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不定形な文字が空を這う路地裏

骨を抱く







午前零時の開幕のベルは
眠りについた歌声を呼び起こした
まっさらで直撃なエコー
それは肉体が要らなくなったせい


5ピースのバンドと
クラッカーのビートに乗りながら
それが子供だったり
大人になり始めたころだったりを
思い出しながら


ハモニカの残響が向かう先は
人気のない通りの先
高い方のドの音を最後に
外灯の明かりだけになって


独りぼっちでいたんだ
独りぼっちでいたんだよ
夜の街の明るさは
心の片隅を照らすのさ
閉ざされた地下室にもぐりこんで
マグライトで照らすように
忘れるくらいに追いやられた
心の片隅を照らすんだ


同じリフがずっと繰り返されてる
合図を出すやつがいなくなったから
誰も家に帰ることが出来ない
喉が潰れるまで繰り返すしかない
幾度となく迷いながら見つけた
欲望の歌を


僕らは骨を抱く
失われたビートに泣きながら
独りぼっちを確かめるために
心の片隅を照らして
誰かがずっと言葉を綴り続けることも
誰かがずっとステップを踏み続けることも
足跡や足音を
呼吸や発声を
失意と熱意や
静けさと喧騒
それは街角のようにいつも佇んで
例えば人気のない道の向こうに
ただ眠らないために見る夢は
いつも街灯の傍に在った


逸れた鳥は転がる石に身を寄せる
雨風は凌ぐことばかりじゃ
心は目覚めることはない
吹きすさぶハリケーンの真夜中に生まれた
定められた孤独のスペースを持って


いつか眩しい光に出会えたら
真っ先にお前に届けるよ
手紙や電子メールなんかじゃない
あらん限りの声で叫ぼう
耳を澄まさなくてもいいように
命から出る声で叫ぶよ


僕らは骨を抱く
増え続けるそれをずっと抱きしめている
いつかそれを抱えきれなくなったときが
きっとすべての言葉を忘れてしまうときだ

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