不定形な文字が空を這う路地裏

PAC-MAN


朦朧と彷徨う午後を適切な言葉で語ればどうにか恰好がつく気がして、汗ばんだ肌の不快感は無視することにした、太陽はかろうじて顔を覗かせている程度で、圧倒的な湿度の高さがすべてを塗り潰していた、真っ当な人生が一番キチガイじみている、気付いてしまったら流されるわけにもいかない、車の流れを無視して渡る車道、派手なクラクションはなるもののどうせやつらは怖気づく、向かいの通りになにか気になることがあったわけじゃない、気まぐれのようなものだったけれど自分で選択したものであるだけその日を飾るには申し分なかった、道はもう増えることはないのに車は増え続ける、いつかこの街は渋滞で滅びるかもしれない、運転席に座っている連中は傲慢であることに慣れている、信号は自分でもその価値を決めかねている様子で躊躇いがちに色を変える、誰のための速度、なんのための…変則三差路では早速下らない揉め事が起こっている、みんな誰かが自分の為になにかしてくれると考えている、自己主張の強さは実はただの甘えさ、聞いてもらえることに慣れている、暫定的な真実を愚行でもって作り出す、まるで見る価値無し、でも歩道はすでに野次馬で溢れている、きっと誰も彼も退屈しているだけなのさ、やつらにとって人生の彩とは誰かに差し出してもらえるものなんだ、三差路を通り過ぎる、騒ぎの真ん中ではもはや罵声のやりあいになっている、運転免許を配る時に全員の脳波検査をするべきなんだ、そんなことを思わせる光景がいつの間にかやたら増えた、愚かになることにだけ積極的な人間が多いのはいったいどういうわけだ?明確な解答はなかった、そもそもそこには問いすら存在してはいないのだ、まともさはもうとっくに手遅れ、移ろう価値観と常識は受け入れるだけが取り柄の連中の脳味噌を腐らせる、スタンドアロンで居られたのは決してただの幸運なんかじゃない、ギャラリーはいつだってもっと興奮させろと喚き散らす、知らねえ、欲しいものは自分で手に入れろ、俺にはいつだって自分の欲望だけははっきりと見えている、内奥に降り積もる言葉は時間と共に意味を変える、意味…その意味に近付くためには、様々な思考のやり方が必要になる、スタイルにこだわりはしない、真っ向から生み出される言葉はいつだって正直だ、次の段階が訪れるタイミングが次第に早くなってきた気がする、それは更なる進化への序章か蝋燭の最期の灯か?さあどうだかね、ただひとつ言えることは、まだ進化は続いているということだけさ、俺は変化を恐れはしない、いつだって俺は変化の先端に生きている、生きている間にスタイルが定められるなんて馬鹿げたことさ、人間などたかだか百年程度の人生だ、そんな生きものが限界を超えるためのエンジンはいつだって霊性さ、そうは思わないか?理由や動機を求めると本能の足取りは鈍る、まずはその時々の速度に身を委ねてみるべきだ、そこを見誤ると正しさみたいな嘘をつき続けることになる、誰かに拍手をもらうために書いたりはしない、いつだってその時だけの一行を探しているのさ、魂のすべてを差し出すことは不可能だから、この行為は死ぬまで終わることがない、わかったような顔をしてもしかたがない、わからないものの中に飛び込んで行けるかどうかなんだ、俺はあまり言葉を知らないけれど、いつだってその時初めてのフレーズを綴ることが出来る、そうだね、もしかしたら俺は、いつでもその日初めて生まれる魂でありたいのかもしれない、まあ、こんな過程はただの言葉遊びみたいなものだけどね…イマジネーションに嘘をついちゃいけない、どんな言葉でも躊躇せずに並べてみるべきさ、イデオロギーなんて歩みを止めるための言い訳にしか見えないよ、安住を望むのなら自分だけの言葉なんて捨ててしまうべきだ、同じ道を歩いていても違うことを考えている、視点だって上を見たり下を見たりする、天気や気分、体調によって変わって来る事実だっていくらでもあるはずさ、ほんの半径数メートルの中でさえすべてを把握することは出来はしない、いつだって取りこぼしの方が多いのさ、人間なんてどんなやつだって思い上がった間抜けに過ぎない、もしも知っていると信じているなら、そいつは自分を恥じるべきなんだ、結論が欲しいんじゃない、それには絶対に追いつけない、ただ俺は少しでもそいつに近付いてみたいだけなのさ、そしてこうして家の鍵を開ける度に、そいつの欠片が俺を出迎えるのを感じて、今日もなにかを書くことが出来ると感じていたいだけなんだ、それが有意義なのか無意味なのか、そんなことすらもう俺にはどうでもいいことなんだ、誰が何を言おうが俺がやることは決まっていて、そして俺はいつだってそれをその時一番必要な形で追いかけることが出来る、そして俺はまた、明日の為のなにかを手に入れることが出来るだろう、人生は連続する点だ、俺はまだようやくそのことに気付くことが出来たばかりなんだ。


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