細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ジュディ・虹の彼方に』は晩年のジュディ・ガーランドの<スター失落>を見る・・苦痛。

2020年02月02日 | Weblog
●1月30日(木)10-00 外苑前<GAGA試写室>
M-007『ジュディ*虹の彼方に』"JUDY" (2019) Pathe BBC Films. Ingenious Media, Calamity Films Productions.
監督・ルパート・グールド 主演・レニー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー <118分・シネマスコープ>配給・GAGA
恒例の「キネマ旬報」誌での<アカデミー賞予想座談会>は、22年目で、ことしは辞退したが、いくつかの理由の中には、この作品の評価がある。
ノミネート作品の中では、恐らく「ジョーカー」が多くの受賞を果たすだろうが、この「ジュディ」がノミネートもされていないのに・・あの「パラサイト」が・・?。
それだけ、アカデミー賞の選考メンバーが若くなって、ジュディ・ガーランドの名前も歌唱力も、しかも娘のライザ・ミネリのことも知らないひとが多いのだろう。
だから、このサブタイトルにある<オーヴァー・ザ・レインボー>のメロディも知らない人達が、この作品を見ても、何も感じないのかも知れない。
わたしなどは「ジョーカー」を語るなら、あのジャック・ニコルソンの名演や、「地上最大のショウ」のジミー・スチュワートのジョーカーを思い出してしまう。
だから、この作品では、ライザのことも、夫だった名監督のヴィンセント・ミネリのことも、全然語られていないジュディ・ガーランドなんて、・・・。
もし和田誠さんが、天国で、この作品を見たら、「オズの魔法使い」のことも無視してしまっている「ジュディ」なんて、「意味ねーよ」と怒るだろう。
というワケで、非常に興味のある新作で、レニーの涙ぐましいほどの、晩年のジュディ・ガーランドの熱演は認めるものの、その過少評価には<時代>を感じたのだ。
従って、晩年のジュディ・ガーランドのロンドン時代の悲惨を描くのはいいとしても、せめて栄光の時代を匂わせる思いやりが、どこかにあって欲しかった。
せめて、アカデミー賞では、唯一ノミネートされている、主演女優賞候補レニー・ゼルウィガーだけには、オスカーをプレゼントしてほしい・・・と願うのみだ。

■レフト頭上を越えるツーベース・ヒット。 ★★★★+
●3月6日より、全国ロードショー

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