その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

土曜トピックス 31

2012年05月19日 | Weblog

 

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土曜トピックス 31

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晩春、初夏の草花の中でも

ひときわさわやかなものにヤグルマギクがある

ヤグルマギク(矢車菊、学名 Centaurea cyanus)は

キク科ヤグルマギク属の1種

石川啄木がこんな歌を詠んでいます

 

「函館の青柳町こそかなしけれ友の恋歌矢ぐるまの花」

 

花の色は青紫色、桃色、白色など

別名「藍芙蓉」というように青紫が身上のようです

英名も「ブルーボトル」

つぼみの形のボトル(瓶)に見立てています

色はやはりブルーです

コーン・フラワーとも呼ばれていますが

これは小麦畑の雑草だったことを意味するようです

ドイツではウイルヘルム一世が特に好み

自分の標章と決めたことから

「皇帝の花(カイゼルブルーメ)」と呼びます

皇帝の母がナポレオンに追放されたとき

小麦畑に隠れて子供たちをこの花であやした逸話があり

ドイツの国花になっています

学名にcyanusの言葉を用いられていますが

これはヨーロッパの伝説に出てくる青に憧れて死んだ

若者の名で青素と訳されるシアンと語源が同根のようです

猛毒の青酸カリはシアン化カリウム

また気象学で青空の色の濃さを計る器具を

サイアノメーターと呼ぶのもシアンと関係があるようです

東海道五十三次に描かれている浮世絵の空の色も

この花の色だそうです

 「清貧の閑居矢車草ひらく」 日野草城

「矢車草教会で逢ふ恋いまも」 宮脇白夜

「住みのこす矢車草のみづあさぎ」 中村汀女

 

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