緑 島 小 夜 曲

春を愛する人は、心優しい人。

漁童

2007年06月12日 15時30分05秒 | 露天映画
上海美術映画制作所 1959年完成
監督:万古ぜん
造型兼動作設計:胡進慶 銭家駿 沈祖慰
作曲:王易 段時俊
脚本:張士傑
撮影・トッリク:ゆう勇

 本作「漁童」が切り紙風格である。
 
 阿片戦争直後、帝国主義者が中国の港を封鎖し、埠頭を占有した上に、漁民の出漁までが禁じられた。しょうがなしに、ある漁翁が怒濤を顧みないで、暗いうちに出漁封鎖線を越え、こっそりと出漁した。

 たいへん危ない波風と闘ったが、魚は獲らなかった。そのかわりに、「漁童蓮間戯水図」が描かれた漢白玉(一種類の白い岩石、よく彫刻など工芸品の材料として用いられる)のお漁盆を手にいれた。

 帰宅後、漁翁はお漁盆を机上において、翌日に市場へ売りにいくつもりだった。

 静かな夜半。おぼろに漁盆の底から、親指ぐらいの可愛い魚童が身を現して、漁歌を歌い始めた。それを聞きながら、盆底から伸び出た蓮の葉の下を金魚二尾が泳いだり、跳ね上がったりしてた。水面に落ちると、水粒が盆の外に跳ね、机上に落ちた途端、きらきら輝く美しい真珠になった。夢のようかと思っていた魚翁は目が覚めた。あっという間に、漁童と金魚の姿が目の前に消えた。が、真珠は残された。

 翌朝。魚翁はお漁盆と真珠を市場へ持っていって、昨夜の出来事をみんなに話した。ちょうどその時、外国人の牧師が市場を通していた。その不思議なことを耳にすると、お漁盆を奪う悪心を起こした。

 牧師は役所に行って官吏の県知事にそれを頼んだ。すると、知事の捕手が理非曲直を問わずに、魚翁を縛って役所に護送した。

 役所の法廷で外国人の牧師は「そのお漁盆が我が国のもので、うっかりして海に落ちてしまった」と詭弁を弄した。が、「お前の国のものだとしたら、どうして漁童が我々中国人の顔立ちなのか。」と、結局に魚翁は官吏の強権や外国人の無理にも屈することなく、お漁盆を打ち砕いてしまった。

 すると、漁童はまた生きていて、釣り針で県知事と牧師を海に投げてしまった。