ただいまえのしま
かえってきたよ
みんながようく休めますように
いるべきところにいられますように
そこはぜんぶが蒼くて
冷たい沈静の液体で満たされている
頭上にはオーロラ
上からは絶え間なく慰めと祈りが降ってくる
命の中で辛さしか味あわなかったどうぶつたちが
そこで限りなく永遠の眠りについている
誰も見たことのないほど大きな教会のような
洞窟のような
その空間にやってくるたましいはにんげんがいる限り途切れない
沈黙の中ではっきりとうたた寝をしながら
幾千万億恒河沙のたましいが休んでいる
あちこちにひとつひとつのどうぶつを抱きしめる役目の姿も見える
たまにかなしみが溢れて人間の空に嵐が海に大波が地に病が溢れても
遠い氷河が崩れても
それは理の一部
ーどうぶつたちがいつか
明るい草原にたどりつきますようにー
ついに仕事が再開された
オフィスから業務用携帯が送られてきて
モバイルWi-Fiも送られてきて
充電して充電して
充電ケーブル持って充電ケーブル持って
業務用携帯に関係各位の連絡先を
ぽちぽちぽちぽち入力している
読むべき資料もあるし
出張の準備もある
なのに使い方なんて忘れかけたおもちゃみたいなガラケーに
電話番号を登録している
なんの罰ゲームかと思う正気とは思えない作業
信じられないくらい可笑しい
マスクと消毒液とフェイスシールドと共に
これらの全ての機器を私は背負って出かけるのか!
あまりのことに
大声で笑っている