
2023年4月5日 東ブロック労働学校
函館バス支部不当労働行為闘争弁護団 浅野高宏弁護士(弁護団長)
私鉄北海道函館支部に対する会社の不当労働行為を許さないという決意のもとで、この闘争のために、カンパをはじめ多くのご支援をいただいていることに感謝申し上げる。
現在、8名の弁護団で闘争を継続している。
8~9件、労働委員会、裁判所に係っている。
不当労働行為に歯止めを掛けるべく新たな闘争も仕込む必要がある。
5つの判断が出ているが、全戦全勝で取りこぼしなく勝っている。
p26 昨年12月に作った経過報告
今回の事件では会社が何をしてきたのか。
①執行委員長に対する定年後継続雇用の拒否
②書記長に対する懲戒解雇
③団交拒否(と組合切り崩し)
④組合員4名に対する不当配転(元副委員長の弾劾を進めた組合員たち)
⑤暖房手当・冬季賞与の私鉄組合員への不払い
⑥36協定違反

しかし、
不法行為・違法行為のオンパレード、労働組合法の教科書が書けそうだ。
➡会社は違法行為をまったくやめる気がない。私たちは許せない。
➡法律は力が実施されるまで時間が掛かる、控訴審⇒上告審⇒忸怩たる思い。しかし組合員の生活が掛かっている。
p87 組合三役の選出及び代表者の登記
➡代表者の変更登記が平成24年10月22日を最後になされていなかった
➡会社はそれを理由として委員長として認めないと主張
➡揚げ足をとられないという意味で登記をちゃんとやっておくことは重要
労使協定の更新手続きがなされていなかった(協定期限平31/4/1)、就業規則は高年法の内容に合わせて変えていなかった。
➡ここが裁判所で重要な争点となる怖れがあった。法律が定められていてもその法律の内容は労使の契約の関係では効力はない。
➡民事訴訟法の規則に基づく質問(に基づく提訴予告通知)ができることを活用
➡会社側弁護士からは、協定期限経過後も、従前の労使協定の内容に基づいて勤務延長していると回答。委員長を勤務延長しなかったのは、組合休暇の問題とも回答。
➡法廷においても元労務課長は正直にその通りの陳述をしてくれた。
➡労使慣行になっていたとしても、協定の期間延長をちゃんとやっておくのは、紛争になったときの争点としないために重要。
委員長の定年後の継続雇用拒否
➡令和2年3月22日に不当労働行為救済申し立て
民事訴訟法に基づく提訴予告通知p92(9)~(11)
離職証明書の記載内容に関する確認書に署名捺印したことを以て、これが退職届となると会社は主張。
➡勤務延長願いを提出していないとも主張するが、そもそも会社は交付していない。
会社は組合員として認められないから、団体交渉を受けられないと主張(組合規約6条に定める組合員に該当しないと会社が解釈)⬅支配介入だ。
令和3年11月1日、労基署が、副委員長が執行委員長代行として組合に無断締結した36協定を受理した(労使自治は判断できないという理由)⬅国賠訴訟を起こそうかとも考えた。
止めなければならない
➡令和3/8/10、救済申し立てに併せて、審査の実効確保の措置勧告申し立てを行った
➡令和4/2/10支配介入をしてはならないとの勧告を行った
第110回定期大会開催、闘争を継続すると言うことを承認、36協定を無断締結した副委員長の弾劾を可決(しかし事前に会社常務から支配介入があって代議員からは会社寄りの発言があった)
第二組合の結成
➡組合結成前の設立準備段階に組合掲示板の貸与という便宜供与
➡ユニオンショップ協定が存在するのにかかわらず、会社が函館バス支部から脱退した組員を解雇することはないと周知することを許した。(労働協約違反を明言し脱退を後押しした)
➡営業所所長からここの組合員に脱退勧奨が行われた。
労組法第7条第2項(団交拒否)・第3項(支配介入)の不当労働行為
単に裁判や労働委員会で勝訴判決や勝利命令を獲得することだけが真の勝利だとは思っていない
➡こうした勝訴判決や勝利命令を踏まえて函館バス支部の職場で団結の力を取り戻すことが出来るのか
➡良好な労使関係を回復できるのかを、最終目標としている。
➡労働法コンプライアンスを無視し、あるいは敵視する経営者が出現しないようにすることで、この闘争の勝利の意味がある。
➡会社に法を遵守させ、そこで働く労働者が尊厳を保ちながら、安心して働く権利を組合の力で勝ち取っていかなければならない。
本闘争を通じて見えてきた労使関係における注意点
〇労働組合の民主制の要件
〇法人である組合の役員登記は最新のモノとなっているか
〇労働協約の原本の確認 組合と使用者の双方が署名押印、または記名押印したものが保管されているのか
〇組合員の処分に関わる事前協議手続き等について労働協約でどのように定められているか。慣行の場合は、それを裏付ける書面(覚書きを含む)が存在しているのか。
〇労使間の合意事項(特に便宜供与)は書面化されているか
〇都度、組合ニュースを通じて情報発信し、正確な情報が組合員に提供されているか。また欠番なく保存されているか。
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