

●『がちょうのおやじ』は、あの「マザー・グース」のオヤジ版パロディなのかな。

2020年06月13日 | Weblog
●6月12日(金)19-50 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-109-49『がちょうのおやじ』"Father Goose" (1964) Republic Pictures. Universal International Studios.
監督・ラルフ・ネルスン 主演・ケイリー・グラント、レスリー・キャロン <117分・スタンダード>リパブリック・ピクチャーズ、東北新社
一応は試写も再スタートして、ロードショウ劇場も上映を始めたもの、このコロナ騒動で、どうもこちらの動きも緩慢になり、試写も映画館も、まだ行っていない。
それで古いVHSなどを引き出して来て、こうして<ランスルー>しないと、テープの状態も仮眠状態で、映像にもムラが出るので困るのだ。
あの「シャレード」や「無分別」の頃の、絶頂期に買っていたケイリー・グラントのVHSも、「芝生は緑」「ペチコート作戦」などと同様に、たまに見ないと不調になる。
という次第で、この作品も彼の出演作品としては、もっとも不人気で、記憶にないようなコメディなのだが、廃棄処分にしてしまうには、ちょっと惜しい作品。
なぜか、ヘンリー・フォンダの「ミスター・ロバーツ」に嫉妬したのか、当時の大スター、ジョン・ウェインの「ドノバン珊瑚礁」のようにケイリー・グラントも南太平洋だ。
つまり、60年代前半には、連続テレビ番組がヒットして、ハリウッドのスタジオはテレビ番組に占拠されたのか、南太平洋のロケーションが多くなった時代。
ミュージカル「南太平洋」はともかく、ゲイリー・クーパーの「楽園に帰る」を筆頭に、大スターたちがロケ費用の安い、こうしたアイランド・ムービーを作ったのか。
フランク・シナトラの「勇者のみ」なども、こうした大スターたちの<アウト・オブ・ハリウッド>作品が増えていて、ペックの「渚にて」などもそうだった。
太平洋戦争の最中に、兵隊を脱退したのか、南海の孤島でひとり暮らししていたケイリー・グラントは、近くの軍港ではヤミ取引などもしていた<独身無精オヤジ>。
ヤシの樹の下の小屋で暮らすが、<頭上の敵機>の飛来を軍部のトレバー・ハワードに無線で報告しては、海軍の食材などを流してもらっていたのだ。
あの、都会派でダンディな<ケイリー・グラント>が、かくもダサい無精髭の無人島オヤジを演じるのは、ま、当時のハリウッドの苦策の涯だったのだろうか、苦笑作だ。
「巴里のアメリカ人」や「恋の手ほどき・ジジ」のダンサー、レスリー・キャロンが共演しているのも、どうにも理解に苦しむ凡作コメディ。

