
2017年4月26日、衆議院第一議員会館の大会議室にて、公開シンポジウム「シェアリングエコノミーって何だ!?~ライドシェアから考える。~」を、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labourと日本労働弁護団との共催で開催した。
380名を超える参加者の方々にお越し頂いた、どうもありがとうございました。
外国人観光客の増加を受け、政府は「ライドシェア」の解禁を検討している。
ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車を使って、有料で利用者を運ぶ行為のこと、事実上の「白タク」。
ライドブッキング特有の問題としては(ライドシェアの「シェア」って分かち合いとか連帯ってなプラスのイメージがあるが、UBERやLyftなどや政府で白タクを推進したい人たちが言うライドシェアの「シェア」ってのは、シェアって言う本来の意味とはかけ離れていて、実際には「分断」であるので、あえてここでは「ライドブッキング」と呼ぶ)、安全管理が全くなされないライドブッキングを導入する必要性が本当にあるのか、ライドブッキングは過疎地などの交通空白地の解決策になるのか、ライドブッキングは公共交通にどのような影響を与えるのか、という点について議論された。

基調講演をおこなった、サンフランシスコ・タクシーワーカーズ・アライアンス代表のマーク・グルバーグさんからは、「車は密室空間。ドライバーは安全な人であってほしいし、運転も安全であってほしい」。
ウーバーについては、ドライバーによる乗客への暴行事件が度々報告されているし、また、プロのドライバーではなく、輸送事業者に課せられる規制の影響を受けないため、安全性が保証されていない。
「規制なしに導入されることが、利用者にとって良いことなのか考えてほしい」、「日本のタクシー、公共交通は大変なことになる、そのために水際で止めることが重要だ。」とマークさんは訴える。
これまで、市民会議は、議員会館での院内集会、大阪と東京都立川市でシンポジウムを開催してきたが、基本的には公共交通が崩壊し、国民の安全で安心な移動が破壊されるという観点を中心に訴えてきたが、今回のシンポジウムでは、「シェアリングエコノミー」の下で、労働者は個人事業主と位置づけられ、労働法の適用を一切受けられず、収入面、社会保障の面で非常に不安定な地位に置かれることも問題提起し、パネリストからも「働き方」について発言をいただいた。

シェアリングエコノミーやライドシェア(ライドブッキング)などの働き方を、ギグエコノミー(Gig Economy、インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のことをいい、ある意味、労働力のつまみ食い)と呼ばれるが、「ウーバーではドライバーが請負労働者として扱われている。直接の雇用関係にないため、会社が社会保障のコストを負担せず、労働者としての権利も認められない。結果として、働き方が不安定になっている。」と市民会議の事務局である川上資人弁護士は言う。
また日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士も「国の調査でも、自由で好きな仕事が出来るという点がメリットといいながら、不安定な収入や身分、保障がない、対等性がないなどのデメリットが大きい」とし、「ギグエコノミーによる労働契約は、労働契約とみなす入り口規制を設け許可制とする検討が必要で、脱法的なギグエコノミーは認めないようにしなければならない。」と訴えた。
日本労働弁護団元会長の宮里邦雄弁護士は、「マークさんの講演で、アメリカではUBERなどのライドシェアや、シェアリングエコノミーで、雇用が崩壊していることがわかった。健全な雇用社会が日本の安全・安心を支えている。」とし、一方で、「日本では法律の『労働者』の定義が狭すぎて、時代に追いついていない、1946年に制定された労働基本法、1945年の労働組合法上の労働者の概念が、これまで変わっていない。フリーランサーという働き方があるとすれば、時代の流れに応じて、立法改革が求められる。これは労働運動だ。」との見解が示された。

パネリストであった、戸崎肇首都大学東京教授(都市環境学部・交通政策専門)、山崎憲独立行政法人労働政策研究・研修機構、国際研究部、主任調査員(博士・経営学)からも、また開会挨拶をおこなった嶋崎量日本労働弁護団事務局長、パネルディスカッションをまとめていただいた宮崎岳志衆議院議員(民進党タクシー政策議員連盟事務局次長)、そして閉会挨拶をした山口広弁護士(内閣府消費者委員会元委員)からも、同じく、この問題は「労働運動である」と発言をいただいた。
そしてその後の懇親会においても、徹底的に、「これからも交通と労働の視点から、ギグエコノミー、ライドブッキングの問題点について問題提起していこう」と確認しあった。
我々は、UBERやLiftなどのライドシェアを阻止し、安全で安心な交通を守り、ギグエコノミーという不平等で不安定で労働力のつまみ食いという搾取的な働き方を防ぎ、日本の雇用社会が崩壊することを阻止する運動を強めていく!
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