不定形な文字が空を這う路地裏

寝苦しい夜は牙を研ぐのに向いている


狂った夜は俺を、悪夢に誘おうとする、俺は唇を嚙んで、流れた血の味で正気を取り戻す、出口はいつだって自分で作ってきた、不可能だと思えるような夜にもやってみるとなんとかなった、だからもういいんだ、闇の程度や、実際にはない囁きの頻度など、もう俺にとっては何の意味も無いのさ、俺は咆哮を文章に変えてサバイブしてきた、俺は生き延びるためにそうして生きてきたのさ、生存の条件はどんな環境下にあったって確固たる自分がそこに在るかどうかだ、それ以上の条件は付加価値というものだ、知識や方法や技術はあとからついてくる、まず必要なものは何かというところをきちんとキープしておくのさ、自分なんて思っているよりあやふやなものだぜ、知らない間に楽な方へ流れて行こうとする側面だって確かにある、しかも近頃は、遺伝的にそういう感覚が刷り込まれているからね、俺は自分で矯正してきたよ、周囲をよく見て、これだけは真似しちゃいけないという物事を心に刻んできたからね、人生は口先だけじゃどうにも出来ない、行動と結果を持って少しずつ前進、向上を繰り返すのさ、見解の浅いやつほど、客観性がどうのと講釈を垂れる、でも考えてみなよ、客観的な視点なんて本当に在り得るのかい?それにしたって見つめているのは自分自身の頭蓋骨に埋め込まれているふたつの目に過ぎないんだぜ、幻を信じるような真似はよした方がいい、テキストを信じるのは後追いに過ぎない、そんなやつは理論の先へ行こうとしたとき何ひとつ生み出せなくてどこかへ行ってしまうのさ、そんなやつ俺はたくさん見て来たよ、そいつらにかけてやる言葉なんてない、だって始めた瞬間から詰んでいるようなものだもの、まあ、俺になんだかんだと言ってこない限りはどんなものだって許容してあげるけどね、時間を無駄にするのはあんまり趣味じゃないんだ、これは標準的な意味ではないよ、あくまで俺の人生にとってということだよ、俺は長い長い試行錯誤の果てに、狂った夜をさらに狂わせてやることを思いついたんだ、つまりさ、狂気と正面から向かい合おうと思ったんだ、だってそんなものただの感触じゃないか、印象を変えて正気のフォルダに放り込んでやれば、生きるのは少し楽になるはずさ、現代人が一番間違っているのはクリーンな部分だけを信仰してしまうという点だ、それは一度食事に使った皿を洗わずに捨てているようなものだぜ、認知して組み込むんだ、そうすればそんなに面倒に感じることも無い、もちろん、恐怖や不安といったものに変わることもあまり無い、要するに自分の感覚に柵を設けてはいけないという話さ、日常だのなんだのと、どうでもいいサブタイトルをつけて分類するのは止めるべきなんだ、人間はもっとナチュラルな感覚で理解することを覚えるべきさ、下手を打っちゃいけないぜ、それは一度忘れたら相当の荒療治でもしない限り思い出すことは出来ない、死ぬまで忘れたままになってしまう、これは冗談で言ってるんじゃない、本当に幾らでも居た、そしておそらくそうなってしまうだろう連中も大勢居る、驚くほどいる、ウンザリするほど存在しているんだ、もともとあるアンテナを畳んで、しまい込んで、別の、もっと見映えのいいアンテナを立てるのさ、それはどんな電波も受信したりしない、ただそこにあるだけのアンテナに過ぎないんだ、なぜわざわざそんなことをするのか?そういう人間で居たほうが得をするのが日本って国の社会に根付いているシステムなんだ、駒で居ることに慣れてるやつらが自分の人生を肯定するために大人とか社会とかいう飾り文句で誤魔化してしまうのさ、日本は今だって体質的には閉鎖的な村みたいな気質なんだよ、余計なことは一切せず、コミュニティの秩序を守るために生きて、歳を取って使い物にならなくなったら捨てられるんだ、姥捨て山がグループホームになっただけのことだよ、そうじゃないか?少しだけでいいから考えてみてくれ、社会なんて当り前のように痴呆化するもんなんだぜ、それは本来のアンテナを畳んでしまうからなんだ、本来受信すべきものを簡単にスルーしてしまうんだよ、埃のように舞って積もるだけの数限りない命、酷い悪寒、最高にゾッとする話さ、そういう人間たちの為に世界が回り続けるために、見栄や欲望の為の争いは繰り返されるだろう、誰かが損をするから誰かが潤う、どこかで失われるからどこかで生まれる、そういう風に出来ているんだ、そんなことは無いって言えるかい、規律と情愛に満ちた素晴らしい世界だって、言えるかい、ええ?詭弁をいくら並べたって駄目だぜ、生き易いからってだけでそんなものを選択しちまうようじゃお終いだ、時間を無駄にするのは趣味じゃないんだ、俺以外の誰かがどんな生き方をしようが知ったこっちゃないが、俺の邪魔だけはしてくれるなよ、出口はいつだって自分で作ってきた、これからだってずっとそうさ、俺が身体の中で飼い慣らしている獰猛な獣は、いつか俺の腹を食い破って世界に牙を剥くだろう、そのとき喉笛を破られずに済んだ誰かが、俺がやり残したことの続きをやってくれるだろうさ。


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