■ボールの下を叩いた、高く上がったキャッチャーフライ。 ★★☆
●VZ-984 東北新社VHS

●『恐怖の土曜日』は、50年代キャデラックに乗った西部劇。

2020年06月10日 | Weblog
●6月9日(火)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-107-48『恐怖の土曜日』"Violent Saturday" (1955) 20th Century Fox Cinemascope Productions
監督・リチャード・フライシャー 主演・ビクター・マチュア、リー・マーヴィン <90分・シネマスコープ>ビデオ放映版
20世紀フォックス映画が、シネマスコープという、従来のスタンダード・サイズのスクリーン・サイズを、横に2倍伸ばしたようなシステムでの最初の現代アクション。
「聖衣」や「百万長者と結婚する方法」などのあとに、ハードボイルドな<フィルムノワール>として、犯罪をテーマにした一種の公衆犯罪映画としてユニークだった。
つまりは、大掛かりな見せ物映画としての新製品<シネマスコープ>というスタイルで、アメリカの田舎町を舞台にした、明らかに、これは<背広を着たウェスターン>なのだ。
ディズニーの「海底二万哩」で評判を挙げた、フライシャー監督の、あの50年代のカントリーな街の人間模様が、それぞれにトラブルを抱えたアメリカの風景が面白い。
同じころに、FOX映画としては、青春スターとして、ダイアン・バーシを主演に「青春物語」というドラマを作ってヒットさせた時代の、これは<悪党物語>。
ビクター・マチュアとしては「都会の叫び」のようなノワールではなくて、健全な田舎町の平凡な家庭の父親で、ある土曜日の午后の事件が再現されて行く。
よく西部劇で見たような、銀行強盗のチームが、週末の西部の田舎町の小さな閉店直後の銀行を襲い、大金を奪って逃走するという、まさに50年代の旧来のパターン。
面白いのは、これまでにも沢山見て来たウェスターンの銀行泥棒映画を、普通乗用車を使って、いまの、つまり50年代でも変わらずに悪党共は銀行ギャングをしている。
そのちょっと<カリカチュアライズ>している、このテンポの早さと、ゼンソクに苦しむ悪漢リー・マーヴィンの、いかにも当時の<悪漢カリカチュア>の面白さだ。
そして、ラストでは常套手段のドンパチで、悪漢たちは滅びるが、クエイカー教のアーネスト・ボーグナインは、銃を使わずに百姓道具をつかって、やっつけるのだ。

■古いサラミ・ソーセージだが、まだ味は残っている。ツーベース。★★★☆☆
●テレビ放映ビデオでの鑑賞。

●『マカロニ』で見えた、戦友との最期の友情と、その奇跡。

2020年06月07日 | Weblog
●6月7日(日)11-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV・109-46『マカロニ』"Macaroni" (1985) Paramount Pictures/ Aurelio de Laurentis. Massfilms.
監督・エットーレ・スコーラ 主演・ジャック・レモン、マルチェロ・マストロヤンニ <104分・ビスタサイズ・パラマウント・ホームビデオ>
このコロナ・パンデミックで、3ヶ月も映画をスクリーンで見られないので、もっぱら、コレクションの旧作を引き出しては、勝手に<追憶劇場>なのだ。
先日見た「Barに灯のともる頃』のスコーラ監督が、マルチェロ・マストロヤンニを主演にして作った、それ以前の傑作も、こうして久しぶりに見ると、泣ける。
ニューヨークの実業家レモンが、大戦中に従軍していたことのあるイタリアのナポリを講演で訪れたが、ホテルで帰国の用意をしていたら男が尋ねて来た。
それがマストロヤンニで、不審に思っていたレモンに、女性の写真を見せて、「この女性とあんたは戦時中に恋をして、プロポーズしたのを忘れたのか」という。
やっと、かすかに戦時中のことを思い出したレモンは、結局、その昔にプロポーズした恋人に会いに、帰国便はキャンセルして、二人で郊外の港町までタクシーで行った。
そこには、昔に恋をした女性がいたので、嬉しくなって老レモンはキスしたのだが、実はその美女は昔の彼女の娘であって、本人は当然、肥満型の老女となっていた。
この辺のコミックなギャップが、いかにも、ジャック・レモンの持ち味で笑わせるが、気の合ったマルチェロと二人は、ナポリ港の埠頭でサンセットまで語り合った。
それでビールでも飲んで語ろう、と、レモンがビーチの店に行って、買って戻ったら、マルチェロが倒れていて、急遽、病院に搬送したが、亡くなってしまったのだ。
ラストシーンで、葬儀の最中に、遺体の小指と教会のベルを紐で結んでいたら、突然、そのベルが鳴り出した・・というシーンでエンディング・クレジット。
ま、マルチェロが生き返ったのかどうかは、見ているわれわれの判断によるのだが、実におしゃれでハートにやさしい、シニアの友情ストーリーだった。感動。

■レフトが後逸したボールがフェンスに行き、悠々のスリーベース。 ★★★★☆☆☆
●レーザーディスクでの鑑賞。

●5月のニコタマ・サンセット傑作座は、ロバート・ミッチャムが<コロナ征伐>だ。

2020年06月04日 | Weblog
●5月の<ニコタマ・サンセット傑作座>上映・ベストテン

*1・『さらば愛しき女よ』75<ディック・リチャーズ監督>ロバート・ミッチャム<OLDS>
   レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウのイメージを、非常にダンディでストイックな姿として、ミッチャムに焼きつけた。

