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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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「交通の安全と労働を考える市民会議イン熊本」を開催、200名の参加者と、ライドシェアはいかに問題あるビジネスモデルなのか、絶対に日本には入れてはいけない、ということを共有した。

2018-09-23 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labourは、本日、熊本県教育会館にて「交通の安全と労働を考える市民会議イン熊本」を開催。
市民会議事務局の川上弁護士の司会で、松野信夫弁護士の開会挨拶で始まった。
松野弁護士は「ライドシェアは世界的に問題になっているし、日本に入ってきたら必ずたいへんな問題になる。
何でもかんでも規制緩和しようという動きがあるが、規制緩和で国民の安全や安心が守られるのかという問題とせめぎ合っている。
とくに、小泉政権では、規制緩和、構造改革、公務員削減が進められてきたが、しかしそれが、バスでは参入の要件を下げたせいで、関越道の重大な事故につながったし、タクシーでは、新規参入と増車を自由化し運賃の規制を緩めたが、結局、過当競争になり事故が増え、再規制することになった。
人命を危険にさらしながら、なんのための規制緩和だったのかという無駄な時間を浪費した。
規制緩和や自由化が本当に国民の生活にとってプラスになるのか、そこを見誤ってはならない。
本日は、皆さんでライドシェアというものをしっかりと勉強できる場としたい。」と挨拶。


 最初の講演は、戸崎肇首都大学特任教授の「ライドシェアの問題点と地域の交通政策について」。
戸崎教授は、「地方における移動・運輸の重要性」については、高齢化の進展に伴う、マイカー社会の現代的問題性(認知症・運転免許返納)による通院・買い物の困難化、孤立化(←精神的・肉体的衰弱化)と、そのことによる地方公共交通の衰退があるとし、その原因は、マイカー社会化の帰結、地方行政の公共交通に対する対応の希薄さ、担当部局の不在と脆弱さ、地域における協議体の不在と不活発さと指摘。
さらに「ネット通販の急激な発展とそれへの依存(本屋などの廃業)による物流な問題」についても言及。
そしてバス職場の人手不足と働き方改革については「バス運転手の不足←路線バスの維持の困難化(黒字路線の廃止)と総労働時間を見かけ上抑えるための「中抜き」行為」の問題を指摘。

 その上で、「ライドシェアが、地域の救世主となりえるか、また、労働力不足など悩みの多い日本経済の活性化につながるのか?」、「いや、ライドブッキングには疑問を呈する」と述べる。
○交通政策の観点から
 ⇒安全は担保されるのか(運転手の労務管理。モラル、車両の整備と管理など)⇒先行する海外では様々な問題が指摘されている)
 ⇒持続的に「公共的」なサービスを提供してくれるのか⇒利益追求と公共性の両立は可能か(クリームスキミング)⇒一国二制度とならない場合、事業者はどこまで地方に留まるか。
○雇用政策全般に及ぼす影響⇒「雇用破壊」に向かわないか?

 もしライドブッキングが都市部で解禁されたら
⇒交通市場は無秩序化⇒世界一とされている日本のタクシー業界は大きく変貌する、地方から事業者は撤退し、公共交通は崩壊状態となる(すでに「民泊」は今年6月15日より本格化したが、これまでに様々な問題が顕在化している)
○ライドシェアを食い止めるには対案が必要
「公共交通」の重要性について社会的啓発⇒福祉政策、医療政策との関連性、連動性の協調、新たな枠組みでの政策推進へ
交通モードの連帯の強化、サービス水準の向上⇒そのための協議体の設置と強化
「最終的に利用者に選ばれなければ消滅せざるを得ない」ということを強調された。


 講演2番目は、坂本正国民の足を守る熊本県民会議会長(熊本学園大学元学長)が「熊本地震、震災後の公共交通の対応と課題」についてお話しされた。
タクシーを公共交通にいかに位置づけるか…との視点で、熊本地震後、「一人の通学生の足を守る取り組み」から見えてくるタクシーのあり方を考えるとして、
①阿蘇地域の通学生の足の確保、②地域公共交通の現状と課題を活かす取り組みとしての熊本県玉名郡長洲町の金魚タクシーの導入に至った経緯、③空港ライナー、④池辺寺号、についての事例を紹介。
その上で、公共交通が地域満足度を高められる工夫とは何かを検証された。

 続いて川上弁護士からは「雇用によらない働き方とライドシェア」について報告。
まずはニューヨークの現状について
・ニューヨークでは、2017年の12月以来6人のタクシードライバーが自殺している。
・ウーバーなどがニューヨーク市でライドシェアを始める2011年までは、市内のタクシー台数は13,000台ほどだったが、2011年以降、これが約10倍のおよそ13万台まで増えた。
。」
・これにより、週120時間労働、1日12時間働いても5500円稼ぐのがやっと、という状況になった。
・一方、日産セントラ(170万円)を購入してライドシェアで働くタケレ・ゴベナさんは、1日16時間働いた売り上げから燃料、保険、その他経費を控除したら、時給は2.64ドル(277円)、ニューヨークの最低賃金(7,25ドル)以下。
次にライドシェアの問題点について
○労働法の潜脱⇒ドライバーは個人事業主、ライドシェア事業者は雇用責任を負わない。
○事業法の潜脱⇒利用者と契約関係にない(安全責任を負わない)、ドライバーが事故の責任を負わされる、度重なる違法行為、既存のタクシー事業者との不公正競争、公共交通の破壊、交通状態による環境汚染。
そしてシェアリングエコノミー(ギグエコノミー)の問題点として
・「シェアリングエコノミーの働き方は、リスクを企業から個人の肩の上に移すものだが、往々にして労働者はどのようなリスクを引き受けているのかを正しく理解していない」2015/1/26 ワシントンポスト
・「社会保障のないシェアリングエコノミーで得る仕事が唯一の収入源の場合、労働者と国家が社会保障のコストを負担することになる」2015/1 Center for American Progress
・シェアリングエコノミーは労働者を事業主とすることで労働組合を排除することから、カリフォルニア大学バークレー校のハーリー・シェイクソン教授は「シェアリングエコノミーは、多くの場合、組合を回避するための経営者の戦略だ。ウーバーやリフトは労働者を個人事業主と位置づけることで組合の結成を回避している。」
と解説した上で、世界の規制の状況などの動向について報告した。

 最後に阿部広美弁護士が、「働き方改革の政府の態度を見ても、このライドシェアに関しても、光の部分だけは見せるが、実は闇の部分が明らかにされていない。自分自身も、このシンポで、どれだけライドシェアは問題なのかについて理解した。こんなものがなくても公共交通が、国民の利便性や安全を担保できるように運動していかなくてはならないと痛感した。今日参加された皆さんとともに、みんなに伝えていこう」と、まとめと閉会挨拶を行い、シンポジウムを終了した。
参加者は185名+スタッフで約200名。
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