*2・『ポイント・ブランク』67<ジョン・ブアマン監督>リー・マーヴィン<OLD>
   サン・クエンティン刑務所を脱獄した男が、復讐のために事件の解明と、真相追求の涯に復讐を果たすまでの、すさまじい執念と後に残る虚無感。 

*3・『Barに灯のともる頃』89<エットーレ・スコラ監督>マルチェロ・マストロヤンニ<VHS>
   老いたローマの父親が残る資産のことなどを、漁港で生活しているひとり息子に相談するが、さっぱり話しの通じない親子との寂しい一日。

*4・『テキサス魂』70<ジーン・ケリー監督>ヘンリー・フォンダ、ジェームズ・スチュワート<VHS>
   昔からの親しい友人が、恋人も資産も、売られた喧嘩と決闘なども捨てて、それぞれの愛馬と、メキシコへの旅を続けるウェスターン。
 
*5・『異国の出来事』48<ビリー・ワイルダー監督>マレーネ・デイトリッヒ、ジョーン・フォンティーン<VHS>
   戦後の廃墟のベルリンで、アメリカから来た美人記者と、従軍の軍人が恋のバトル。

以下、ブラピの『リバー・ランズ・スルー・イット』、ロバート・ライアンの『罠』、ロバート・ミッチャムの『トンプソンの逃走』、『片方のハイヒール<転落死>』
『エディ・コイルの友人たち』などが、コロナ休暇を忘れさせる見事な作品でした。

●『エディ・コイルの友人たち』のラストでの、あまりに突然の報復。

2020年06月01日 | Weblog
●5月31日(日)21-30 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-102『エディ・コイルの友人たち』"The Friends of Eddie Coyle" (1973) Paramount Pictures Corporations
監督・ピーター・イエーツ 主演・ロバート・ミッチャム、ピーター・ボイル <102分>ビスタサイズ・DVD
コロナ・パンデミックで3月から試写も、劇場でも映画が見れなくて、このところ大フェイヴァリット、R・ミッチャムのクライム・ストーリー作品ばかり見ている。
なぜか、ボギーやキャグニーの犯罪ものよりも、ミッチャムの作品のキャラクターには、犯罪に対しての<引き腕と後悔心>が感じられて、同感するのだ。
これはフィリップ・マーロウ役でのヒットで、風格がアップした直前の作品で、もちろん本邦未公開だったクライム・ムービーで、妙に味わいがあるから好きだ。
彼の役はニューハンプシャーの田舎町で、ボストンから流れて来る違法な密輸密造の銃器などを、地元のアウトローに売ったりしている一種の悪事商売人。
もともと犯罪などを冒すほどの度胸もなく、しかし悪の組織の連中との古い面識もあって、気ままな中年の場当たりな夜の生活をしている、というハンパな役だ。
とにかくテレビに対抗して、やたらとロケだけのチープな犯罪映画を量産していた時代で、監督もスティーブ・マックイーンの「ブリット」を撮る直前の異色作。
暗黒組織に密輸の銃器等を売りさばく商売だから、とにかくシカゴやボストンのギャングたちとの付き合いが多くて、その、夜のお仕事ばかりのナイト・ムービー。
という役柄なものだから、アクション・シーンもなく、悪漢をやっつけるような男前を見せるでもなく、ただ暗いバーの片隅で、悪い連中に密輸ガンなどを売るショーバイ。
しかし悪漢組織にも縄張りとか、メンツの問題も出て来て、とうとう、哀れ、わがミッチャムは、ギャングの運転する車中で撃ち殺されてしまう、というラスト。
あの名作「過去を逃れて」のような風格も格調もない、<見逃されたノワール>なのだが、やはりこのミッチャムにも、ファンは惹かれてしまうのだ。

●平凡なサード・ゴロだが、写真判定で一塁セーフ。 ★★★☆☆
■パラマウント・ジャパン・DVD